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今から10年以上前の2011年11月に書いた
橋下徹・松井一郎氏の維新の会 大阪ダブル選挙マニフェストの経済政策がまたカジノ誘致
で引用した、同月1日付けの読売新聞の記事を見てください。
カジノ誘致、2%成長…大阪知事選の維新公約
地域政党・大阪維新の会(代表=橋下徹・前大阪府知事)が松井一郎府議(47)を擁立する大阪府知事選(27日投開票)で掲げる公約(マニフェスト)の詳細が明らかになった。
カジノ誘致や関西空港の拠点(ハブ)空港化を進め、年間の府の実質成長率2%以上、雇用創出1万人以上などを目指すことを掲げた。橋下代表が知事時代に策定した府の成長戦略に沿った内容で、「橋下色」を全面的に引き継ぐ公約と言えそうだ。1日午後に発表する。
公約案では、カジノを含む統合型リゾート施設の立地を促進し、エンターテインメント都市を目指す。関空の機能強化では、大阪中心部と結ぶ高速鉄道 なにわ筋線やリニアモーターカーの整備を促し、2020年に外国人観光客を現在の3倍近い年間650万人に増やすことを目標にした。
(本当にマカオでカジノの視察をした橋下徹大阪府知事)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/b8/eafe3c4f65488b3ba2dd3bca6f32271c.jpg)
に書いたように、橋下氏にはとにかく大阪にはギャンブルしかないんやという思いが強いんです。
わたくし、この記事で
「ちっちゃな頃からギャンブラーって、チェッカーズかよ!」
って最後に関西人らしく突っ込んだんですが(笑)。
なにしろ、2009年10月29日、大阪市内で企業経営者ら約750人を前に講演した橋下府知事が言うことには
「増税の前にカジノ。兵庫や京都の知事がダメといっても関係ない。エンターテインメントやわいざつなものは全部、大阪が引き受ける」
「こんな猥雑な街、いやらしい街はない。ここにカジノを持ってきてどんどんバクチ打ちを集めたらいい。風俗街やホテル街、全部引き受ける」
「日本はギャンブルを遠ざけてお坊ちゃま、お嬢ちゃまの国になっている。ちっちゃい頃からギャンブルを積み重ね、勝負師にならないと世界に勝てない」
だというのです。
わたくし、2013年3月には
大阪に対する「愛」がない橋下市長が安倍首相にカジノをおねだりした
という記事を書いたのですが、大阪に対して「こんな猥雑な街、いやらしい街はない」はないだの、大阪に博打打ちを集めたらいいだの、大阪に対する愛がないから、大阪市を解体する大阪「都」構想なんかも思いつくんだとつくづく思わされます。
2025年予定の大阪・関西万博の会場となる大阪市此花区の人工島・夢洲(ゆめしま)の整備について、液状化や土壌汚染などの問題が相次いで明らかになっています。
そのため、この1年余りで工事費の増加分は少なくとも2300億円を超え、雨がっぱ松井市長とイソジン吉村大阪府知事の大阪維新の計画性のなさがまたも露呈しました。
吉村府知事と松井市長は2021年12月にカジノを含む統合型リゾート(IR)の整備計画案の骨子を発表した際、大阪市所有地の液状化防止の地盤改良や土壌汚染対策、地中障害物撤去などに約790億円かかると発表しました。
松井市長は、この約800億円もIR事業者からの土地賃貸収入(年25億円)やインフラ整備負担金(203億円)などで返済できると言い張り
「IRが大失敗するなら、ものすごい自然災害が起き、夢洲が使えなくなる時だ」
と強弁したのですが、ラスベガスでさえコロナでカジノがどんどん倒産しています。
もう時代はオンラインカジノなんですよ。
そして、すでにアジアだけでも香港・マカオ・韓国などに先行する大規模なカジノがあるのに、なんでしょぼい大阪カジノまでお客さんが来てくれるんですか。
さらに、大阪・関西万博へのアクセス道路として先行利用する予定の阪神高速淀川左岸線の工事費も上ぶれしていて、現在建設中の4・4キロで、土壌汚染対策などに最大756億円が必要となり、事業費は当初想定の1162億円の1・6倍以上となる見通しです。
この事業費は国が55%、市が45%を負担するので大阪市の負担は900億円近くになります。
さらに夢洲への大阪メトロ中央線延伸部の整備費は、軟弱地盤対策や地中障害物の撤去などに96億円の追加費用が必要となり、整備費は250億円から346億円に膨らむのですが、これは大阪市が約4分の3、国が残りを負担するので、大阪市の負担は260億円。
