(左から当事務所弁護士秘書ちかボン、関学ロー出身の中嶋さんと田尻さん、同志社ロー出身の谷岡さん)
2012年5月26日、兵庫県弁護士会主催のホームレス法律相談に参加してきました。
これは、尼崎市と西宮市の境を流れる武庫川の川縁でテントを作って暮らしておられるホームレスの方々をお一人お一人訪問して、生活保護申請をして、アパートに移転して、ホームレス状態から脱出するようにお手伝いする試みです。
もう5年以上続いている相談会で、私が参加するのは2年ぶりのことです。
今日、驚いたのは、10名ほどのベテランの弁護士達に混じって、ロースクール出身の弁護士達が多数参加していたことです。我が関学ロースクールの教え子?さんたちも4名参加しておられました。
別に私がお誘いしたわけではありませんよ。
(テントの中に呼びかける谷岡さん。ちかボンが持っているのは差し入れのカップ麺)
最近は不景気の上に、司法試験の合格者増で弁護士不況と言われており、ロースクールで借金を抱えているロースクール出身者は人権活動をしないと言われています。
まして、ホームレスの方のテントを一軒?一軒訪問してお話しするなんていう儲かりそうもない仕事に、こんなに多数のロー出身者が来てくださるなんて嬉しい驚きです。
法曹養成制度の制度設計は間違いだらけでしたが、そんな中、弁護士・検事・裁判官になろうと目指してくださったロー生たちの志は、昔とちっとも変わらないのだと感じました。
さらに、今回一番驚いたのは、お話しできた方が全員、中高生による花火投げ込みなどの「いたずら」に悩まされていたことでした。テントが燃えた事件もあったとのことで、もう、いたずらではすみません。
弁護士10人余りで30人以上のホームレスの方とお話しできたのですが、ほとんど全員が花火や石を投げられるなどの被害に遭っておられることがわかり、即日、弁護士会から管轄警察署に見回りなどの対策を申し入れました。
路上生活者の方々の住居に花火を投げ入れた中学生の事件が、もし子ども未来法律事務所に来たら、これは相当強くお灸を据えることになりますね。弱い者イジメも甚だしい愉快犯ですから。
(ホームレスの方と話す谷岡さんとちかボン)
次に驚いたのは、生活保護費の上前をはねる貧困ビジネスがいまだにしょっしゅうくるという話もさることながら、やはり河本準一さんの事件を皆さん知っておられて、
「生活保護もどんどん切り捨てられるんやろ?厚労相も1割下げるって言うてるんやろ?」
「国が財政赤字なのに、わしらが迷惑かけたらあかんやろ?」
と生活保護申請をお断りになったことです。河本さんの事件をはやしたてた雑誌などマスメディアと自民党の議員たちの罪は重いと思いましたね。
河本準一さん親子問題から考えると間違える。生活保護の本質は憲法上の基本的人権である生存権の保障だ!
(お留守宅に名刺を置いている私)
花火をテントに何度も投げ込まれるので、子ども達が花火をする夏休みは別のところに移るとおっしゃっていた69歳のおじいさんが、何度も、国の税金をわしらに使わせるわけにいかないとおっしゃるので、
「国家財政より、ご自分の安全を考えてください」
と申し上げたのですが、頑として生活保護申請は拒否されたのでした。
何度も言いますが、生存権を行使すべき方々が我慢しておられるから、生活ほと受給者が200万人そこそこで済んでいるのです。
それがこの国の美風かもしれませんが、もう少し、人に助けてと言っていいのではないかと思わずにはいられません。生活保護切り捨て派の人たちは、こういう慎ましい方々を日本人の鑑だと褒めそやすのでしょうか。
人は社会的な弱い動物。集団でなければ生きていけない生き物です。助け合いとは他人に助けてもらうことを当然含んでいます。
助け、助けられる。そんな当たり前のことが当たり前に自然に出来る世の中の方が誰もが生きやすいのではないでしょうか。
人は皆一人では生きていけないものだから。
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勿論、がむしゃらに勉強して来たり、努力をした見返りは得て当然とは思いますが、儲けの度を越した額のお金は、本来はがむしゃらに働いても安い給料しか貰えない労働者から、余分に吸い上げた分だと思うからです。
貰っても良いけれど、野生の世界に当てはめれば、食べきれない分の獲物を取るのはルール違反。皆に分け与えてこそ、尊敬もされようというもの。
蓄財されると、その分は市場に流れません。国にとっての血液の流れを悪くしているようなものです。
それに比べて、低所得層や生保受給された方のお金はほぼ全て市場に吐き出されます。
国にとってはどちらが偉いのかなど、比較することは出来ないのです。
国の健康の為に大事なのは中間層を増やすこと。労働と所得と納税のバランスが取れた層が増えることが国の強化に繋がると思います。
その為にも底上げが大事。
生保を減らすには、弱肉強食の体質を改めて、みんなで幸せになるという理想を掲げることが近道なのではないでしょうか。