【西山貴章】法務省は12日、同日朝に2人の死刑を執行したと発表した。9月の前回執行から3カ月ぶり。昨年12月の政権交代以降、谷垣禎一法相の下での執行は4度目(計8人)となった。確定死刑囚は129人になった。

 谷垣法相は12日午前の記者会見で「いずれの事件も、身勝手な理由から被害者の命を奪った残忍な事件。記録を精査した上で慎重に判断した」と述べた。

 法務省によると、執行されたのは、1986年に山梨、新潟両県で2人を殺害した事件で死刑が確定した藤島光雄死刑囚(55)=東京拘置所で執行=と、大阪市内で2000年と08年に起きた2件の強盗殺人事件で死刑が確定した加賀山領治死刑囚(63)=大阪拘置所で執行。

 死刑囚の確定から執行までの平均期間は約5年7カ月。加賀山死刑囚は昨年8月の確定から約1年4カ月で、異例の早期執行となった。藤島死刑囚は確定から約18年5カ月だった。

 確定判決によると、藤島死刑囚は86年3月、山梨県春日居町(現・笛吹市)で、前妻の伯母(当時73)を浴槽に沈めて殺害。5日後には新潟市内のホテルで、茨城県土浦市の男性会社員(当時26)も浴槽に沈めて殺した。

 加賀山死刑囚は00年7月、大阪市中央区の路上で中国人の女子留学生(当時24)を刺殺。08年2月には、同市北区の商業施設「D・Dハウス」のトイレで男性会社員(当時30)を刺殺した。

 

違い過ぎてあぜん…張氏処刑、閣僚から驚きの声

 北朝鮮国防委員会の張成沢(チャンソンテク)前副委員長が処刑されたことについて、13日午前の閣議後の記者会見では情報収集や情勢分析の必要性を強調する声が相次いだ。

 菅官房長官は「関係国と密接に連携を取りながら冷静に情勢を注視し、引き続き情報収集に努めたい」と述べ、冷静に対応 する考えを強調した。小野寺防衛相は「軍の影響力が強化されることにつながれば、北朝鮮の動向がより先鋭化する。ミサイルや核実験も予断を許すような状況 でない。引き続き警戒監視をしっかりしていきたい」と述べて警戒感をあらわにした。

 驚きの声も上がった。稲田行革相は、「(日本と)あまりに違い過ぎてあぜんとすると同時に、そういう国であることを常に認識して付き合わなければ ならない」と述べた。新藤総務相も「突然の解任と即時死刑は日本ではあり得ない残虐なことだ。それだけ北朝鮮が安定していないということだ」と語った。

(2013年12月13日12時21分  読売新聞)