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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

イスラエル軍によるガザ攻撃が激化し600人以上が死亡。うち200人以上が子ども。トランプ米大統領がイスラエルのガザ攻撃を「全面支持」 。ネタニヤフ首相がトランプ大統領ばりのディープステート陰謀論を展開

2025年03月22日 | イスラエル・パレスチナ戦争

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 イスラエルとハマスは2025年1月に停戦に合意し、停戦第1段階として戦闘を停止して人質交換などを進めてきました。

 しかし第1段階が終わった3月1日以降、人質の解放が膠着状態に陥る中、イスラエル軍は3月18日に停戦を破り、大規模な空爆などを再開しだしたのです。

 ガザ保健省によると、3月20日昼までに計506人が死亡し、909人が負傷したとのことで、うち200人以上が子どもだということです。

 AP通信は病院関係者らの話として、南部ラファやハンユニス、北部ベイトラヒヤなどで大きな被害が出たと伝えました。

 ハマスも反撃として散発的にロケット弾をテルアビブに発射するなどしていますが、そもそもイスラエルによるこれまでの攻撃でハマスの指導者は死に絶え、抵抗する力は全くないはずです。

 この再び始まったイスラエル軍の攻撃は後述するように、ネタニヤフ首相が国民の目を戦争に向けさせ、自分の支配のほころびを見せないようにすることが目的です。

人質解放しなければガザ一部を併合」イスラエル国防相が警告 ハマスはアメリカの提案含め協議を通じた停戦再開に前向き姿勢 | TBS NEWS DIG

ガザ敵対再燃「ハマスに責任」、米国連大使代行がイスラエル支持

 2025年3月18日 ガザ地区中央で撮影

 

 

 さらに、イスラエル軍は3月20日、ガザ最南部ラファで地上作戦を開始したと発表しました。

 イスラエル軍の地上侵攻は中部や北部でも継続しており、作戦区域を拡大しました。

 イスラエル軍は空爆や砲撃も続けており、ロイター通信によると3月20日の死者は90人を超えました。

 イスラエルのカッツ国防相は3月21日、ガザの制圧地域を拡大するよう軍に指示したとの声明を出し

「ハマスが人質解放を拒めば拒むほど、より多くの土地を失い、イスラエルによって併合されるだろう」

などとして、ガザの一部を併合すると脅迫しています。

 もはや一般市民に対する犠牲しか出ないのはわかっているのに、イスラエル政府はいつまで戦争を続ける気なのか。

イスラエル軍の攻撃による死者に祈りをささげるパレスチナ人=2025年3月20日、ガザ南部ハンユニス(AP=共同)
 

イスラエル国防相、支配地域の拡大指示 ガザ地上侵攻で - 日本経済新聞

2025年3月21日、空爆で死亡した11歳の娘の葬儀で遺体を抱えるパレスチナ人男性(ガザ市)=AP

 

 

 このネタニヤフ政権の停戦破りについて、トランプ政権は全面的に支持しています

 米ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は3月20日に記者団にトランプ氏がガザ停戦を軌道に戻そうとしているかと問われると、

「彼はイスラエルとイスラエル国防軍、そして彼らが最近取った行動を全面的に支持している」

「大統領はハマスに対し、人質全員を解放しなければとんでもないことになると明確に伝えていたが、残念ながらハマスはメディアで命を懸けてうそをつくことを選んだ」

と回答しました。

 さらに、2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの越境攻撃についても

「完全にハマスの責任」

だとして、トランプ氏はハマスに拉致された人質全員の解放を望んでいると付け加えました。

2016年9月25日、ニューヨークにある金ぴかのトランプタワーで、トランプ大統領候補(当時)と歓談したイスラエルのネタニヤフ首相。
【悲報】#米大統領選2024 ドナルド・トランプ氏が勝利宣言。ネタニヤフ首相「あなたの歴史的なホワイトハウスへの復帰は米国の新たな始まりであり、イスラエルと米国の偉大な同盟関係への力強い再確認である」

 

 

