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1カ月以上前に書いた
侮辱罪で懲役刑も科することができるように刑法を厳罰化する「改正」案を岸田政権が閣議決定。市民が権力を批判する健全な表現の自由は抑圧され、権力側の人間だけが言いたい放題になる危険。自公政権に騙されるな。
という記事の続報です
インターネット上の誹謗中傷対策として、刑法の侮辱罪を厳罰化し、「1年以下の懲役または禁錮」などを加えるという政府の法案と、厳罰化に代わり「加害目的誹謗等罪」を新設する立憲民主党の対案が、2022年4月21日、衆院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りしました。
はっきり言って、岸田政権の侮辱罪厳罰化法案は百害あって一利なし、憲法21条が保障する表現の自由に対する重大な脅威となりうるもので、絶対に廃案にしないといけません。
政府の侮辱罪厳罰化法案は以下の通りです。
もともとの刑法231条が
「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。」
となっているところを
「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁固もしくは30万円以下の罰金又は拘留もしくは科料に処する。」
と懲役刑や罰金刑に刑罰を変えて厳罰化するだけです。
例えば、ツイッターで
「安倍元首相はもう判断能力がないといって二度目の政権投げ出しをしたんだから、プーチンと一緒に加計て加計て地球の果てまで加計抜けて、端っこから落ちろ!」
とか、
「松井大阪市長はワクチン3回目の接種率が低すぎて、モデルナワクチンを8万回分廃棄とか、もったいなさすぎるから8万回打たれて頭治してもらっとけ!」
等と書くと、侮辱罪で逮捕されて懲役刑を喰らう可能性が出てくるのです。
これが表現の自由、特に権力批判を萎縮させる重大な悪影響があることはごく自然にお分かりいただけると思います。
これに対して、立憲民主党の加害目的誹謗等罪を新設する法案は、刑法231条の2として
①人の内面における人格に対する加害の目的で、これを誹謗し、又は中傷した者は、拘留又は科料に処す。
②前項の行為については、第230条の2の例による。
という条文を新設します。
詳しくは末尾の筆頭法案提出者である米山隆一議員の説明を読んでほしいのですが、この法案にあって政府案にないのは
「前項の行為については、第230条の2の例による。」
という条文。
この名誉毀損罪の条文を準用する規定があるかないかで雲泥の差なのです。
立憲民主党案には準用されている刑法230条の2は以下のような条文で、名誉毀損罪が成立しない場合がこれでもかというくらい書いてあって、基本的人権である名誉権と表現の自由の調整を図っています。
刑法第230条の2(公共の利害に関する場合の特例)
①前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
②前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
③前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
つまり、国会議員である安倍元首相や大阪市長である松井維新代表に対しては、その言論が当人たちの名誉を傷つける=社会的評価を下げるものであっても、表現内容が真実であることを証明すれば、名誉毀損罪は成立しないのです。
この条文が準用されれば、安倍元首相が判断を誤るかもしれないからと言って二度目の政権投げ出しをしたり、松井市長が全国平均よりはるかに低いワクチン接種率のため、4月25日で使用期限がくるモデルナワクチンを8万回分廃棄するのは真実ですので、上記のツイートを理由に侮辱罪で逮捕されたり、裁判になったりすることはないことになります。
このように、侮辱罪を厳罰化して名誉毀損罪に近い懲役刑などを課するのであれば、せめて「公務員又は公選による公務員」に対する表現行為は真実であるとの証明がある限り罰せられないなどの、名誉毀損罪を成立させない、正当な表現行為を守る条文は必要不可欠です。
しかも、この条文があると、のちの裁判でたまたま真実であるとの証明ができなくても、それが証明できるであろうと信じるに足りる証拠があれば、「事実の錯誤」があるため故意がない=悪いことと思わなかったのも無理はないということで、やはり名誉毀損罪は不成立になって無罪になります。
ところが、ネット上の誹謗中傷を禁止するということを大義名分にしている岸田政権の侮辱罪厳罰化法案は、同罪を厳罰化するだけで、表現の自由に対する配慮は一切ないのです。
これでは、政府案は権力批判を封じるための言論弾圧法案と言われても仕方ありません。
岸田政権の刑法改悪案は絶対に廃案にしないといけません。
