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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

安倍政権が強行採決しようとしている「平和安全法制」は日本を平和で安全にする法案か、戦争法案か。

2015年09月15日 | 安倍政権の戦争法

1 アメリカがA国に先制攻撃をする

2 A国がアメリカに反撃をする

3 A国が日本に対する攻撃意思がなくても、日本はアメリカを守る集団的自衛権の行使でA国に攻撃できる

4 そしたら、A国はもちろん個別的自衛権で日本に反撃してくるし、A国の同盟国のB国だってA国を守る集団的自衛権で日本に反撃してくる。

 

 

 安倍内閣は、現在参議院で審議中の「平和安全法案」について、今週9月17日にも採決しようとしています。これは、野党第一党から第四党までが採決に反対する中で、審議を打ち切ってなされる採決ですから、強行採決と言っていいでしょう。

 この「平和安全法制」について反対する野党や市民は、私も含め、

「戦争法案」

と名付け、そう呼んでいるのですが、安倍首相は

「戦争法案とは不当なレッテル張りだ。平和安全法制は二度と戦争をしないための法案だ」

と主張していますし、うちのこのブログにもタカ派の方々が何度か同趣旨のことを書かれています。

 では、「平和安全法制」は日本が戦争をする、戦争に巻き込まれる危険性を減らすのでしょうか、増すのでしょうか。

安倍首相には、ご自身があり得ないと言えば言うほど国民の疑念が高まるのはなぜかを真剣に考えていただきたいです。

 

 

 これまでの自衛隊は日本が攻められたときにのみ武力行使するという「専守防衛」を任務としていたのに対して、今回の「安保法制」では日本が攻められていなくても、アメリカが戦争しているときに、相手国から武力攻撃を受けたアメリカを守る(集団的自衛権の行使)ということでアメリカの相手国と戦争できることになります。

 また、アメリカが他国と戦争しているときに、「後方支援」ということでアメリカの戦争遂行に必要不可欠な兵站を受け持つことになり、アメリカの相手国がそこを攻撃してくる可能性が増します。

 これらからすると、専守防衛よりも自衛隊が戦闘に入る場面は飛躍的に広がるので、日本が戦争をする危険性が増すのが論理的には当たり前だと思います。

安倍政権「日本人が乗っていなくても米艦は守る」。そして、米艦は日本の民間人を乗せて助けたりしない。

 

 

 これに対して、安倍首相は、9月14日の参院安保法制特別委員会で次のように「安保法案」の必要性を説きました。

「今日、わが国を取り巻く安全保障環境は、昭和47年(1972年)に政府見解がまとめられたときから40年以上を経て、想像もつかないほど変化している。」

 しかし、40年前は米ソ冷戦時代で、アメリカ・日本と互いに仮想敵国として敵対し合っていた超大国ソ連が存在していましたが、旧ソ連は崩壊し、ロシアなどに分かれてしまいました。ロシアも非民主主義的な国ではありますが、その危険度においてソ連の比ではありません。

 もちろん、軍拡や南沙諸島での横暴などが目立つ中国も、たとえば、保有する核弾頭はかつてのソ連が2万発以上保有していたのに比べて中国は200発未満と1%以下で、可愛いものです。

今のアジアは冷戦時代より緊張が緩和しており、戦争法制は必要ない

米国とロシア、英国、仏国、中国の核兵器数推移

米国とロシア、英国、仏国、中国の核兵器数推移
(Bulletin of the Atomic Scientists) 原子燃料政策研究会のHPより

核5大国の核兵器数推移。中国(黄)がアメリカ(青)よりはるかに少ないのがわかる。


 

 また、中国の船が日本の領海を侵犯すると言っても、ソ連の潜水艦に比べると脅威はずっと少ないです。

東シナ海で中国がおかしな施設を作っていると政府は宣伝しますが、それは「日本が」主張している境界線の向こう側でのことで、意外と中国も謙抑的に動いている。


 

 さらに、中国機が日本の領空に接近するのに対する自衛隊機のスクランブル発進が増えているというのですが、ソ連機がしょっちゅう領空侵犯していたのに対して、中国の飛行機が領空侵犯してきたのは戦後ただ1回しかなく、今の自衛隊機のスクランブル発進もロシアと中国に対するものがほぼ同数で、あわせてやっとソ連機に対するものと同じになっています。