さらにさらに、中央線の新駅「夢洲駅(仮称)」の増強や周辺通路の拡幅にも新たに33億円が必要となるんです。
そして松井市長は改札前広場や万博会場への階段を整備する事業者を公募したが応募はゼロ!!で、これも大阪市が約30億円をかけて自分で整備するんです(呆)。
松井市長は万博・IR事業の開始前から、追加に次ぐ追加で費用が増大しており、しかもそれを市民の税金で賄うことについて
「試算が甘かった」
「市の品質管理が非常にずさんだった」
と認めつつ、
「大阪市としてIR誘致を決定した以上、その施設が成り立つ土地を提供することが市の責務だ」
「港営会計が破綻しないよう、一般会計で支えるのは当然必要」
と強弁しています。
【カジノ担当副大臣だった秋元司被告人に一発実刑判決】横浜市民が反対に立ち上がって潰したカジノ(IR)をもし大阪市民が受け入れたら、満天下に恥をさらすことになる。万博とカジノしかない維新に騙されるな。
そして、松井市長は
IRの経済効果は年、1兆2000億円、カジノの負担金は大阪市だけでも毎年550億円、借地料が毎年25億円、これらが市民へのリターンです。これでも市民負担ですか?貴方はメディアの人間では無く、大学教授なんだから、しっかり算盤を弾いて下さい。 https://t.co/z5CU43OdaF
— 松井一郎(大阪市長) (@gogoichiro) December 20, 2021
と大風呂敷を広げ(大法螺を吹い)ています。
しかし、IRにかかる費用の見積もりだけでもこんなにしくじっている維新の会の、これだけ儲かりますという皮算用だけ信じることなどどうしてできるでしょうか。
もし維新の会がどうしてもカジノをやりたいのなら、彼らの大好きな住民投票をすべきです。
東京都や国が大儲けできると吹聴して誘致した2021年の東京五輪・パラリンピックでも、大会経費は当初の1兆3500億円から1兆4530億円に膨らむ見通しとなるなど、想定の甘さが問題となりましたよね。
特に新国立競技場はこれから特に使い道がないのにまだ毎年何十億円も維持費がかかります。
大阪の巨大埋め立て地の夢洲(ゆめしま)が東京都の夢の島のようなゴミ捨て場のようにならないと言い切れますか。
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大阪府の橋下徹知事は29日、大阪市内で企業経営者ら約750人を前に講演し、関西の活性化には都市ごとの役割分担が必要との考えを示したうえで、大阪について「こんな猥雑(わいざつ)な街、いやらしい街はない。ここにカジノを持ってきてどんどんバクチ打ちを集めたらいい。風俗街やホテル街、全部引き受ける」と述べた。
橋下知事は京都と奈良を「世界に誇れる観光の街」、神戸を「日本を代表するファッションの街」と位置づけ、「大阪はエンターテインメントの街でいいじゃないですか。都市で役割分担して、上がってきた税収を分ければいい」と語った。
さらに、「大阪をもっと猥雑にするためにも、カジノをベイエリアに持っていく」と、大阪南港でのカジノ構想を改めてぶち上げた。
(2009年10月29日23時02分 読売新聞)
2010/10/29 14:39
[ 2010年10月29日 大阪朝刊 社会面 ]
大阪府の橋下徹知事は28日、東京都港区で行われた「ギャンブリング*ゲーミング学会」(事務局・大阪商業大学)の第8回学術大会・総会に出席し「猥雑(わいざつ)なものやエンターテインメントはすべて大阪が引き受けます」と述べ、カジノ誘致に改めて強い意欲を示した。
学会ではカジノなどについて研究するとともに、日本でのカジノ実現を提唱している。この日は橋下知事のほか、カジノ合法化などを目指す国会議員らも参加、日本の特徴にあったカジノのあり方などが話し合われた。
橋下知事はこの日、「増税する前にカジノ。大阪にカジノを含めた統合型リゾートを作れば、世界から人が呼び込めて、とてつもないパワーとなる」と指摘。
また、外交問題を意識してか「近隣諸国との問題もあるが、政治判断もある種のギャンブル。先進国こそギャンブルが必要で、国民を勝負師にする必要がある」と持論を展開していた。
カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致を巡り、大阪市に新たな費用負担が生じることになった。大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)の建設予定地で、液状化の危険性などが判明し、土地所有者の市が約790億円の対策費用を負担することを決めたためだ。市の内部資料からは、松井一郎市長の強い意向により、市負担が特例的に決まった経緯が見て取れる。IR招致に名乗りを上げた全国3自治体のうち、大阪が異例とも言える巨額の財政措置に踏み込んだ経緯に迫った。
「これだけ問題がある土地なんだとびっくりしている。これからにぎわいの拠点にするので、安全な土地を提供するのが市の責任だ」。松井市長は10月5日の市議会で、市が対策費を負担する考えを表明し、12月21日の大阪府・市の会合で市負担が正式に決定した。
IR予定地は万博会場予定地に隣接する49万平方メートル。MGMリゾーツ・インターナショナル(米国)とオリックス連合の事業者が、カジノやホテル、大規模会議場など、延べ77万平方メートルの施設を整備し、2029年秋~冬の開業を目指す。<picture></picture>
市などによると、事業者が20年に行ったボーリングによる地質調査の結果、39地点中24地点で大地震の際に液状化する恐れのあることが判明した。事業者は「万全の対策が必要だ」として、敷地全体の地盤改良を行うよう市に求めた。
市は、液状化対策費を約410億円と算出。ヒ素などが含まれる土壌の改良費や、地中残置物の撤去費も含めた費用を約790億円と見積もり、22年2月の市議会に予算案を提出する。しかし、市が、舞洲(まいしま)など、夢洲と同じ大阪湾の埋め立て用地の販売で、液状化対策費を負担したケースはない。
なぜ、今回に限って市は負担を認めたのか。意思決定の詳細が、情報公開請求で入手した内部資料で明らかになった。6月29日に松井市長以下、副市長や関係部局の幹部ら約10人が液状化対策費の負担について対応を検討した。夢洲を所管する大阪港湾局は「民間業者の建設費の一部を負担するとみなされ、地盤改良をせずに売却してきた土地との公平性を保てず、住民訴訟で敗訴する可能性がある」との弁護士の意見を紹介。負担するなら、IR実現のための「政策的な観点」で支出するという理由付けが必要との認識を示した。
一方、IR推進局は「(土地によって)条件に差異が生じることは当然で、住民訴訟で敗訴する可能性があるとは考えられない」とする別の弁護士の見解を示し、土地所有者として市が負担することは妥当とした。
予定地は市が賃貸借契約を結んで貸し出し、事業者が年間約25億円の賃料を支払う。市が定める事業期間は35年間で、市は計約880億円の賃料収入を見込む。
両部局の見解を受け、松井市長は「液状化が生じる土地で事業者が施設を建てられないのなら、土地の賃貸借契約が成り立たない。誘致を決めた以上、IRが成り立つ土地を提供するのが市の責務だ」と主張。市負担が決定した。
どの会計で負担するかについても意見は割れた。IR推進局が「必要に応じた一般会計からの繰り出し」を挙げたのに対し、財政局は「IR事業に一般会計の市税を投入しないのが従来のスタンスだ」と指摘。埋め立て用地の造成・販売の費用や売却益などでやりくりする「港営事業会計」で賄うよう求めた。市民サービス提供のための一般会計から、民間事業の経費を支出することはそぐわないためだ。これに対し、松井市長は「港営会計が破綻しないよう、一般会計で支えていくのが当然必要だ」と強調。最終的には、港営会計での負担を原則としつつ、一般会計からの資金支援も今後検討することで決着した。
内部文書で見える「優遇」<picture>
</picture>![拡大](https://cdn.mainichi.jp/vol1/images/v2/common/icon_scale.svg)
市によると、一般会計から港営会計への資金支援は、旧大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)の破綻処理で、09年に164億円を拠出した一度しかない。市が負担する理由を整理した内部文書では、「夢洲の国際観光拠点形成に資する中核施設」などとIRのメリットを強調、「特別な事情に鑑み、必要な負担を行う」と明記され、優遇ぶりをうかがわせた。松井市長は21日、記者団に、賃料収入などが事業者から見込めるとして、「市民に負担をかけるような形にはなりません」と述べた。