 さらに、トランプ政権のシェイ国連臨時代理大使は3月21日に、イスラエル軍によるガザに対する攻撃再開で多くの人が犠牲になっていることについて、ハマスにすべての責任があるとの考えを示しました。

 シェイ氏は、米国が先週提示したガザ停戦の一時的な延長案をハマスが受け入れていれば、ガザ地区で死者が出る事態は避けられたとして

「ガザ地区で敵対行為が再燃したことの全責任はハマスにある」

と述べました。

 そして、イスラエルのダノン国連大使もイスラエル軍はここ数日間で複数のハマス幹部を排除したとした上で、

「ハマスには交渉の席に戻るか、指導部が次々と殺害されるのを待つか、選択肢がある。

 イスラエルは(人質が)全員帰還するまで(攻撃を)止めない」

と述べたのですが、もはや殺し屋集団の弁です。

 ネタニヤフ首相とイスラエル軍の蛮行再開は、まさにこのトランプ政権の全面的な支援がバックにあるからこそという、虎の威を借りる狐状態と言えるでしょう。

【#ネタニヤフの逮捕まだですか】イスラエル軍によるガザ市民の死者数はガザ当局の発表より4割以上多くすでに7万人を突破か。病院の燃料が切れ乳児が次々と凍死。年明け1週間で74人の子どもたちが死亡。

 

 

 もちろん、2023年10月7日にハマスが外国人や赤ちゃんも含めて1200人も虐殺し、200人以上を拉致したことは絶対に許されない戦争犯罪です。

 しかし、国際司法裁判所(ICJ)が2024年7月19日に、イスラエルによる東エルサレムとヨルダン川西岸の占領政策は国際法違反だとして、速やかに占領を終えるよう求める勧告的意見を出したように、ハマスの攻撃以前にイスラエル政府と入植者による違法行為が何十年も続いており、パレスチナ人が塗炭の苦しみを受けてきたことがハマスの攻撃の背景にはあるのです。

『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』がアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を獲得。ガザをアメリカが所有して210万人のパレスチナ人を追い出そうとしているトランプ大統領に抗議し続けよう。

 

 

 だからこそ、ICJはイスラエルによる入植活動などを挙げて

「事実上の併合だ」

と指摘し、入植活動を停止して入植者を退去させるよう勧告したのです。

 また、ICJは、イスラエル政府の占領政策が

「パレスチナ人の民族自決権を侵害している」

との認識も示しました。

 さらには、ハマスの攻撃を利用したしかいいようがないイスラエル軍によるガザへの攻撃はもはや民族抹殺(ジェノサイド)であり、だからこそ国際刑事裁判所(ICC)はネタニヤフ首相らに逮捕状を発令したのです。

【#パレスチナに自由と平和を 】国際司法裁判所(ICJ)がイスラエル政府に長年の占領は国際法に反しているとして「イスラエルは占領を出来るだけ早く終結しなければならない」とする勧告的意見を言い渡した!

 

【祝!】ロシアのプーチン大統領に続いて、イスラエルのネタニヤフ首相らにも国際刑事裁判所(ICC)がガザでのジェノサイド容疑で逮捕状を発令!世界の市民から法の支配に対する信頼を勝ち取る歴史的な快挙だ。

 

 

 さて、冒頭で述べたネタニヤフ政権によるガザ攻撃再開の動機ですが、共和・民主の両政権で中東問題の交渉役を務めたアーロン・ミラーはフォーリン・ポリシー誌に

「イスラエルがガザから軍を撤退させ、戦争が終結するという鉄壁の保証がなければ、ハマスが人質全員を解放することはないだろう。

 国連もアメリカも、誰もハマスにそのような保証を与えなかった」

と述べ、この状況はネタニヤフの「政治的困難」「分かち難く結びついている」と述べています。

 第一に、ネタニヤフが立脚する脆弱な連立政権の極右メンバーは、もしネタニヤフが戦争の永久終結に合意すれば政権を崩壊させると脅してきました。

 極右の超国家主義政党「ユダヤの力」のイタマル・ベン-グヴィル党首は、1月の停戦協定をめぐって連立政権を離脱したが、3月18日の攻撃後に政権への復帰を表明しており、この極右勢力の歓心を得ることがネタニヤフ首相がガザで何百人もの人殺しを再開したことの動機であることは明らかです。