侮辱罪を厳罰化しなくてもさまざまな方策はある。
防衛省が反戦デモや報道をテロやサイバー攻撃と一緒に扱っていたり、このところの政府による言論の自由に対する攻撃姿勢は看過することができません。
侮辱罪厳罰化法案はこうした流れの一環であり、一般市民を誹謗中傷から守るという美名のもとに、実は市民の言論の自由を抑圧することが目的です。
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政治
2022年4月22日 0:40 日本経済新聞
社会問題化するインターネット上の誹謗(ひぼう)中傷の抑止を目指す「侮辱罪」の厳罰化、時代の変化に伴う懲役刑・禁錮刑の「拘禁刑」への一本化を盛り込んだ刑法などの関連法改正案が21日、衆院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。
刑法に設けられた侮辱罪の現行法定刑は「拘留または科料」。改正案はこれを「1年以下の懲役もしくは禁錮、30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」に引き上げる。ネットで中傷を受けたプロレスラー木村花さん=当時(22)=が自ら命を絶った問題を契機に厳罰化の動きが進んだ。
懲役刑と禁錮刑はそれぞれ廃止し、受刑者の特性に応じて作業と指導を組み合わせた処遇を可能にする「拘禁刑」を新設する。1907年の刑法制定以来初めて、刑の種類・名称を変更する。
懲役・禁錮の規定が含まれる866の別の法律も、刑法と共に関連法改正案として束ねられた。「拘禁刑」の適用は2025年中を見込む改正案の完全施行後。それまでは侮辱罪を含め、懲役・禁錮の規定が続く。
一方、民事裁判の手続きを全面IT化する民事訴訟法改正案は21日の衆院本会議で与党などの賛成多数で可決され、参院に送付された。今国会で成立する見通し。
〔時事〕
政治
2022年4月20日 23:40 日本経済新聞
独自の緊急経済対策を発表する立憲民主党の泉健太代表(8日、国会内)
立憲民主党会派は20日、インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策のため、新たに「加害目的誹謗等罪」を設ける刑法などの改正案を衆院に提出した。人格を加害する目的で他者を誹謗、中傷した場合に拘留や科料を科す。侮辱罪の厳罰化で対応する政府提出の改正案の対案。
立民は、政府案の侮辱罪の法定刑引き上げは表現の自由を脅かす一方、ネット上の誹謗中傷対策として的確ではないと指摘。加害目的誹謗等罪では、公共性や真実性などが認められる場合は罰しない。こうした特例を設けることで、政治家への正当な批判などは罰せられないとしている。〔共同〕
改正案では刑務所などに収容する刑のうち、刑務作業の義務がある懲役刑と義務がない禁錮刑を廃止し、2つの刑を一本化する「拘禁刑」を新たに創設する。
拘禁刑では刑務作業のほか、再犯防止のための教育などを受けることが出来るようになる。刑の種類の変更は115年前に刑法が制定されて以降、初めて。
また、インターネット上の誹謗中傷対策として「侮辱罪」を厳罰化し、「1年以下の懲役または禁錮」などを加える。
一方、厳罰化に代わり「加害目的誹謗等罪」を新設する立憲民主党の対案も審議入りした。
侮辱罪厳罰化法案がもたらす民主主義の危機と対案としての野党の加害目的誹謗等罪法案
ネットの誹謗中傷の抑止効果は低いうえ言論の自由と民主主義を損ねる政府案の欠陥
2022年04月21日
SNS・ネット上の誹謗中傷対策案を与野党が提出
このSNS・インターネット上の誹謗中傷対策として、政府・自民党は、従来は「拘留または科料」とされていた侮辱罪の法定刑を、「1年以下の懲役もしくは禁固もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」と厳罰化する刑法改正案を今国会に提出し、成立を狙っています。
しかし、この法案は、言論の自由を強く委縮させ、日本の民主主義に大きな危機をもたらす一方で、本来の目的であるSNS・インターネット上の誹謗中傷の抑止効果が低い、極めて欠陥の多い法案です。本稿では、その問題点を具体的に解説させていただきたいと思います。
また、これに対して立憲民主党・無所属会派で、私が筆頭提出者となって、言論の自由と民主主義を守りながら、より適切にSNS・インターネット上の誹謗中傷を処罰し、これを抑止する「加害目的誹謗等罪」を対案として今国会に提出し、並行審議されることになりましたので、これについても解説させていただきます。
侮辱罪厳罰化(政府案)
(改正前)
刑法231条
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
(改正後)
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁固もしくは30万円以下の罰金又は拘留もしくは科料に処する。