中国の脅威なんて集団的自衛権行使の理由にならない。

航空自衛隊のHPより自衛隊の緊急発進回数の推移。昭和の終わりから平成の初めの最も大きな山はほとんどソ連機に対するもの。

自衛隊がしょっちゅう緊急発進したものの、平成26年度、一回も領空侵犯はなかった日本に対する領空侵犯はほとんどが旧ソ連・ロシアによるもの。中国機による領空侵犯は歴史上、平成24年の1回しかない。



 これに対して、安倍首相は

「今や脅威は容易に国境を越え、もはや、どの国も一国のみで自国の安全を守ることができない事態となり、日米の極めて緊密な協力が不可欠だ」

と述べています。「切れ目のない安全保障」という言葉もよく使います。

 しかし、これは日本が攻められたときに日本を守る個別的自衛権の問題と、アメリカが攻められたときに日本がアメリカを守る集団的自衛権の問題をあえて混同した議論です。

 日本が攻められたときには、自衛隊は日本を守るために武力を行使できることにこれまでの政府見解でなってきていますし、もちろん、米軍は日米安保条約上の義務として、日本を守ることになっています。

 日本を防衛するという観点では、日本一国で日本を守ろうなどとはこれまでもしていませんし、安全保障の切れ目もないのです。

 これまでなかったのは、アメリカが攻められたときに日本が相手と戦争するという集団的自衛権の行使の問題だけです。しかし、それをしたからと言って日本が安全になりますか?逆ではないですか?

中谷防衛相「手りゅう弾、クラスター爆弾、劣化ウラン弾、大砲弾、ミサイル弾は武器でないから米軍に運搬」

 

 

 どうも、安倍首相と「平和安全法制」を支持する人の本音は、アメリカが攻撃された時に日本がアメリカの相手国と戦争することにしておかないと、日本が攻められたときにアメリカが守ってくれるという約束が果たされないのではないかと、危惧しているということなのではないかと思います。

 つまり、集団的自衛権の行使で日本がより安全になるというのは、アメリカが日本を守ってくれる可能性を高め、「敵国」が日本を攻めにくくなるということだけにあると思うのです。

 しかし、日米経済が戦後これだけ緊密で、日米安保条約を結んでアメリカに法的義務を課し、沖縄の犠牲をはじめとして日本の国土をこれだけ米軍基地に提供してアメリカの世界での戦争に協力し、そのうえ毎年アメリカに何千億円も「思いやり予算」を提供してもアメリカが守ってくれないのだとしたら、もうこれ以上何を加えても大して変わらないのじゃないですか。

 やはり、集団的自衛権の行使やアメリカの戦争の「後方支援」を可能にする「平和安全法制」は、日本を平和にしたり安全にしたりする可能性よりも、日本がアメリカと一緒に戦争をする可能性を増す戦争法案と言った方がより正確なようです。

安倍首相が驚きの答弁。「米艦への攻撃の危険があれば、それだけで日本は存立危機状態になり、参戦できる」

 

 

 いざ日本が中国と事を構えることになった時に、アメリカが日本を見捨てる可能性が高いと考えているのなら、むしろ日本はアメリカとは独自に中国との緊張緩和を進め、軍事的衝突を極力回避すべく平和外交を徹底すべきでしょう。

 なにより、日本にとって中国はアメリカの1・5倍という最大の貿易相手であり、中国の株価下落が日本の株価下落につながっているように、まさに持ちつ持たれつ、いやもう一蓮托生の運命共同体なのですから。

 戦争の危険性をゼロにすることは困難ですが、戦争の被害が取り返しをつかないことを考えれば、その危険性を極力減らすのが政治の目的であり、外交の存在意義です。戦争の危険性を減らすのが「安全保障」の本来の意味です。

 戦争の可能性をできる限り減らすという観点からも、もちろん「安保法案」が憲法違反であり、これをみすみす成立させることは憲法を守って人々の人権を保障する立憲主義に反するという大事な観点からも、「平和安全法制」を廃案にすべきことは明らかだと思います。

砂川事件最高裁判決から40年後、高村副総裁(当時外相)も集団的自衛権の行使は憲法違反だと認めていた。

 

 

過激派組織「イスラム国」が、インドネシアやマレーシアなどイスラム教徒が多い国々の支持者に対して、日本の大使館を攻撃するよう呼び掛けていることが分かりました。

アメリカの戦争に加担する戦争法案が成立し、自衛隊がアメリカ軍に協力するようになれば、日本に暮らす人々が世界で、日本でテロの脅威にもさらされるようになるでしょう。

安倍首相の強行採決予定日まであと2日。

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SEALDs 民主主義ってこれだ!
SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動) (編集)
大月書店