市議会で質疑をしてきた多賀谷俊史議員(自民)は、IR整備に名乗りを上げた業者がMGMとオリックス連合のグループだけだったため、「市は足元を見られているのではないか」と懸念する。
市の姿勢を識者はどうみるのか。元神奈川県逗子市長の富野暉一郎・龍谷大名誉教授(地方自治論)は「IRと同等の地盤強度が必要な施設建設について、市の責任で対策費を負担することが前提となり、夢洲全体の投資額が財政を圧迫する恐れがある」と指摘。「事業者の地質調査結果をうのみにせず、専門家に検討を委ねるなど、財政支出を厳格にチェックすべきだ」と強調した。【野田樹】
■ことば
夢洲(ゆめしま)
大阪市が1977年に大阪湾で造成を始めた人工島で、総面積は390万平方メートル。廃棄物や海底の浚渫(しゅんせつ)土を使って埋め立てられた。当初は居住地区としての利用が模索され、招致を目指した2008年夏季五輪では選手村の建設計画もあったが、いずれも失敗。これまで3000億円以上が投じられ、「負の遺産」として活用法が課題となっている。大阪府・市・経済界が17年にまとめた構想で、カジノを含むIR誘致を念頭に国際観光拠点を目指すとされた。南側の155万平方メートルは25年大阪・関西万博の会場予定地となっている。
2022.01.26 06:00 ビジネスジャーナル
大阪IR誘致、29年の開業表明…“巨大な廃墟”化の懸念、巨額税金投入の是非
文=編集部
大阪の夢洲(「gettyimages」より)
大阪府と大阪市は昨年12月21日、誘致を目指す統合型リゾート施設(IR)の「区域整備計画案」を公表した。2029年の秋から冬ごろに施設を開業したいと考えていることを表明した。開業時期は、これまでは「20年代後半」としか示していなかった。
25年の国際博覧会(大阪・関西万博)の予定地である人口島・夢洲(ゆめしま)にIR施設を整備する。延べ床面積は約77万平方メートル。カジノのほか国際会議場、展示場といった施設や、客室数で市内最大級の3つのホテル、3500人を収容する劇場などが計画されている。ホテルでは全客室の20%以上がスイートルームになる。 海外の富裕層をターゲットとする。
大阪IRの事業者は米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスを中核とする共同企業体。初期投資額は約1兆800億円で、半分弱にあたる約5300億円は関係企業による出資で賄う。MGM、オリックスが40%ずつ折半出資し、残り20%は関西企業を中心に20社の出資を仰ぐ。
20社の合計の出資額は1000億円強となる。岩谷産業、NTT西日本、大阪ガス、大林組、関西電力、近鉄グループホールディングス、京阪ホールディングス、サントリーホールディングス、JR西日本、JTB、ダイキン工業、大成建設、大和ハウス工業、竹中工務店、南海電気鉄道、日本通運、パナソニック、丸一鋼管、三菱電機、レンゴーの20社である。初期投資額の51%にあたる5500億円は融資で調達。すでに三菱UFJ銀行、三井住友銀行から融資を確約する「コミットメントレター」を受け取り、2行を中心に金融機関が協調融資団をつくる。
大阪IRでは、予定地の周辺でヒ素やフッ素による土壌汚染が確認されているほか、掘削調査で地中に液状化の恐れがある層の存在が判明している。市は汚染残土の処分などの環境対策費として790億円を負担する。財源は起債である。区域整備計画案の骨子では年間来場者数は2000万人。近畿圏の経済効果は年間1兆1400億円と想定。大阪府や市は納付金や入場料などで毎年1060億円の収入を見込む。夢洲周辺の整備や子育て支援などに使うとしている。
MGMとオリックス連合の共同事業体・大阪IRに小規模出資する20社の名前が具体的に盛り込まれた。関西電力、パナソニック、サントリー、NTT西日本、近鉄など、地元になじみのある企業が参画することで、地元に安心感が醸成されることを期待している。
住民の根強い反対でIR誘致が中止された横浜市では、地元企業の協力が十分でなかったと指摘されており、大阪府・大阪市は地元企業との連携に力を入れてきた。府・市は両議会で区域整備計画の同意を取り付け、4月ごろに国に認定の申請を行う予定にしている。
和歌山、長崎は厳しい情勢
政府は21年10月から22年4月までIRの区域整備計画の申請を受け付ける。最大3カ所が選ばれる見通しだが、現在、申請準備を進めているのは大阪府・市、和歌山県、長崎県の3地域のみ。本命視された横浜市は撤退し、東京都は検討作業を休止しており、誘致合戦は盛り上がりを欠く。