加害目的誹謗等罪(野党案)
(新設)
刑法231条の2
①人の内面における人格に対する加害の目的で、これを誹謗し、又は中傷した者は、拘留又は科料に処す。
②前項の行為については、第230条の2の例による。
侮辱罪を極めて強く厳罰化する政府案
まず、政府案の侮辱罪の厳罰化の中身について説明します。
今までの法定刑で定められていた「拘留」は、1カ月未満の期間、役務なしで拘留場に留置される刑罰ですが、このための専用の施設がなく、資料が公開されている2016年以降、この刑に処せられた人は一人もいません。また、「科料」は1万円以下の金銭を徴収する刑罰ですが、資料が公開されている2016年以降、侮辱罪に処せられた全員が9000円以下の科料に処せられています。
つまり侮辱罪の法定刑は事実上、「9000円以下の科料」であり、率直に言って重いとは言えないものでした。
改正後には、そこに一気に、1年以下の懲役もしくは禁固若しくは30万円以下の罰金が加わります。政府案は、侮辱罪を極めて強く厳罰化するものであると言えます。
SNS・インターネット上の誹謗中傷を処罰できず
この政府案の最大の問題点は、そもそもの立法目的である、SNS・インターネット上の誹謗中傷を適切に処罰できない事です。どういうことでしょうか?
まず侮辱とは、「他人を低く評価する価値判断を表示する事」とされており、刑法上、侮辱罪の保護法益は「外部的名誉」とされています。「死ねばいいのに」「いつ自殺するの?」といった、SNSでよく見られる人を傷つける心ない言葉は、必ずしも人の「外部的名誉」を害する「侮辱」とは言えず、処罰の対象とならないと思われるのです。
さらに、侮辱罪は「公然性」を要件としているので、ダイレクト・メッセージや、電子メール、LINE等で行われる限られた人の間での誹謗中傷やいじめにも対応できません。
その様な事情もあって、今まで侮辱罪の処罰対象は比較的狭く解釈され、2016年から今まで、侮辱罪で処罰されているのは毎年30人前後に過ぎませんでした。この処罰対象が変わらないなら、法定刑を重くするだけで、SNS・インターネット上の誹謗中傷に対応できるようになるという事は、論理的にありえません。
つまり、政府案の侮辱罪厳罰化は、その処罰範囲が今までと変わらない限り、論理上SNS・インターネット上の誹謗中傷対策としては、無力だと言っても過言でないのです。
政治家への正当な批判・言論の自由を阻害する危険
その一方で、「侮辱」は比較的幅の広い言葉で、例えば「お前アホやな」等の何気なく言った言葉でも、相手がそれを侮辱と取れば侮辱となりえます。また、「安倍総理は総理の器でない」「米山隆一議員に、議員となる資格はない」と言った、本人は正当な意見・論評のつもりで言った批判も、言われた相手にしてみれば侮辱とも感じられる事があります。
ことに公務員・政治家に対する批判の多くは、そこに「公務員・政治家としてやるべきことをやっていない」と言う「低い評価」が入りますから、侮辱の要素を含むことが少なくありません。
侮辱罪の処罰範囲がそのままでは、SNS・インターネット上の誹謗中傷対策にならないからといって、その処罰範囲を広げるとなると、それは相当広い範囲に恣意的に広げる事が可能で、「お前アホやな」と言った何気ない日常会話や、「安倍総理は総理の器でない」と言った批判までもが、侮辱罪で1年の懲役を科される得る事になるのです。
私は、それは民主主義に欠かせない言論の自由、とりわけ公務員・政治家に対する正当な批判の言論を強く委縮させるばかりか、日常の会話においてさえ、多くの人の言論が阻害される、極めて危険なものだと思います。
この様な批判に対しては、名誉棄損罪ではより重い「3年以下の懲役もしくは禁固又は50万円以下の罰金」が定められているが、そうしたケースは起きていないという反論があり得ます。しかし、そこには落とし穴があります。
名誉棄損罪には、公共の利害に関する特例として、以下の定めがあります。
刑法第230条の2(公共の利害に関する場合の特例)
①前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
②前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
③前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
この条文によって、名誉棄損罪では、特に公務員、政治家に対する、真実に基づく批判は、原則として処罰されない事になっています。ところが、侮辱罪には、明文上この規定がありません。とすれば、どうなるか。
「安倍総理は国会で嘘をついた嘘つきだ!」は名誉棄損としては罰せられないけれど、侮辱罪で懲役刑に処せられるという事が、十分にありうるのです。
酒場の「お前、アホやな」の一言で「逮捕」!?