写真:メンバー自身の撮影によるデモや抗議行動、日常風景など 。アートワーク:SEALDsの特徴である洗練されたデザインのフライヤーや映像 。スピーチ:一人ひとりの言葉で語られたスピーチを厳選して収録 。メンバー証言:それぞれの来歴や参加のきっかけ、SEALDsへの思いなど 。メンバー座談会:初期メンバーが前身であるSASPLの誕生から現在までを振り返る 。

対談:高橋源一郎(作家)と中心メンバー奥田愛基が語る「民主主義とは?」 。著名人・識者からの応援メッセージ:茂木健一郎、高畑勲、後藤正文、小林節 ほか

 

すぐにわかる 戦争法=安保法制ってなに?
戦争をさせない1000人委員会 (編集)
七つ森書館

国会論戦がつづく「戦争法」(いわゆる安保法制ともいう)の分かりやすい解説と、それに反対する著名人の声を一冊にまとめる。また、第一次安倍内閣からの改憲策動、教育基本法改悪、秘密保護法、武器輸出三原則、国家安全保障戦略(NSS)などを踏まえて、戦争法=「安全保障法制」の理解を深める。

 

「安全保障」法制と改憲を問う
山内敏弘 著
法律文化社

新たな「安全保障」法制によって、日本は「戦争をする国」へと変わるのか?!“解釈改憲”による違憲な法整備を検討するとともに、立憲平和主義の根幹を揺るがすこととなる“明文改憲”についても批判的に考察。歴史的岐路に立つ私たちへの著者渾身の警鐘。

 

亡国の安保政策――安倍政権と「積極的平和主義」の罠
 柳澤 協二 著
岩波書店

「積極的平和主義」を掲げ、日本版NSCの設置、秘密保護法の制定、そして、集団的自衛権の行使へと舵を切った安倍政権。その裏で歴史認識をめぐり近隣諸国との軋轢は増し、靖国参拝により米国までが「失望」した。隣国の軍事的〝脅威〟を煽り、理念独走の安保政策がいかに「国益」を毀損するのか、正面から検証する。


砂川判決と戦争法案 最高裁は集団的自衛権を合憲と言ったの! ?
内藤功(元砂川事件弁護団) (著), 新井章(元砂川事件弁護団) (著)
旬報社

あの砂川事件最高裁判決が、集団的自衛権の行使を憲法違反ではないという論拠になるはずがない。
安倍政権の戦争法案に関する合憲性の主張は明らかに間違っている。
こんな無茶なゴリ押しには弁護士として黙っていられない。

 

戦争中毒―アメリカが軍国主義を脱け出せない本当の理由
ジョエル アンドレアス  (著), Joel Andreas (原著), きくち ゆみ (翻訳)
合同出版

米国の軍事政策の荒廃ぶりと、外交政策、戦争依存経済などについてユーモアたっぷりに描いた風刺漫画。機知に富む愉快な描写だけでなく、主要マスコミからは得られない真の問題点を鋭い洞察力で掘り下げわかりやすく解説する。

 

「戦争」の終わらせ方
原田敬一 著
新日本出版社

戦後」日本で、再び「海外で戦争する国」につくりかえる「戦争法案」が強行されようとしている。本当に日本は先の戦争を終わらせているのだろうか。日清戦争からベトナム戦争まで、日本が関わった戦争とその終わらせ方、世界は「次の戦争」を止めるために何をしてきたのか、を歴史的に検証し日本の進路を考える。


安倍政権を笑い倒す (角川新書)
佐高信、松元ヒロ 著
KADOKAWA / 角川学芸出版

権力者を風刺する毒のある物まねで、多くの知識人を魅了する芸人・松元ヒロと辛口ジャーナリスト・佐高信が、積極的平和主義のかけ声のもと、戦前へと回帰しようとする安倍政権の矛盾や理不尽を、笑いによって斬る!