和歌山県はカナダのクレアベスト・グループを事業者とし、和歌山市の人口島・和歌山マリーナシティへの誘致を目指している。施設の名称は「The PACIFIC」とし、米カジノ大手シーザーズ・エンターテインメントが運営するカジノ施設のほか、1万2000人収容の国際会議場、計2638室の宿泊施設などを備え、27年秋ごろに開業する計画だ。
初期投資は4700億円。年間来場者約1300万人を見込む。和歌山県に入る入場料・納付金の見込み額は、開業後5年間で入場料が計600億円、納付金が1100億円と想定。ギャンブル依存症への対策費に充てる。和歌山IRは大阪のそれと完全に競合する。「関西にカジノは2つも必要ない」(関係者)ことから、誘致の見通しはかなり厳しい。
長崎県は佐世保市のリゾート施設ハウステンボスへの誘致を目指してきた。IRの設置運営予定者としてオーストリアの国有企業カジノ・オーストリア・インターナショナルの日本法人(CAIJ)を選定。初期投資額で3500億円、年間来場者840万人を見込む。初期投資費用はCAIJ側が全額用意する。コンソーシアム(共同事業体)を形成して資金を供出することにしているが、パートナー企業のなかに数百億円を捻出できるような大企業は見当たらない。初期投資3500億円の資金調達のめどがたっていないと報じられている。
IRの旗振り役だった菅義偉前首相のお膝元でもあり、本命視されてきた横浜市が、反対派の山中竹春市長の誕生で一転して撤退を決めた。誘致活動を進めるのが西日本の3地域のみとなり、政府の判断に影響を及ぼすことになりそうだ。
さらに、猛威を振るう新型コロナウイルスがIR環境を一変させた。コロナ以前につくられた大規模集客施設の青写真や経済効果を見直すことなく突き進めば、IR施設は巨大な“廃墟”になる恐れさえ出てきた。バブル時代に相次いで建設されたリゾート施設に閑古鳥が鳴いたのと同じ轍を踏むことになるからだ。
withコロナ時代にIRが必要不可欠な施設なのかどうかを十分に吟味しないと「令和の時代の戦艦大和をつくることになる」(関係者)。
(文=編集部)
大阪市は、カジノを含むIR予定地の土壌対策費790億円を負担すると昨年末に公表した。なぜ例外的に負担することになったのか。その経緯を知る手がかりとなる資料は「黒塗り」になっている。大阪維新の会も強く批判してきた、大阪市の過去の湾岸開発の二の舞にはならないか。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
松井市長は大阪IRがもたらす
「市民へのリターン」を強調するが
新型コロナウイルスの「オミクロン株」の感染拡大が止まらない中、その発信力で注目を集める大阪府の吉村洋文知事。一連の対応には批判もあるが、それでも人気は絶大だ。ただ、同氏が代表を務める大阪維新の会にとって「大阪都構想」に並ぶ看板政策である、カジノを含むIR(統合型リゾート)を大阪市の湾岸に整備する計画には、暗雲が垂れ込めている。
大阪維新の会の“国政部門”である日本維新の会の代表で、維新の最高実力者である松井一郎大阪市長は2021年12月、IRの計画地である大阪市南西部の埋め立て地「夢洲」に土壌汚染や液状化の対策が必要であるとし、市の負担額が790億円になると公表した。
さらに今年1月には、大阪メトロ中央線の新駅を夢洲に設置するための延伸工事の費用が、当初の540億円から、129億円膨らむ見通しであることも判明した。
維新のキャッチフレーズは「身を切る改革」――。民間の手法を導入して行政コストを削減し、IRなどの成長戦略につなげると訴えてきた。
松井市長は土壌対策費790億円について、「負担」と報じられたのがよほど気に障ったらしく、この金額が公表された21年12月20日、大阪府立大学の住友陽文教授に反論する形でツイッターに「IRの経済効果は年、1兆2000億円、カジノの負担金は大阪市だけでも毎年550億円、借地料が毎年25億円、これらが市民へのリターンです。これでも市民負担ですか?」と投稿した。
IRの経済効果は年、1兆2000億円、カジノの負担金は大阪市だけでも毎年550億円、借地料が毎年25億円、これらが市民へのリターンです。これでも市民負担ですか?貴方はメディアの人間では無く、大学教授なんだから、しっかり算盤を弾いて下さい。 https://t.co/z5CU43OdaF
— 松井一郎(大阪市長) (@gogoichiro) December 20, 2021