政府の侮辱罪厳罰化法案が与える影響はこれだけではありません。刑事訴訟法199条1項を見て下さい。
刑事訴訟法199条1項
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
この条文によって、今まで、法定刑が拘留又は科料しかない侮辱罪では、原則として逮捕はできませんでした。ところがここに、「1年以下の懲役若しくは禁固もしくは30万円以下の罰金」が加わることで、侮辱罪での逮捕が原則可能となってしまいます。
「安倍総理は総理の器でない」と言っただけで、侮辱罪で逮捕され、21日間勾留された末に、懲役1年を科されることが十分ありうることになるのです。
また、あまり知られていませんが、現行犯については、逮捕状なしで警察官でない私人が取り押さえて警察に引き渡す「私人逮捕」が可能です(刑事訴訟法213条)。「安倍総理は嘘つきだ!」どころか、酒場で飲んでいて何気なく「お前、アホやな」と言ったら、「侮辱罪だ!現行犯逮捕!」と言って相手に取り押さえられて警察に突き出されてしまう事すら、ないわけではなくなります。
デモで叫ぶと軒並み処罰!?
政府案による侮辱罪厳罰化は更に、刑法64条にも影響します。
刑法64条(拘留又は科料のみに処すべき罪の教唆者及び従犯)
拘留又は科料のみに処すべき罪の教唆者及び従犯は、特別の規定がなければ、罰しない。
この条文によって、今まで侮辱罪の教唆犯及び従犯(幇助犯)は罰せられませんでした。ところが、ここに「1年以下の懲役若しくは禁固もしくは30万円以下の罰金」が加わることで、侮辱罪の教唆犯や従犯(幇助犯)も、処罰されることになります。
例えば、デモで誰かが「安倍総理は嘘つきだ!」と叫んだら、叫んだ本人のみならず、隣で「そうだ!」と叫んだ人も、周りで拍手をした人も、またそういう事を指示した人も皆、罰せられかねないのです。もちろん実際にそういうことは起こらないかもしれませんが、その可能性があるという事実だけで、人々の言論の自由、表現の自由は大きく害され、委縮させられることになります。
以上、政府提出の侮辱罪厳罰化法案は、SNS・インターネット上の誹謗中傷対策としては効果が低いにもかかわらず、言論の自由、とりわけ公務員・政治家に対する正当な批判の言 論を極めて強く侵害し、委縮させる、非常に問題の多い法案だと言わざるを得ません。
野党提出の加害目的誹謗等罪の中身
この極めて問題の多い政府提出の侮辱罪厳罰化法案の問題点を解決すると同時に、SNS・インターネット上の誹謗中傷に適切に対応する代案が、野党提出の加害目的誹謗等罪です。
冒頭でも掲げた野党案を再掲します。
加害目的誹謗等罪(野党案)
(新設)
刑法231条の2
①人の内面における人格に対する加害の目的で、これを誹謗し、又は中傷した者は、拘留又は科料に処す。
②前項の行為については、第230条の2の例による。
処罰対象は「誹謗」「中傷」、保護法益は「人格権」
この法案はまず、処罰対象を「侮辱」ではなく、端的に「誹謗」「中傷」としています。SNS・インターネット上の誹謗中傷に対する対策は、端的に「誹謗」「中傷」を処罰対象とすべきだからです。
また、この法案は、保護法益を侮辱罪の「外的名誉」ではなく、「人の内面の人格」、いわゆる「人格権」としています。
人が、SNS・インターネット上の誹謗中傷によって傷つくのは、必ずしも外部的名誉(評判、社会的評価)を害されるからばかりではありません。それだけでなく、内面 の人 格権を害されるからこそ、人は傷つきます。そうである以上、この法案の保護法益を正面から「人格権」としてこれを守る(これを害する行為を処罰する)事が、この問題にもっとも直接的に対処する事になるのです。
これによって、「死ねばいいのに」「いつ自殺するの?」などと言った「人の人格権を害する誹謗・中傷」が、この法案で処罰されることになります。
処罰すべき誹謗中傷を客観的基準で明確化