 

安保法案「今国会で成立の決意 変わらない」

9月14日 12時00分 NHK

安保法案「今国会で成立の決意 変わらない」
 
安倍総理大臣は、安全保障関連法案を審議している参議院の特別委員会で「この国会で成立させる決意に変わるところはない」と述べ、法案の今の国会での成立を目指す考えを強調しました。
 
自民党の佐藤正久・元防衛政務官は、「今回の安全保障法制は、安倍総理大臣が岸元総理大臣の遺志を受け継ぎ、個人的な思いでやっているという一部の批判があるが、全くの誤りだ。今回、憲法解釈を見直し、限定的な集団的自衛権の行使を容認する必要はどこにあるのか」と質問しました。

これに対し安倍総理大臣は、「今日、わが国を取り巻く安全保障環境は、昭和47年に政府見解がまとめられたときから40年以上を経て、想像もつかないほど変化している。今や脅威は容易に国境を越え、もはや、どの国も一国のみで自国の安全を守ることができない事態となり、日米の極めて緊密な協力が不可欠だ」と述べました。

そのうえで安倍総理大臣は、「安全保障に想定外は許されない。国民の命と平和な暮らしを守り、今の子どもたちや未来の子どもたちへと戦争のない平和な社会を築いていくことは、政府の最も重要な責務だ。平和安全法制は、憲法第9条の範囲内で国民の命と平和な暮らしを守り抜くために不可欠な法制であり、一日も早い整備が必要だ」と述べました。

民主党の北澤元防衛大臣は、「今回の法案が国会に提出されてから、さまざまな世論調査が行われているが、依然として、反対は60%で賛成30%、今国会での成立に反対は80%だ。国の政治を行っていくうえで民意は極めて重要であり、第一義的な要件だと思うがどうか」とただしました。

これに対し安倍総理大臣は、「確かに、国民に必要な法案であるという理解と支持をいただくことがベストであると考えている。われわれも、そのために丁寧な説明を繰り返し、国会においても長い時間をかけて審議を行ってきた。世論調査の状況は指摘されたとおりだが、その中においてもなお、やはり、国民によって、選挙によって選ばれた国会議員の中で審議を深め、決めるときには決めていただきたい」と述べました。

そのうえで安倍総理大臣は、「衆議院でも100時間以上にわたって審議が行われ、参議院でも長い時間の審議が行われてきた。その中で対案も提出されているが、われわれは、ぜひ、この国会で成立させていきたいと決意しており、この決意に変わるところはない」と述べ、安全保障関連法案の今の国会での成立を目指す考えを強調しました。

 

安保法案 今国会で採決の考え 重ねて示す

9月14日 19時39分 NHK
安保法案 今国会で採決の考え 重ねて示す
 
安倍総理大臣は、安全保障関連法案を審議している参議院の特別委員会で、「熟議ののちに『決めるべきときは決めなければならない』というのが民主主義のルールだ」と述べ、今の国会で法案の採決を行って成立させる考えを重ねて示しました。
 
公明党の山口代表は、安全保障関連法案が参議院に送られて13日で60日となったことに関連して、「60日で参議院として結論を出せず、今日に至ったのは極めて残念だ。衆議院が、参議院が法案を否決したものと見なして再議決する『60日ルール』を適用しないようにお願いする立場になったが、参議院で議論し結論を出すべきだ」と述べました。

これに対し、安倍総理大臣は、「審議の進め方については、良識の府である参議院のご判断に従うべきものと考えている。政府としては、引き続き分かりやすく、丁寧な説明に努めていきたい。そのうえで、熟議ののちに『決めるべきときは決めなければならない』というのが民主主義のルールだ」と述べました。

また、安倍総理大臣は、集団的自衛権の行使による中東のホルムズ海峡での機雷掃海について、「今の中東情勢から現実に想定できるのか」と質問されたのに対し、「新3要件に該当する場合もありうるが、現在の国際情勢に照らせば、現実の問題として発生することを具体的に想定しているものではない」と述べました。

維新の党の片山・参議院議員会長は、「法案について、『理解が進まない』『違憲だ』という議論が多いが、もう少し『急がば回れ』でスピードを落としたほうがよいのではないか」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は、「法案については、安全保障環境が変わるなかで1日も早く成立させたい。ただ、多くの国民の中で理解が広がっていないという状況も真摯(しんし)に受け止めながら理解してもらえるよう努力していきたいし、御党とも修正協議をさせていただいているが、他党の意見にもしっかりと耳を傾けていきたい」と述べました。