 第二に、ネタニヤフ首相はハマスの攻撃以前から汚職容疑で裁判にもかけられているのですが、3月18日の戦闘再開を受けて予定されていた自分自身の証言を回避することができました。

 ハマスやヒズボラやフーシ派やイランなどなどとの戦争が続いている限り権力を維持できて、刑務所の塀の外側にいられる。

 それがネタニヤフ首相がガザ侵攻をやめようとしない本当の理由なのです。

 

 

 そのネタニヤフ首相がイスラエルの国内政治に対して、とうとうトランプ大統領そっくりのディープステート陰謀論を唱え始めました。

 ネタニヤフ首相はTikTok(ティックトック)に投稿した動画でイスラエル議会の廊下を歩きながら、盟友トランプ氏の発言を繰り返し

「ほとんど変わることのない恒常的な官僚機構こそが、イスラエル政府内に深く根を張り、有権者よりも自分たちの方が、国民にとって何が良いかを知っている存在だと決めつけている」

「こうした官僚たちは常に左寄りだ」

と述べ、彼自身が「ディープステート」の一員と決めつけた官僚らに

「あなた方は国民に合わない法律を通そうというのか? それなら、われわれが阻止する。国民が望まない役人を任命しようとするのか? それもわれわれが阻止する」

と述べたのです。

アメリカ大統領選挙、トランプ氏は打倒「闇の政府」公約に 高級官僚を敵視 - 日本経済新聞

2024年の大統領選挙で大真面目に「DSの打倒」を公約にしていたトランプ大統領候補(-_-;)。

その延長線上でイーロン・マスク氏による政府解体が正当化されている。

トランプ政権のイーロン・マスク氏が「経営する企業の従業員・元従業員で結成したチームを駆使し、220万人に上る連邦政府職員に対する空前の支配力と、政府機構を劇的に改変する権限を手に入れた」(ロイター)

 

 

 トランプ大統領が2020年の選挙で負けた際に選挙に不正があったと言い出したのも、自分が大統領の座にいて権力を握っている期間の選挙なのに何を言うとんねんという話だったのですが、ネタニヤフ首相なんてイスラエルの歴代の首相で最長不倒記録を誇っており、今年でもう首相になって16年目ですよ?

 ネタニヤフ首相の第一次政権が1996年から1999年まで、第二次から第五次政権が2009年から2021年6月まで、そして今の第六次政権が 2022年12月29日から現在まで続いているのです。

 この16年って、ちょうど日本の憲政史上最長だった安倍政権の2倍です。

 これだけ長い間イスラエルの政界を支配してきておいて、なにが「闇の政府」(DS=ディープステート)に国が牛耳られているだの、国民に合わない法律を通そうとしているだの言い訳を言っているのか。

 もしイスラエルに闇の政府があるとしたら、そりゃあんただよ。

 トランプ大統領やネタニヤフ首相のような独裁者にとって、外にも内にも敵をでっちあげて国民を妄想に導くのが一番手っ取り早い専制支配の方法なのだということがよくわかります。

ネタニヤフ、トランプ、プーチンら専制支配をしている絶対権力者が一番恐れているのは市民が理性を取り戻すことだ。

 

 

編集後記

トランプ・ネタニヤフ氏らを風刺した動画をちゃっかり盗用して宣伝に使うトランプ大統領。

ガザをアメリカが所有すると宣言したトランプ大統領が、自分のSNSに「ガザの未来予想」を投稿。ネタニヤフ首相とガザの砂浜に寝そべり、トランプ氏の巨大な黄金像や子どもたちに現金ばらまくマスク氏(呆)

 

大はプーチン・トランプ・ネタニヤフから小は立花孝志まで、フェイクや陰謀論こそ彼らの民衆操作と支配の道具です。

プーチン支持の反米拗らせ親露派陰謀論者は親プーチンのトランプ大統領を批判することができなくなって、結局、トランプ氏が支援するネタニヤフ首相も批判できなくなっています。

どれだけ無駄な反米や(-_-;)