これに対しては、「人の人格権を害する誹謗・中傷」も抽象的な言葉であり、政府案と同様、処罰範囲が広がってしまわないかと言う疑問が当然出てくると思います。
こうした疑問に応えるために、加害目的誹謗等罪では、「(人の内面の人格に対する)加害の目的」が必要であるとしています。これによって、「お前アホやな」といった日常的な言葉については、言った人が「加害の目的がない(私は相手の人格権を傷つけるつもりはなかった)」と弁明した場合、加害の目的が認定できず処罰されないことになります。
しかし、実はこれを言 われた人 が、「私は東京出身なので、アホと言われると傷つくんです。やめてください。」と言っていたのに、それを知っていながら、あえて「お前アホやな」と言ったという事情がある場合には、加害の目的があると認定され処罰されることになります。
つまり、加害目的誹謗等罪では、加害の目的を要件とすることで、「被害者がやめてほしいと言っている事を知っていたのに、敢えて言ったか否か」と言う客観的基準によって、処罰すべき誹謗中傷と処罰すべきでない言葉とを、適切かつ明確に画する事ができる事になるのです。
逮捕はされず、従犯の処罰はなし
さらに、加害目的誹謗等罪は第2項で、「前項の行為については、第230条の2の例による。」として公共の利害に関する場合の特例を設けています(第230条の2の「公共の利害に関する場合の特例」については先述しました)。その結果、真実に基づく公務員・政治家に対する批判であれば、加害目的誹謗罪で処罰されることはありません。
法定刑も、あえて「拘留又は科料」のままとしていますので、原則として逮捕される事はなく、教唆犯・従犯(幇助犯)が処罰されることもありません。
民事訴訟による損害賠償を容易にする措置も
それでは、結局のところ誹謗中傷した相手に課せられるのは9千円の科料に過ぎず、犯罪の抑止と、被害者の救済に欠けるのではないかと思われる方もおられるでしょう。
しかし、加害目的誹謗等罪は、人に対する社会的評価、いわゆる外部的名誉を保護法益とする現行の名誉毀損罪や侮辱罪では処罰し難い誹謗中傷行為を、新たに正面から刑事罰の対象とするもので、それ自体で大きな犯罪抑止効果があると思います。逆に、9千円の科料でも、1年の懲役でも刑事罰は刑事罰であり、刑を重くすることによる抑止効果の増加は、限定的だと思われます。
一方で、民主主義社会における言論の自由の重要さに鑑み、言論に対する刑罰の制裁は可能な限り謙抑的であるべきで、ことに、前述したように逮捕や従犯の処罰の問題もある以上、法定刑はあえて軽い「拘留又は科料」に留めるのが適切だと思います。
被害者の救済においては、刑事手続で加害者を適正に処罰することとに劣らず大事なのは、被害者が受けた精神的苦痛に係る民事上の損害賠償請求です。ところが、誹謗中傷の被害者は、身体的・精神的に疲弊して通常の民事訴訟を提起することが困難な状況にある方も少なくないと思われますし、そもそも通常の民事訴訟における損害賠償請求については、高い費用と多くの労力・時間を要すること、独力では証拠が十分に得られないことなどの様々なハードルがあります。
そこで、本法案では、犯罪被害者が刑事手続の成果を利用して、簡易迅速な手続で損害賠償請求を行うことができる犯罪被害者保護法上の「損害賠償命令制度」の対象事件に、名誉毀損罪・侮辱罪、そして新設する加害目的誹謗等罪に係る被告事件を追加することとしました。
これにより、誹謗中傷の被害者が損害賠償請求を行う際の負担を大きく軽減し、その被害の実効的な救済を図ることができると考えられます。
発信者情報の開示請求をしやすくするための6つの改正
なお、SNS・インターネット上の誹謗中傷の多くは、匿名でなされることから、民事訴訟での被害者救済には、まず、加害者を特定しなければならないという問題があります。