共産党の山下・書記局長は、新たな日米防衛協力の指針、ガイドラインについて、「日本が基地を提供し、アメリカが日本を防衛する、日米安全保障条約の権利や義務の関係を根幹から変えることになるのではないか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は、「今回の平和安全法制における存立危機事態は、国の存立が危うくなり、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるときに武力の行使をするということだ。いわばアメリカのために、義務を負って行使をするのではなく、日米安保条約上の義務を果たすということでもない」と述べました。

日本を元気にする会の山田・政策調査会長は、次世代の党、日本を元気にする会、新党改革の3党がまとめた修正案について、「われわれの修正案は、自衛隊がどこで何をするのかを国会がきちんと承認するなど、国民の不安を解消するものだ。安倍総理大臣は、政治決断で受け入れを判断してほしい」と述べました。

次世代の党の和田・幹事長も、修正案について「安保法制は必要だと思っているが、やはりそこには国会のチェックが必要だ。3党の修正案について、ぜひご決断を願えればと思う」と述べました。

さらに、新党改革の荒井代表は「国会の関与を強めるため、法案の修正を求めている。総理大臣として、国民の不安を取り除いて、日本を守る、戦争はしないという決意のもと、適切にご決断いただきたい」と述べました。

これに対し、安倍総理大臣は、「自衛隊の活動については、民主的統制を確保する観点から国会の関与が極めて重要で、平和安全法制には国会の関与について適切に定めている。中には例外として事後承認を認めているものもあるが、原則はあくまで事前承認であり、可能なかぎり国会の事前承認を追求していく」と述べました。

そのうえで安倍総理大臣は、「修正案を提出されたことに対しては敬意を表したい。現在行われている政党間の協議には、政府として謙虚に耳を傾けたいと思っているし、なるべく多くの政党に法案に賛成していただきたいと考えている」と述べました。

参議院の会派「無所属クラブ」の水野賢一・参議院議員は、海外での邦人救出について、「誰も反対しにくいが、歯止めの議論は絶対に必要だ。当然のことだとは思うが、自衛隊を派遣するときに受け入れ国の同意は、なぜ必要なのか」と質問しました。

これに対し、安倍総理大臣は、「受け入れ国の同意があることによって、当然スムーズに救出作戦を取り運ぶことができる。同時に、警察によって治安維持はなされているが、われわれが自衛隊を出さなければ救出できないというなかでも、憲法との関係においても、受け入れ国の同意が必要であると考えている」と述べました。

社民党の福島・副党首は、「『戦争法案』と言ったら自民党から削除要求を受け、『戦争関連法』あるいは『戦争につながる法』と変えるのはいかがと言われたが、それならばよいのか。武力攻撃を受けた被侵害国からの援助の要請が法文にはないが問題ではないか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は、「戦争は国際法上、違法であり、それを目的とした法律を作るはずがない。当然、集団的自衛権の行使となる際には、国際法上の要請は満たしていかなければならない」と述べました。

生活の党と山本太郎となかまたちの山本代表は、「安倍総理大臣は、『ジュネーブ諸条約をはじめとする国際人道法に違反する行為に対し、支援や協力を行うことはない』と答弁している。第2次世界大戦当時、民間人への無差別攻撃は禁止されていたが、アメリカ軍による広島、長崎への原爆投下、東京大空襲などは国際法違反の戦争犯罪に当たらないのか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は、「自衛隊が活動するにあたって、国際法を順守し、国際法上、違法な行為に対する支援を行わないことは当然だ。ある国がジュネーブ諸条約をはじめとする国際人道法に違反する行為を行っている場合、わが国が支援や協力を行うことはない。このことは、アメリカを含め、対象国いかんによって変わることはない」と述べました。

また、委員会では、民主党の大野・元防衛政務官による質疑の際、国連のPKO活動に自衛隊を派遣する要件を巡る中谷防衛大臣兼安全保障法制担当大臣の答弁について、大野氏が不十分だとして納得せず審議がたびたび中断しました。

一方、14日の委員会では、民主党と維新の党が徹底した審議を求める立場から共同で提出した、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態に対処するための「領域警備法案」の趣旨説明が行われ、審議入りしました。

この中で民主党の大野・元防衛政務官は、「いわゆるグレーゾーン事態が発生した場合には、時間・権限・武器使用の隙間を埋めるシームレスな対応が必要だが、政府が提出した安全保障法制では何ら法的な手当てがなされていないため、法案を提出した」と述べました。

 

 