まずは理性を取り戻せ。

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イスラエル軍、地上作戦を拡大 ガザ最南部に展開、90人超死亡

イスラエル軍の空爆で破壊された住居=20日、ガザ南部ハンユニス近郊(ゲッティ=共同)

 イスラエル軍は20日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファで地上作戦を開始したと発表した。中部や北部でも継続しており、作戦区域を拡大した。投入した部隊の規模は不明。空爆や砲撃も続け、ロイター通信によると20日の死者は90人を超えた。人質解放を求めてイスラム組織ハマスへの圧力を強めており、攻撃は激化する恐れがある。

 ハマスは20日、400人以上が死亡したイスラエル軍による18日のガザ大規模空爆以降、初めてロケット弾を発射し反撃。報復が連鎖すれば、停戦合意崩壊の可能性がある。

<picture>イスラエル軍の戦車(ロイター=共同)</picture>拡大

イスラエル軍の戦車(ロイター=共同)

 イスラエル軍は19日、ガザを南北に隔てる軍事区域「ネツァリム回廊」に部隊を再配備し「限定的地上作戦」を再開したと発表した。北部ガザ市でハマスの拠点を解体し、ラファでも軍事施設を破壊。空爆でガザの治安部隊トップらハマス幹部2人を殺害した。

 米ホワイトハウスのレビット報道官は20日、トランプ大統領は「イスラエル軍を全面的に支持している」と述べた。国連やアラブ諸国からはイスラエルを非難する声が相次いでいる。(共同)

 

 

ハマス、テルアヴィヴにロケット弾発射 イスラエルはガザ地上作戦を再開
2025年3月21日 BBC

イスラム組織ハマスは20日、イスラエル・テルアヴィヴに向けてロケット弾3発を発射したと発表した。ハマスが反撃に転じたのは、イスラエルが18日にガザ攻撃を再開してから初めて。イスラエルもこの日、パレスチナ・ガザ地区での地上作戦を再開したと発表した。

イスラエルは、ミサイル1発を迎撃し、残りは人が住んでいない土地に落下したと発表した。

ハマス運営のガザ保健省によると、イスラエルが18日に戦闘を再開して以来、少なくとも591人が死亡している。うち200人以上が子供だという。

一方、イスラエル国防軍(IDF)は20日、エジプト国境に近いガザ南部ラファで「地上活動」を開始したと発表した。

イスラエルとハマスの停戦合意が1月19日に発効して以降、大規模な軍事行動は回避されていた。

IDFの声明によると、イスラエル部隊は「テロリストのインフラを(中略)解体」し、ガザ北部と中部でも「地上活動」を続けているという。

IDFは先に、ガザ「南北間の部分的な緩衝地帯」を作るため「標的を絞った地上活動」を開始したと発表していた。IDFは「限定的な地上作戦」だとしている。

IDFのアヴィチャイ・アドラエ報道官は、ガザの南北を分けるネツァリム回廊まで部隊を展開していると述べた。

イスラエル政府のダヴド・メンサー報道官は、ハマスが暴力行為を再開したことを非難。「(ハマスは)このエスカレーションを強いた。アメリカなどが仲介する提案も含め、人質をめぐるあらゆる取引を拒否した」と述べた。

イスラエルは18日、ガザ停戦をめぐって同国が求めてきた第1段階の延長の交渉が進展しなかったことから、ガザへの攻撃を再開した。ハマスが残りの人質を解放するまで攻撃を強化すると警告している。

イスラエル政府は、ハマスが依然として59人の人質を拘束しており、そのうち24人が生きているとみている。

数日間で国連職員5人が死亡、英国人が負傷
こうした中、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ事務局長は、UNRWAのスタッフ5人が「ここ数日」の間に殺害されたと、ソーシャルメディアに投稿した。

「彼らは教師や医師、看護師だった」と、ラザリーニ氏は付け加え、ガザ地上侵攻が続く中、「最悪の事態はまだこれからだ」と警告した。

国連は20日、ガザ中部デイル・アル・バラフにある国連施設が被害を受け、職員1人が殺害されたと発表した。

国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)のホルヘ・モレイラ・ダ・シルバ代表は、「これは事故ではない」、「少なくとも事件だ」と述べた。