この点について、現行のプロバイダ責任制限法の発信者情報開示請求制度は、開示の要件があまりにも厳格であり,開示される情報の範囲が限定されていることから、インターネット上の権利侵害に対する被害救済手段として十分に機能しているとは言い難いものがあります。
そこで、この法案では、発信者情報の開示請求を被害者にとって利用しやすい制度とするため、以下の6つの改正を行う事としました。
①特定電気通信の定義から、「不特定の者によって受信されることを目的とする」との要件を削り、不特定の者に拡散されていない、例えば、メール等の一対一のやりとりの場合も開示請求の対象とする。
②現行の開示請求は、「情報の流通」が直接の原因となって被害が生じた場合に限り認められることとされているため、例えば、ネット上に詐欺情報が載っていて、それを閲読した人がそれを誤信して財産上の損害を受けた場合には、開示請求は認められない。このような詐欺情報により被害が生じた場合も開示請求が認められるよう、権利侵害の態様の要件から、「流通」の要件を削る。
③発信者情報の開示請求を受けたプロバイダが開示の判断をするに当たり、高いハードルとされている権利侵害の明白性の要件を削る。
④現行法では、「権利を侵害する」情報の保存期間経過後には、たとえ同一の発信者から送信された情報であっても、その情報を基にした開示請求は認められていない。そこで、同一の発信者から送信された情報であれば、その情報を基に開示請求を行うことができることとする。
⑤発信者情報の内容について、現行法では、総務省令で定めるものに限定されているが、情報通信技術の進展に伴い、発信者の特定に必要な情報が変化することはあり得る。そこで、発信者情報の定義に、「その他これらに準ずると認められる情報」を加え、発信者の特定に資する情報を広く認めることとする。
⑥現行法では、個人サーバーの運営者が、そのドメイン名管理をドメイン名管理サービス会社に委託している場合には、その会社はプロバイダではないため、その運営者に関しての情報を、プロバイダ責任制限法の規定により開示させることはできない。そこで、開示請求の対象として、ドメイン名役務提供者を追加することとする。
これらの対策によって、SNS・インターネット上の誹謗中傷の被害者は、民事訴訟手続きを通じた損害賠償で、現実的に被害の救済を受ける事ができるようになります。
侮辱罪厳罰化ではなく加害目的誹謗等罪の成立を
ここまで述べてきたように、私たち野党が提出した加害目的誹謗等罪こそが、SNS・インターネット上の誹謗中傷に対し、処罰すべき対象を適切にとらえて処罰し、処罰すべきでない正当な批判を処罰対象から除外し、言論の自由を抑制することなく誹謗中傷を抑制し、被害者救済を実現する適切な法律であると、矜持(きょうじ)をもって、私は思います。
国民から負託を受けた国会議員として、今国会で、政府提出の侮辱罪厳罰化法案を廃案に追い込み、野党提出の加害目的誹謗等罪を成立させるべく、全力を尽くしたいと思います。
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あのですね、ナイフで人を刺しておいて「殺すつもりはなかった、死ぬとは思わなかった」とか、
車や単車を煽って事故となり「事故が起こるとは思わなかったとか、コケて死ぬとは思わなかった」
なんて言い訳をする奴がいるらしいことを聞いたことがあります。
私からすると、何をバカな言い訳をしてと思うのですが、
実際の裁判でそんな証言はどのように考慮されるのでしょうか、との疑問を感じたら、こんな閃きが浮かんでしまいました。
この記事に先行した第一弾の岸田侮辱法案に物申す記事(と書いてしまいますが)の記事中に貼られた写真の中に、
「今年を一文字にするとと記者から尋ねられているのに、責任、と二文字で答えちゃう人」
のことを、宮武さんは、
「こういうのを見たら誰でも、「安倍のアホ!」と言いたくなるじゃないですか?!(笑)。」
というくだりがありますよね。