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20 コメント

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定期的な政権交代必須 (一国民)
2015-09-15 05:08:57
この掲載記事に激しく同意します。
 改めて書く必要は無いのかもしれませんが、安倍は憲法改正をして、集団的自衛権はもとより、正式な軍隊を復活させたいのが最終目的です。今回、日本の防衛についてのみに可能な、「限定的」な集団的自衛権を容認させることにより、なし崩し的に、憲法改正へ誘導しようというのが目的の一つと思います。熱しやすく冷めやすい、現在の日本人の特性を利用して「直後の騒ぎが収まれば、こっちのもの」と言わんばかりに国民を馬鹿にしているのです。
 そして、そこに、自民党のお決まりパターンで、悪法を「小さく生んで大きく育てる」という手法を持ち込んでいます。つまり、後に、今回の法案の「限定的」な部分=新3要件を外すことは、今回の騒動よりは比較的簡単に行えると、たかをくくっているのです。
 こんな、国民を愚弄した奴らなど、言葉は悪いが、早く死んで欲しいというのが、多くの良識ある日本国民の願いです。
 しかし、このような自民党の暴走を許してしまったのは、大橋巨泉氏の御指摘の通りで、何度選挙をやっても負けない=政権交代しないからで、残念ながら日本国民自身の責任です。巨泉さんが指摘しているように、多くの日本人は、正直、自分の生活が上向くこと=景気のことのみで投票するという、短絡的な視点でしか選挙を考えていないからです。生活が楽になれば、選挙や政治なんてどうでもよい、という考えが、多くの日本人にあるからです。
 現実問題として、残念ながら、今回の法案は強行採決され、一旦は成立するでしょう。政府与党は砂川判決を都合の良い解釈をして、合憲の根拠としていますが、誰がどう考えても違憲法案であるのは疑いようがありません。後は「最終手段」である、成立後に雨あられのように出されるであろう違憲訴訟により、違憲判決を下されることを待つほか、手段が無いのが現状と思います。もちろん、合憲判決が下される可能性もありますが、ほとんどの憲法学者はもちろん、元最高裁判所裁判官までもが違憲と公言しているので、こちらは期待できるでしょう。
 民主党政権は拙い政権運営だったことは否めませんが、今後は多少の失敗にも寛容になり、政権交代を定期的にさせるような政党といいますか政治体制を生み育てていく責任が日本国民にはあると思います。次の国政選挙には、多くの方々に、そのような視点で是非投票をして欲しいです。長い文章で失礼しました。
返信する
小競り合いも大戦に (アベの脱税疑惑)
2015-09-15 08:01:36
少し前に、朝鮮半島で砲弾の撃ち合いがありました。どちらも「相手が先に撃ってきた」と言い緊張が高まりましたね。しかし、結局は話し合いでお互い歩み寄り、大事には至りませんでした。
もしあそこで、日本が「集団的自衛権の行使!!!」と叫んで参戦していたら、そして他の国も次々と参戦していったら、話し合いで解決はできなかったでしょう。
後方支援しかしないといわれても、あの髭の隊長の「駆けつけ警護」の前例がありますから、何とも安心はできません。先の戦争でも、「軍部の暴走」で戦争が拡大されました。誰が、どのような勢力が暴走させたのかは知りませんが。
最初はちょっとだけ、いつの間にか大きくなる。怖いことです。マイナンバーみたいですね。
返信する
全然分かってない (リベラ・メ)
2015-09-15 08:41:18
政府与党や大部分の議員を初め、この法案に賛成する人たちは、将来どうなるのか“全然”分かってないですね。あ、そうそう。「週刊ポスト」なる雑誌で、組関係(893)の面々にアンケートした結果、なんと半数以上が“反対”の結果に。「血を流すことはどういうことか分かってない。抗争で死んだやつを見たことがあるのか。」「Americaでのあの演説は、トップ の頭越しに決めたから、仁義に悖る。破門だ。」…等々(すみません。ブログ主さん。驚いたので思わず書いてしまいました)。
返信する
脱 国民洗脳なら副島隆彦の学問道場 (脱 国民洗脳なら副島隆彦の学問道場)
2015-09-15 09:19:52