土壌対策費790億円に加え地下鉄分も負担
“政治主導”で一般会計による穴埋めが決定
府・市IR推進局の資料によると、IR施設の運営による近畿圏での経済波及効果の見込みは年間1兆1400億円、カジノ運営業者から府と市に毎年入る納入金と入場料の推計額は、それぞれ530億円だ。数字が微妙に異なるが、松井市長はこれらの数字を挙げたとみられる。
市が負担を決定した経緯を報じた毎日新聞の記事によると、21年6月に松井市長ら市の幹部が出席した会議で、港営事業会計を所管する市の大阪港湾局が、民間企業であるカジノ事業者の建設費用を市が一部負担するのは住民訴訟の対象になる恐れがあるとの弁護士の指摘を紹介。一方でIR推進局が市の負担は妥当とする弁護士の見解を示した。
最終的に土壌対策費790億円は、市債を発行し、一般会計ではなく、港湾地域の倉庫の利用料や土地の賃料などで成り立つ港営事業会計から返済されることになった。
なお前述の松井市長のツイートの通り、カジノ事業者らから港営事業会計に支払われる賃料は毎年25億円で、35年間の定期借地契約で得られる収入は単純計算で875億円となる。ただ、土壌対策費790億円との差はわずか85億円。さらに前述の大阪メトロ延伸の追加費用の一部も、港営事業会計で負担することとなっている。
一般的に港湾や埋め立て地の開発で必要となる土壌汚染対策や地盤改良などの工事は、計画時はその規模を見通しにくく、工事を進めるほど費用が膨らむことが多い。東京・築地から18年に移転した豊洲市場で大問題になったのがいい例だ。夢洲での工事費用が今後さらに膨らめば、想定される賃料収入を上回ってしまう恐れがある。
6月のこの会議の場で松井市長は「港営事業会計が破綻しないよう、一般会計で支えていくのが当然必要だ」と述べた。これで、市民からの税収などで成り立ち、福祉、教育、土木など市民サービスのために支出する一般会計で港営事業会計を穴埋めすることとなった。財政局が難色を示したが、“政治主導”だったようだ。
カジノ事業者に足元を見られた?
再募集前の会議資料は「黒塗り」
カジノ運営を担う事業者の中核となるのは、米カジノ大手のMGMリゾーツ・インターナショナルの日本法人とオリックスの2社だ。19年12月に始まった事業者の募集に唯一、この2社の企業連合が応募して、21年9月に決定した。
事業者の募集は、夢洲の土壌汚染が判明してから21年3月に再度実施され、その際の募集要項には以下の文言が追加されていた。
IR施設を整備するに当たり支障となる地中障害物及び土壌汚染等に起因して設置運営事業者の負担が増加すると見込まれる場合は、設置運営事業者の施設計画や施工計画等を踏まえ、対応方法等について事前に協議の上、大阪市の設計・積算基準等により、大阪市が当該増加負担のうち妥当と認める額を負担するものとする。詳細については、事業条件書等において示す。
大阪市はこれまで、夢洲と同様の咲洲(さきしま)や舞洲(まいしま)といった埋め立て地を売却したり賃貸したりする際、土壌汚染対策などの費用を市が負担しないことを原則としてきたが、夢洲のIRをめぐっては、これが例外的に放棄された形だ。なぜか。
唯一の応募事業者だったMGM・オリックス連合と市とのやり取りが要因となりうるが、それが一体どのようなものだったのか、今なお明かされていない。
自民党大阪府連は都構想やIRをめぐって、維新と激しく対立してきた。大阪市議会自民党の川嶋広稔議員は21年12月24日、市当局から興味深い資料を受け取った。
21年3月の追加募集の前の2月12日、夢洲の整備計画の修正案を協議した市の「戦略会議」の資料提供を市当局に求めたが、松井市長ら出席者と概要以外の記述が黒塗りにされていた(下写真)。開示された戦略会議は全7ページのうち、1枚目の後半以降がすべて黒塗りだった 写真:川嶋大阪市議提供 拡大画像表示
川嶋市議はダイヤモンド編集部の取材に「MGM・オリックス連合側から市に対し、土壌汚染対策などの費用負担の要求があったのではないか。黒塗りの資料にはその内容が記されている可能性がある。どうしてもIRを実現したい市側が、唯一の応募者に足元を見られ、いいようにされているのではないか」と指摘する。
それでも年間530億円という「リターン」が府と市にそれぞれもたらされるからいいではないか、というのが松井市長の言い分だ。では、その根拠を検証してみよう。
府と市の収入は「コロナ収束が前提」
維新の看板政策、WTCの二の舞に?