これって、マジなやり取り中だからこそ、マジバカの呆れ回答としか考えられないのですが、
もし、バラエティー番組とか、たとえば、M1グランプリの一場面だったら、逆に、花丸のボケですよね。
そこで閃いちゃったんですが、もし、この場面、宮武さんの言葉に、
「こういうのを見たら誰でも『いい意味で』安倍のアホ!と言いたくなるじゃないですか」
と『いい意味で』と一言付け加えて置くとします。
これでもし、安倍から岸田侮辱法案を根拠にバカにされた~と訴えられたら、
『いい意味で』と書いたのは、「本当にうまいこと言うなあ~」って思ったからなんですよ、と本心(?)を訴え続けたら、どんな主文をいただけるんでしょうか、と閃いちゃったんですね。
ナイフで人を刺しておいてとか、首を絞めておいてとかでも、死ぬとは思わなかった、殺すつもりはなかったなんて言う奴と同じ心証となるんでしょうかね。
この岸田案の行方は私には図りかねますが、もし、成立した暁には、
以降、御上やその御一党さんや有名人の素晴らしい大ボケ・小ボケ、大マヌケ・小マヌケを馬鹿にする時には・・・。いや、褒める時には、『いい意味で』をつけることは有効な防御策となるんでしょうかね~。
たとえば、こんな風に、
『いい意味で、恥知らずですよね~とか、いい意味で、大嘘つきですよね~とか、いい意味で、またお腹痛くなっちゃったんですか~とか、いい意味で、議論をするために国会を開けという野党からの要請は無視し続けたくせに、自分の大好きな敵基地攻撃能力や核共有話では議論を避けてはならないって言っちゃうんですよね~」
なんて風にコメントすれば、なんとかなる条文ではないのかな~、なんて風に思っちゃったんですね。
あ~、やっぱ、これって、いい意味で程度の低い法律ド素人のアホな閃きなんですスかね~。w
「#いい意味で維新に殺される」とか
「プーチンっていい意味で侵略者だよね〜」
とか
「橋下維新の会といい意味のハシズム」
とか
「いい意味で違憲の安保法制」
とか、いい意味で、をつけると全ての批判が無に帰して、全く書く意味さえなくなる気がします笑笑
いいんですかね。
こんなの厳格に適用したら、自民党の強固な支持層であるネトウヨとかDappi系とか、相当痛手を被ると思うのですが。
でも、大丈夫なのです。
北海道警察に代表されるように、警察権力は最早自民党の走狗。
警察だけではなく、検察だって、例の賭博常習者で明らかなように、権力に阿る者、悪い者が出世するようなクソ組織です。
検事を見れば犬を見た時と同じく、ワンワンとか声をかけて可愛がるべきかと思います。
今のうちに言っとかないと捕まりそうなので、書かせてもらいました。
所詮、日本はそういう国なのでしょう。
これで、政権批判や維新の詐欺、イカサマの指摘を封じるのですね。
法案成立時には「厳格に運用する」と説明し、成立後は超裁量的運用で、お友達にはOKでも対立する相手には超言いがかり対応なんでしょう、きっと。
戦前、戦中の言論封殺の再来ですね。
ところで、「『ゴメンテイター』という名はコメンテイターを侮辱している」などと言いがかりをつけられることはないのでしょうか。
まあそういうときは、「ダメンテイター」にでも改名しましょうか。それとも「GO!メンテイター」がいいかな。
実は、この記事を読んで思ったことが、あくまでこの法案がこのまま通ったらという前提ですが、
それでも、果敢に政権批判をする人が出てきたら、その人達はどうするだろうなあ、と思ったんですね。
それで閃いたことが、以前、マジウヨが竹下登大先生wを褒め上げて困らせた戦術が有効な手立てとなりそうな気がしたんです。
褒めて褒めて褒め上げて困らせる、あの褒め殺し演説のことです。
たとえば、
議論をするために国会を開けという野党の要請は無視し続けたくせに、
自分の大好きな敵基地攻撃能力や核共有話では、議論を避けてはならないだなんて・・・、
・・・、一体、どの口で言っているんだ、このボケ!