日本はアメリカの属国、つまり家来国家である! アメりカの洗脳広告代理店、電通による、テレビ、新聞、週刊誌、ラジオ等の、マスコミを使った偏向報道で、見事な国民洗脳をされ続ける日本人は、自分自身の脳、すなわち思考そのものを点検せよ! さらにネット洗脳システムのツイッターやフェイスブックの利用、まとめサイトには注意が必要である。 我々はハッ、と気付いて、常に注意深く、用心して、警戒し、疑いながら生きれば、騙されることはない。 すべてを疑うべきなのだ!
返信する
仕方ない流れ (佐藤)
2015-09-15 09:22:54
集団的自衛権の問題は
戦後から自衛隊の存在を曖昧にしてきた結果でしょう。
国防に対しての曖昧な解釈による積み重ねによって、何れは集団的自衛権もなし崩し的に進められると予測できた事で、今さら廃案にすることは不可能だと思います。
返信する
60年間平和主義者が抱き続ける戦争への危機 (京葉淳一)
2015-09-15 09:25:05
安保法案でブログ主様は、日本はアメリカとの戦争に巻き込まれると仰っていますが、この60年くらいの間、平和主義者が危惧するような日本はアメリカとの戦争に巻き込まれることがありませんでした。我々としてはこの度の安保法案や今回ブログ主様が取り上げる平和安全法制が成立すれば、70年間日本が戦争に巻き込まれずにすむと言う奇跡は今後も続いていくモノと思われます。そこで平和主義者が60年くらい訴え続けてきた戦争への危惧を取り上げてみました。コピペではありますが、一部は個人的に付け加えました。時系列順にまとめましたが、間違いがありましたらご了承願います。

憲法改正論議→戦争する国になるぞ!
警察予備隊発足→戦争する国になるぞ!
防衛庁発足→戦争する国になるぞ!
自衛隊発足→戦争する国になるぞ!
60年安保→戦争する国になるぞ!
70年安保→戦争する国になるぞ!
旧日米ガイドライン→戦争する国になるぞ!
防衛費制限撤廃→戦争する国になるぞ!
不沈空母発言→戦争する国になるぞ!
PKO 法→戦争する国になるぞ!
おおすみ型輸送艦進水→戦争する国になるぞ!
周辺事態法→戦争する国になるぞ!
有事法制→戦争する国になるぞ!
イラク派遣→戦争する国になるぞ!
インド洋給油→戦争する国になるぞ!
テロ対策特別措置法→戦争する国になるぞ!
防衛省昇格→戦争する国になるぞ!
海賊対処法→戦争する国になるぞ!
国防軍発言→戦争する国になるぞ!
特定秘密保護法→戦争する国になるぞ!
集団的自衛権行使容認→戦争する国になるぞ!
2015年安保法制→戦争する国になるぞ!
平和安全法制→戦争する国になるぞ!
返信する
再びのレッテル張りだが (lemonlemon)
2015-09-15 11:07:25
オスプレイは「未亡人製造器」

自公は「未亡人製造政党」

安保(戦争)法案は「未亡人製造法案」

安倍は「未亡人製造総理」


昨日(9/14)の安倍総理・中谷大臣の答弁はひどかった。。。。。

総理も大臣も法案そのものを理解していないことが明白でしたね。。。。。。。
返信する
Unknown (とら猫イーチ)
2015-09-15 11:30:40
 新安保法案の契機は、多極化しつつある時代にあって、世界の軍事的支配に見切りをつけつつある米国が自らの軍事的プレゼンスを減じる意思を固め、その意思を受けた安倍政権が米国のために軍事的プレゼンスを高めようとしている、と受け止めています。

 米国にとっては、警察予備隊の名で現自衛隊を創立した当初と同じで、安倍政権の意向等は、お構いなしでしょう。 

 元より同盟国の名は虚構で、Target Tokyo のすっぱ抜きが示すように、日本国政府と主だった企業等は、全て監視対象なので、自国政権との約束どおりに法案を成立させて、自衛隊を米国の指示どおりの任務に就かせるかどうかを注視していることでしょう。 

 議会では、中国、中東諸国、の国名が上がり、戦争に繋がる危険が指摘されていますが、それら諸国に限らず、ウクライナ危機に鑑みての対ロシア、米国の南米諸国内麻薬マフィアとの紛争に鑑みての対南米諸国と犯罪組織、等々、と際限の無い戦争に繋がる危険が存在することを承知しなければならないでしょう。 

 哀しいことに、安倍政権が忠実な犬の役割を果たしても、米国はエシュロン傘下の英語諸国しか信用していないので、盗聴・監視対象から外れることはありません。 ドイツ、フランス等と同じ運命です。
 