ガザ保健省はイスラエルの空爆を非難。5人の負傷者が出たとした。IDFは国連施設への攻撃を否定しつつ、この事案を調査しているとした。

イスラエルにとって主要な武器供給源であるアメリカは、国際法を順守して武器を供給しているとしている。

ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は、ドナルド・トランプ米大統領が「イスラエルとIDFのここ数日の行動を全面的に支持している」と述べた。

イギリスのデイヴィッド・ラミー外相は20日、ガザの施設への攻撃でイギリス人1人が負傷したことを認めた。慈善団体は先に、爆弾処理が専門のイギリス人スタッフ(51)が負傷したと発表していた。

「我々の優先事項は、この状況の中で、彼らとその家族を支援することだ」と、ラミー外相は議会で述べた。

エルサレムや、テルアヴィヴでは、ベンヤミン・ネタニヤフ首相に抗議する数千人のイスラエル人が集まり、人質の返還を求めた。

エルサレムでは、警官が抗議者に放水銃を発射した。また、数人が逮捕された。

イスラエルに対してはこの日、イエメンを拠点とする武装組織フーシ派も攻撃を仕掛けた。テルアヴィヴ近郊のベン・グリオン空港に向けて弾道ミサイル1発を発射した。

負傷者は報告されていない。IDFは、イスラエル領内に到達する前にミサイルを阻止したとしている。

ネタニヤフ首相は18日夜、ハマスに対する「戦闘を全面的に再開した」とするビデオ声明を出し、「交渉は戦火の下でのみ続けられる」、「これは始まりに過ぎない」と挑戦的な警告を発した。

人質の家族を代表するグループは、イスラエル政府が新たな攻撃を開始したことで「人質を見捨てた」と非難している。

イスラエルとハマスは、停戦の第1段階が3月1日に期限切れとなったあと、停戦をどう進めるのか合意できていない。

ハマスはイスラエルが提示した条件に基づく停戦の再交渉に同意しなかった。ただ、現在の協定を延長するために、存命のアメリカ人人質1人と遺体4体を解放することを提案していた。

対するイスラエルはハマスに圧力をかけるため、3月初めからすべての食糧、燃料、医薬品のガザ地区搬入を阻止した。

ハマスが2023年10月7日にイスラエル南部に仕掛けた奇襲攻撃では、約1200人が殺され、人質251人が捕らえられた。拉致されたうち25人は停戦の第1段階で生きたまま解放された。この合意とは別に、タイ人の人質5人も解放された。

ハマスに対してイスラエルは大規模な軍事攻撃で応戦。ハマス運営の保健省によると、パレスチナ人4万8500人以上が殺害され、家屋やインフラが壊滅的な被害を受けた。

(英語記事 Hamas fires rockets at Tel Aviv as Israel renews Gaza ground campaign)

 

 

パレスチナ自治区ガザへの攻撃を再開したイスラエルの国防相は、イスラム組織ハマスが人質解放に応じない場合、ガザの制圧地域を拡大して、一部を併合するなどと警告しました。


中東の衛星テレビ局・アルジャジーラなどによりますと、イスラエル軍は21日もガザ全土を空爆し、北部や中部では子どもを含む死傷者が出たということです。

イスラエル軍は地上作戦を再開していますが、カッツ国防相は21日、ガザの制圧地域を拡大するよう軍に指示したとの声明を出しました。「ハマスが人質解放を拒めば拒むほど、より多くの土地を失い、イスラエルによって併合されるだろう」などとして、ガザの一部を併合すると警告しています。

こうした中、ハマスは前日に続いて21日もイスラエルに向けてロケット弾2発を発射しました。

一方で、ハマスは来月下旬まで暫定的に停戦を延長し、その間に人質を解放するというアメリカの提案を含め「様々な案の検討を続けている」とし、協議を通じて停戦の再開を目指す姿勢も示しています。

 