と正直に書くと宮武さんに「私の弁護をしてください」とお願いしなければならない事態に陥る可能性が高いかもしれない。でも・・・、
・・・、普通の人ではとてもとてもそんなことを口には出来ませんよ、さすが、安倍大先生ー!
と書くと、どうなるのかなあ、
もしかすると、こんな感じで、ネットに褒め殺しの文化に花が咲くのかなあ、と思ったんです。
あくまで、私勝手の想像ですが、そう閃いたら、今度は、こんな閃きが浮かんだんです。
宮武さんなら読んでいなくとも、題名くらいは聞いたことがあるかもしれない、生涯弁護人という本に書かれた一節を思い出したんです。
ロス疑惑に関するところに書いてあったことなんですが、これまた、うっすら記憶を元に書くことを先に断っておきますね。
控訴審で裁判官を務めた人がその後、判例時報(のような名前?)に暴露した話。
「捜査機関の一方的な情報を基にしてマスコミが犯人視報道を繰り広げることがある。時に、それが裁判所まで汚染する。」
として、こんな裁判官がいたことを暴露したと書かれていたんです。
「日本中が有罪と思っている中で、裁判所だけが無罪を言い渡すことは出来ない、と真顔で言っていた裁判官がいた」
という経験談を述べ、
「そんな裁判官が実際にいることを否定できない」
というくだりがあったことを思い出したんです。
(この部分を正確に知りたい方は、どうぞ、生涯弁護人のロス疑惑の章を確認してください)
政権・政治家の有り様に疑問を感じ素直にその意を表明するとヤバいことになる社会の方がおかしいとの思いは同感ですし、そういう社会にしてはならないにも同感です。
それでも、もし、そんな社会となっても、果敢に政権批判をしようとする人々が、褒め殺し文化に花を咲かすかもしれないと思ったのですが、
ここでまた余計な記憶が刺激され、
そうなっても、判決を下す裁判官が権力者や世間の風向きにおもねるようだと、どうにもならないのかなあ、
なんて思ったんですね。
あくまで・・・、まあ、これも、またまたの私の妄想としておきますので、よろしくです。
ヨシムラチジ様も、全国一コロナで苦しむ民草のために、ありがたいお守りとならせられ、我らをお救いくださるのだとか、キャー。
ウクライナ政府の動画にまでいちゃもんをつけているではないか!!
ヒトラーとムソリーニとヒロヒトを同列に扱われたのが心外だと?!
どこまで図々しいのでしょう。どこが違うというのだろう。しかも、同国政府の公式アカウントであり、内政干渉なのではないですか?用語の定義が間違っていたらすみません。
毎日がエープリールフールのようなオオサカゴッサムシティーで笑いと呆れの絶えない楽しい日々を、愉快に、そして、さわやかに?送られているようにお見受けしています、です、ハイ。w
疑惑の数々をさわやかに書き綴った人がすでにいたんですね。
そして、書き下ろされた日よりさらに、さわやかな疑惑が増えていることにも、
わたくし、改めて、さわやかに、驚いちゃった次第です。w
それと、
残念、やで~、とか、復活期待してまっせ、やで~、なんつーつぶやきなど一つもないどころか、
中止、やで~、そんなん当たり前、やで~、有権者を騙す、やで~の間違いじゃないの、やで~、
なんて感じばっかのつぶやきしか付いていないのにも、さわやかに笑っちゃいました、やで~。w
両方とも知りませんでしたが、
流石に、知事のお守りって、商魂たくましい大阪ならではなのかなあ、なんて思っちゃいました。
ということは、事実を適示した時点で、それは刑法230条第1項乃至同2項の構成要件に該当するか否か、その違法性阻却事由たる刑法230条の2に該当するか否かが争点となります。
間違っているのはraymiyatake君の方です。