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今、防衛を考える時 (きらきら)
2015-09-15 12:57:46
皆さんは中共の批判は一切しません。不自然ですね。
石垣島の住民など、沖縄離島の方々は心配だと思います。中共が侵略しようとしているからです。

左翼の方々って、中共がしたら、白旗を上げたらいいと思っているようですが、あなたの妻が中共の兵隊から強姦を目の前でされておとなしく知らん顔するのでしょうね。

沖縄侵略を狙っている中共に対してどうするのか、本気の議論が必要です。
沖縄では辺野古基地移転反対で盛り上がっていますが、本当に無責任だと思います。

確かに今回の安保法案はアメリカがアメリカの都合で日本に命令したものです。
2年後、アメリカ兵を4万人削減するから、自衛隊を傭兵として使えるようにしたいという意向です。
なんでアメリカの傭兵として使うんだと私もこの部分には反対です。

しかしながら、当面アメリカ軍から守ってもらうしかないのも現実です。
法案が通過してもシリアなどへの派兵を反対すればいいんじゃないですか?
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約10年前の時点で、日本はアメリカの戦争に巻き込まれて、カッコなしの参戦が日本国によって認定されているんだけどな (L)
2015-09-15 14:10:57
 「日米同盟」のお陰で、アメリカがイラクにアヤをつけて始めたイラク戦争に日本は参戦した。このことは、イラク派兵違憲判決で国権によって認定・確定している。「後方支援」などと称する空自による米兵などの輸送業務は、米軍の武力行使と一体化しているから、(自衛隊が武力行使の共同正犯なので)、違憲という判決。要するに、アメリカの戦争・戦闘の一翼を自衛隊が担った、参戦したという認定だ。「戦後70年」といっているけど、ホントは戦後は(約)60年しか続かなかった。
 だから、あのコピペ貼りはXXXX。
 ちゃんと、アメリカの戦争に引きずり込まれた。まあ、小泉や安倍らが自ら飛び込んだところも多々あるけどね。

 あと、アメリカはもし中国と戦端を開く場合には、日本列島を戦場にすることで本土に類を及ぼさないという構想を持っています。これは海自が将校向けに出している雑誌の米海軍の論文の翻訳がソースです。http://www.magazine9.jp/article/mikami/22529/
>「かつて沖縄の基地は米軍が出撃していく場所だったが、今は違う。この島々が戦場になる前提の訓練をするようになっている」「日本列島を補給基地・後方基地にして戦い、沖縄壊滅後は日本本土が戦闘地域になる。その想定の演習が日米で既に行われている」
>軍事衝突が勃発したら、米軍はまず後方へ退く。逃げるのだ。南西諸島に駐留はするが、闘うのは米軍ではなくて自衛隊だと2006年の米軍再編の中に合意がある。アメリカ軍はその後、体制を整えてから、グアム・ハワイや本国から出直すという順番なのだ。いま、中国の持つミサイルのレベルが高くなり沖縄までは射程圏内に入ってしまうので、危ないから逃げるということだ。
>「本来の目的は、米中の全面戦争にエスカレートしないために、日本国土の中に標的の島々を作り出して、そして日本の国土で“制限戦争”をする。中国も、アメリカも、自分の国土は攻撃されることなく、私たちのこの島だけで戦争をする。そういう想定で事態が動いている
>「南西諸島の防衛を強化すれば中国が攻めてこない」と信じさせておいて、「ミサイルを配備し標的の島を作って、他のところが被害に遭わないようにそのエリア内の制限戦争に持ち込む」というのが本音だということだ。それではまるで、補給もせず勝ち目のない32軍を沖縄に貼り付け、一日でも長く沖縄の戦闘に米軍をひきつけ、長引かせることで人の命を本土の防波堤にした沖縄戦と全く発想は変わらない
>「国家総動員法」がパーツごとに細切れに復活しているかのように、気付けばいつでも戦争ができ、その時は国民の持つモノ、技、土地、命も総動員される法の整備は進んでしまっている。今審議中の安保法制はその総仕上げと言ってもいい。沖縄だけではない、本土も戦場にする覚悟で日米同盟の軍事戦略はとっくに進んできてしまったのだ。
 沖縄における沖縄戦の教訓のひとつは、日本軍がいたために米軍と日本軍の攻撃を受け被害を増やしたことだそうですが、今、安保条約の有り難みや如何?です。

 レイ様、東京新聞が「湾岸のトラウマ」の真相をスクープした模様。ぜひ、記事にしてください。
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