米、ガザ攻撃再燃「ハマスに全責任」と非難 国連安保理

2025年03月22日(土)04時21分 ロイター

米国のシェイ国連臨時代理大使は21日、イスラエルのパレスチナ自治区ガザに対する攻撃再開で多くの人が犠牲になっていることについて、イスラム組織ハマスに責任があるとの考えを示した。写真は3月20日、イスラエルとガザ地区の境界近くで撮影(2025年 ロイター//Amir Cohen)

[国連 21日 ロイター] - 米国のシェイ国連臨時代理大使は21日、イスラエルのパレスチナ自治区ガザに対する攻撃再開で多くの人が犠牲になっていることについて、イスラム組織ハマスに責任があるとの考えを示した。

シェイ氏は、米国が先週提示したガザ停戦の一時的な延長案をハマスが受け入れていれば、ガザ地区で死者が出る事態は避けられたとし、「ガザ地区で敵対行為が再燃したことの全責任はハマスにある」と述べた。

イスラエルのダノン国連大使は、イスラエル軍はここ数日間で複数のハマス幹部を排除したとした上で、「ハマスには交渉の席に戻るか、指導部が次々と殺害されるのを待つか、選択肢がある。イスラエルは(人質が)全員帰還するまで(攻撃を)止めない」と述べた。

米国のウィットコフ中東特使らは先週、恒久的な停戦を交渉する時間を確保することを目的に、イスラム教の「ラマダン(断食月)」とユダヤ教の「過ぎ越しの祭り」を超えて4月までガザ停戦合意を延長する「つなぎ案」を提示。ハマスはこの日、同案を検討していると表明した。

 

 

イスラエルはなぜ大規模ガザ攻撃を再開したのか、この先何が起こるのか

Why Did Israel Restart the War in Gaza?

2025年3月19日(水)19時28分 ニューズウィーク
ジョン・ホルティワンガーネタニヤフに抗議するイスラエルのデモ

ガザ攻撃再開の翌日、ネタニヤフ政権に抗議、人質解放を求めるイスラエルのデモ(3月19日、エルサレム)

<ガザ空爆の再開で、微妙だった停戦状態は崩壊し、400人以上が犠牲になり、まだ生きている人質も危険に晒されることになった>

イスラエルは3月18日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスに対する大規模な空爆を再開した。これによってすでに揺らいでいた停戦と、数万人のパレスチナ人を殺害し、ガザを廃墟にした壊滅的な戦争を終わらせたいという熱い希望は打ち砕かれた。ガザ保健省によれば、この日のイスラエル軍の攻撃で400人以上が死亡した。

ベンヤミン・ネタニヤフ率いるイスラエル首相府は声明で、今回の空爆はハマスが人質の解放と停戦延長の提案を拒否したためだと説明。「今後、さらに強い攻撃を行う」と述べた。

イスラエル国防軍は、今回の攻撃は「先制的」なものだと発表。「ハマスは再びテロ攻撃を実行し、戦力を増強し、武装する準備を整えたという事実に基づいている」と表明した。ガザ攻撃から17カ月経った今でも、ハマスを自国の安全保障に対する深刻な脅威と見なしているのだ。

攻撃は「必要な限り継続し、空爆以外にも拡大する」という。

アメリカは、今回の空爆に先立ってイスラエルから相談を受けたことを明かし、空爆はハマスのせいだと非難した。

「敵対行為再開の責任は、もっぱらハマスにある」と、ドロシー・シェア米国連大使代行は18日の安全保障理事会で主張した。

だがハマス側は、イスラエルが停戦合意を覆し、人質の命を危険にさらしていると非難した。

イスラエルとハマスは、1月に始まった3段階の停戦協定に合意し、イスラエルが拘束していたパレスチナ人の解放と引き換えに、ガザに残っていた人質の一部が解放された。

だが人質全員の帰還とイスラエル軍のガザ撤退をめざす停戦の第2段階の協議は、双方が相手を停戦違反だと繰り返し非難したため、軌道に乗らなかった。

ハマスは、恒久的な停戦とイスラエル軍のガザ撤退の保証なしには交渉の切り札である人質は手放せない。一方、イスラエルはハマスがガザを支配し続けることに強硬に反対しており、ネタニヤフは過激派組織を壊滅させると宣言している。停戦を第2段階に進めることはもともと容易ではないとみられていた。