530億円のうち府と市への納入金は、事業者が得る粗利の15%。入場料も当然、入場者数に左右されるので、彼らの事業が不振になれば、府と市の収入も減る。コロナ禍でMGMら世界のカジノ大手が大打撃を受け、大阪・ミナミの商店街を埋め尽くした中国系インバウンド観光客が消え去ったことを考えれば、決して安定した収入とは言えない。
市IR推進局は取材に対し、これらの見込み額の試算には外国からの来訪客の影響も含んでおり、コロナ禍が今後収束していくことを前提としていると説明した。現在まさに進行している事態の教訓が生かされていないのである。
かつて大阪湾岸では、市が超高層のワールドトレードセンタービル(WTC、現大阪府咲洲庁舎)を建設したもののテナントが入らず、第三セクターである運営会社が破綻。09年に一般会計から港営事業会計に164億円を拠出して支援した。大阪市民にとっては実に忌まわしい記憶だが、もし夢洲の土壌改良工事で港営事業会計を穴埋めすれば、この時以来の悪夢となる。松井市長がいかに「リターン」を強調しようとも、資料を黒塗りにするようでは、あまりに説得力を欠く。
橋下徹元大阪市長ら維新はもともと、こうした行政の乱開発の失敗を強く批判して大阪の有権者に浸透。今や地元民放テレビ局の番組に吉村知事らがたびたび出演する人気ぶりで、昨年10月の総選挙では、大阪府内の全選挙区で候補者が当選するほど盤石な地位を築いた。
ちなみに橋下氏は府知事時代に「増税よりカジノ。収益の一部は教育、福祉、医療に回す」と豪語した。だがコロナ禍で医療の危機は目下、継続中であり、それは維新の行政改革による医療や保健所機能の低下が一因と批判されている。
コロナ禍初期の20年4月、橋下氏はツイッターで「僕が今更言うのもおかしいところですが、大阪府知事時代、大阪市長時代に徹底的な改革を断行し、有事の今、現場を疲弊させているところがあると思います。保健所、府立市立病院など。そこは、お手数をおかけしますが見直しをよろしくお願いします」と言及した。
挙句、IRへの「投資」が市民負担に転じれば、WTCの二の舞となり、大阪市政に新たな負の遺産を作り出すことになる。後になって「見直し」をすることはできない。
1ページ目3段落目:127億円膨らむ見通しであることも判明した。→129億円膨らむ見通しであることも判明した。
(2022年1月21日14:48 ダイヤモンド編集部)
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大阪の納税者の税金でカジノ行政というギャンブルをして、勝てばその有形無形の利益を維新が得て、負けても負け分を払うのは維新ではなくて大阪の納税者。それが維新の仕事。
事業計画のずさんさからして、維新カジノがうまくいくことはないでしょう。だけど、仮にうまくいったとして、そのもうけが大阪の住民に還元されることはないのですよね。
大阪府民、大阪市民はそうは考えないのか、不思議です。
村野瀬さん、コメントありがとうございます。
最近は特にご健筆で嬉しい限りです。
特にこの大阪カジノの記事で、どうしてたくさんの方のツイートを紹介すると効果があるのか、よく納得できました。
なにしろ情報や意見が豊富で、私も知らないことが一杯でした!
冒頭の
「大阪IRの1兆円の経済効果や530億円の税収は、
毎年6兆円、掛け金が投じられる前提。」
という話から目が鱗です。
ありがとうございました!
他人(一般納税者)のカネ(税金)で自分だけが利益を得る構造を作って損失が出れば他人(納税者)におっかぶせる「商売」をするだけの自公政治、維新政治。これが日本の政治を理解する肝だと思います。
ネトウヨさんたちは巡回して応援しあってるとしか思えません笑笑