3月1日に停戦第1段階が終了した後、イスラエルはガザへの人道支援物資の搬入を阻止した。ドナルド・トランプ米大統領が指名したスティーブ・ウィトコフ中東担当特使が提案した人質解放と停戦延長をハマスに呑ませるためだ。

だが両者の対立は続き、停戦も宙に浮いたままだった。その停戦状態を破ったのが、18日のイスラエルの攻撃だ。

「私はこうなったことに驚かない。なぜなら、第2段階が交渉を通じて実施される可能性は常に非常に低かったからだ」と、共和・民主の両政権で中東問題の交渉役を務めたアーロン・ミラーは、フォーリン・ポリシー誌に語った。

「イスラエルがガザから軍を撤退させ、戦争が終結するという鉄壁の保証がなければ、ハマスが人質全員を解放することはないだろう。国連もアメリカも、誰もハマスにそのような保証を与えなかった」と、現在カーネギー国際平和財団のシニアフェローであるミラーは付け加えた。

ネタニヤフがこの戦争に自らの政治生命を懸けていることも広く信じられている。この状況はネタニヤフの「政治的困難」と「分かち難く結びついている」と、ミラーは述べる。

ネタニヤフが立脚する脆弱な連立政権の極右メンバーは、もしネタニヤフが戦争の永久終結に合意すれば政権を崩壊させると脅してきた。極右の超国家主義政党「ユダヤの力」のイタマル・ベン-グヴィル党首は、1月の停戦協定をめぐって連立政権を離脱したが、18日の攻撃後に政権への復帰を表明している。

ネタニヤフは、汚職容疑で裁判にもかけられている。18日の戦闘再開を受け、予定されていたネタニヤフの証言はキャンセルされた。

イスラエルは、18日の攻撃は単なる「1日限りの攻撃」ではなく、今後も続けるとしており、近い将来に停戦がかなう可能性は極めて低いとみられる。

この攻撃は、ハマスにイスラエルの要求を呑ませるためのものと映る。しかし、仮に国際的な調停者たちによって、どうにか停戦にこぎつけたとしても、「ハッピーエンドにはならないだろう」とミラーは言う。「ハマスが消滅することはなく、その影響力がガザからなくなることはない」

イスラエル側にも妥協の余地はない。「イスラエル軍に代わる治安部隊がガザの治安に責任を持たない限り、ガザからの完全撤退を呑むイスラエル指導者はいないだろう」

戦闘の再開は、すでに悲惨な状況にあるガザの人道状況を悪化させ、ハマスがガザで拘束している人質の命をさらに危険にさらす可能性がある。人質の家族は、ネタニヤフのエルサレム事務所の前でデモを呼びかけ、18日には、敵対行為の再開は「生きている人質の殺害と遺体の消失につながる」と抗議した。

また、ガザにとどまらないより広い影響もある。ガザでの戦争は、中東全域の緊張を高め、レバノンにおけるイスラエルとイスラム教シーア派組織ヒズボラの衝突、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海での船舶攻撃、さらには、これらイスラム組織を支援するイランとイスラエルの軍事衝突もこれまで以上に拡大しかねない。

イスラエル軍は18日、フーシ派がイスラエルに向けて発射した弾道ミサイルを、防空システムで迎撃したと発表した。これは、1月の停戦開始前日以来、フーシ派がイスラエルへ向けて行なった初めての攻撃だった。

ガザでの戦闘が再開されると、ドナルド・トランプ米大統領が推進するイスラエルとサウジアラビアの国交正常化交渉も冷や水を浴びせられる可能性がある。サウジアラビアは18日に出した声明で、イスラエルの攻撃を非難した。

トランプはいまのところ、1期目の時と同様、ネタニヤフの政策を全面的に支持している。だがもしネタニヤフを自分の障害とみなし始めたら(つまり、停戦の仲介役として見られたいという自らの望みの邪魔になると感じたら)、それは変わる可能性もある。
(翻訳:ガリレオ)

Foreign Policy logoFrom Foreign Policy Magazine

 

 

ネタニヤフ氏、「左寄り」官僚らを批判 「ディープステート」に警鐘

 発信地:エルサレム/中東・アフリカ AFPBB
  • エルサレムで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に抗議する人々(2025年3月19日撮影)。(c)JOHN WESSELS/AFP
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    エルサレムで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に抗議する人々(2025年3月19日撮影)。(c)JOHN WESSELS/AFP
  • エルサレムで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に抗議する人々(2025年3月19日撮影)。(c)Menahem Kahana / AFP
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    エルサレムで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に抗議する人々(2025年3月19日撮影)。(c)Menahem Kahana / AFP
  • エルサレムで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に抗議する人々(2025年3月19日撮影)。(c)Menahem Kahana / AFP
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    エルサレムで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に抗議する人々(2025年3月19日撮影)。(c)Menahem Kahana / AFP
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【3月21日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に投稿した動画で、「左寄り」の官僚らを激しく批判し、「ディープステート(闇の政府)」の危険性を警告した。ネタニヤフ氏は現在、行政府への権力集中を図っているとして非難されている。

「ディープステート」という言葉は、2017~2021年のドナルド・トランプ米大統領の第1次政権時によく使われた。

トランプ氏はこの言葉を使い、大統領としての職務遂行および自らを選出した民意を妨害するために秘密裏に活動している官僚がいると非難した。

ネタニヤフ氏はティックトックの個人アカウントに投稿した1分間の動画で、「彼らは政府と私を植物のように何もしない存在にしたがっている」「だが、そうはさせない」と述べた。

ネタニヤフ氏は19日夜、この動画をX(旧ツイッター)にも投稿したが、後に削除した。

動画は、ネタニヤフ氏がイスラエル議会の廊下を歩きながら、盟友トランプ氏の発言を繰り返す内容だった。

イスラエル史上最も右寄りの政権を率いるネタニヤフ氏は「ほとんど変わることのない恒常的な官僚機構こそが、イスラエル政府内に深く根を張り、有権者よりも自分たちの方が、国民にとって何が良いかを知っている存在だと決めつけている」「こうした官僚たちは常に左寄りだ」と述べた。

さらに、自身が「ディープステート」の一員と見なしている官僚らを皮肉り、「あなた方は国民に合わない法律を通そうというのか? それなら、われわれが阻止する。国民が望まない役人を任命しようとするのか? それもわれわれが阻止する」と述べた。

ネタニヤフ氏は2023年、最高裁判所の権限の制限を目的とした司法改革を打ち出したが、同年10月7日のイスラム組織ハマスによる越境攻撃で中止となった。

ネタニヤフ氏は最近、国内治安機関シャバクの長官を解任する意向を表明し、野党の反発を受けている。

イスラエル政府は3月に入り、ネタニヤフ氏を公然と批判してきたガル・ミハラブ・ミアラ司法長官の解任手続きにも着手している。(c)AFP

 

 

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Unknown (ゆの)
2025-03-24 00:30:47
ネタニヤフ、プーチン、トランプを含めた世界の首脳達は、自分の野望のために人々を家畜として、コマとして扱うな!
この世界は、技術の進歩は、機械の心を持った人間のためにあるわけではない!
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ならば、陰謀論いろいろ(敬称略) (時々拝見)
2025-03-26 10:59:53
ハマスの襲撃は、ネタニヤフの重大な過失が招いた。

ハマスの襲撃は、ネタニヤフが意図的に誘導した。

親シオニストのトランプは、キリスト教原理主義者の反発をくらわないよう、側近にナチス式敬礼をさせている。
ミシシッピーバーニングより
「ユダヤは反キリストだ」

トランプは親中
マスク宣伝相の母親は親中で有名

トランプは親ロシア
メラニアは英語よりロシア語が得意
父親は東欧の共産党員

キリスト教原理主義者のオカルト的陰謀論
黙示録の獣はイスラエル

変な陰謀論を持ち出すとナチス以前にあったユダヤ人への迫害再びになりかねないのだが。表向きは反キリストとか、反米と名を変えて。
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