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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

白井邦彦青山学院大学教授教授 特別寄稿「大竹文雄氏のコロナ対策論への批判-市民の健康に責任をもてるのか?ー」

2022年08月28日 | 白井邦彦教授シリーズ

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全国民ご存じの政商納言、竹中平蔵氏。

菅総理がいきなり「政商納言」竹中平蔵パソナ会長と会食。この二人は、小泉「国民生活破壊」内閣で竹中氏が総務大臣、菅氏が副大臣だったという力関係。「中抜き」パソナと堂々と懇談とは世も末だ。

 

 

 読者の多くはご存じないかもしれませんが、大竹文雄という厄介な「学者」がいます。

 1961年生まれで、専門は労働経済学、行動経済学で、大阪大学社会経済研究所教授、同所長、大阪大学理事・副学長などを歴任した「研究者」。

 菅政権が新型コロナ対策の専門家の部会を改編して、感染症などの専門家と経済などの専門家を交えた分科会を作った後、政府の分科会と基本的対処方針等諮問委員会メンバーを務めている人物です。

 私がなぜこの人を知ったかというと、ご存じ、このブログの新天敵(笑)の三浦瑠麗女史がやたらと大竹氏の言論を引用していて、事実上、三浦氏のコロナ軽視のブレインになっているからです。

8月8日にもうピークアウトと予測してしまった三浦氏(笑)。その10日後にピークが来た時には沈黙www

コロナ軽視派のド素人三浦瑠麗氏がフジテレビで新型コロナ感染者数について「明らかにダウントレンド」。根拠は「無料PCR検査に行列ができてない」w。全国の感染者数は前の週の112%なのに!

 

三浦氏が困って沈黙していた8月20日に無言でリツイートしたのがこの大竹氏のインタビューを載せたツイート。

 

 

 というわけで、「第2の竹中平蔵」の地位をも狙う大竹文雄氏は、三浦氏同様ド素人のくせに堂々と、人の命に係わるコロナ問題にまで口を出す危険な人物なんですが、うちのブログの愛読者にはご存じの白井邦彦青山学院大学経済学部教授(ご専門は「社会経済学・社会経済学視点からの労働経済論」)にまたお願いして、大竹教授を斬っていただきました。

 白井教授にとっては大竹教授は専門分野がかなり被るだけに、私にとっての橋下徹氏のような存在かもしれません(笑)。

階層化する労働と生活 (青山学院大学総合研究所叢書)

階層化する労働と生活 (青山学院大学総合研究所叢書) 

本間 照光  (著), 松尾 孝一  (著), 石畑 良太郎 (著), 白井 邦彦  (著), 加藤 光一 (著)

 

特別寄稿!白井邦彦教授(青山学院大学経済学部)『緊急事態宣言-「国による大規模な各種補償措置の実施」と「公立公的病院・病床削減促進施策の全面白紙撤廃」と必ずセットで』

「ウクライナ戦争・即時停戦を-多数の死傷者が出続けることには耐えられない」白井邦彦青山学院大学経済学部教授の特別寄稿。

「芳野友子連合会長の言動への疑問ー自公政治継続・改憲の容認でいいのか?ー」 白井邦彦教授特別寄稿(青山学院大学経済学部)。

 

 

 それでは、新自由主義者のエセ学者たちと闘う経済学者白井教授、4度目のご登場です!

(例によって挿入した画像やツイートなどは宮武監修です)

 

 

「大竹文雄氏のコロナ対策論への批判-市民の健康に責任をもてるのか?-」

1、はじめに

この間コロナにより多数の方が命を落とされました。その方々のご冥福を心から祈りたいと思います。また現在治療中の方、各種後遺症で苦しんでいる方々の回復を心から願っています。その点をまず述べておきたいと思います。

本記事は大竹文雄大阪大学特任教授のコロナ対策論の検討批判をおこなおうとするものです。大竹氏を対象とするのは、大竹氏が新型コロナ感染症対策分科会メンバーであるととともに、大竹氏の主張は政府の現在、ないしこれから予想されるきわめて問題のあるコロナ対策を先取りするものであり、さらにその主張の背景には新自由主義・市場原理主義があると考える、からです。

加藤勝信厚労相が、新型コロナの感染者が過去最多の26万人を超えた日に、新型コロナの感染症法上の位置付けを2類相当から5類に引き下げた場合に、ワクチン接種を有料化することもありうると言い出した!

 

 

2、大竹氏のコロナ対策案とそれへの疑問

 大竹氏は様々な媒体でコロナ対策について語っていますが、まとまったものとして6月の福井新聞インタビュー、分科会での同氏の発言を紹介した「大竹文雄-note」の7月の発言部分、を紹介したく思います。

 福井新聞の発言は下記のとおりです。(福井新聞 6/14)

 また分科会での7月の発言は以下のとおりです(大竹文雄-note 7/18)

(「大竹文雄-note」では大竹氏のこれまでの分科会発言も閲覧できます、過去の発言も興味深いものがあります)

これからこの顔には要注意!

 

 

  大竹氏は「現在コロナには重症化リスクがほとんどない」ということを前提に、「2類から5類への引き下げ、それに伴い全額公費負担でなくなるのも当然、全数把握・水際対策の見直し、行動制限は弊害が大きく現時点では不要、それを行うかは専門家の見解に基づき政治判断にゆだねるべき」として「深刻な病気でないから自発的対策で充分」と言い切っています。

 これらは政府の政策を明らかに先取りしたものです。

 しかしそもそも「重症化リスクがほとんどない」としてコロナを楽観視していいのでしょうか?

 まずここでいう「重症」ということはどういうことでしょうか?

 宮武先生のブログでも何回か指摘されているように、「重症」とされる定義がかなり狭いですし(特に人数からいってかなりの「重症者」となるはずの東京ではか一番狭い定義をとっている)、「軽症」といっても実際の症状はその語感から受けるイメージとはかなり違います。

コロナ「重症者」の定義がオミクロン株には全く合っていないのに放置。死亡者数最多の大阪府では重症入院患者231名死亡に対して、軽中等症で1937名が死亡。岸田政権も維新も真面目にコロナ対策をしろ。

 

 

 また重症化リスクが低くても感染者数が多ければ結局「重症者数」は増えます。日本は現在「コロナ感染者数世界一」が続いています。量的にみれば「重症化リスクがほとんどない」とはいえないはずです。

 さらにコロナ感染による後遺症の問題、基礎疾患がある方のその疾患の悪化の問題もあります。後遺症や基礎疾患の悪化は「軽症」や「無症状」だから避けられる、というわけではありません。

 議論の前提として「重症化リスクがほとんどない」としてコロナを楽観視する認識はかなり実態とは異なっており議論の前提自体がおかしいのではないのでしょうか?

 5類引き下げ、の根拠も不明です。なぜ5類引き下げでいいのか、実は私は理解できませんでした。さらに全額公費負担でなくなるのは当然、と述べていますが、これでは金銭的理由で治療などを受けられない人が出てきます。その人たちの健康問題、さらには感染拡大のリスクが生じます。そうした点はどう考えているのでしょうか。「重症化リスクがほとんどない」ということなのでしょうが、それについては上記で指摘した問題がそのままあてはまります。

 行動制限に関しても事実上、「自発的判断に委ねる」つまり「各市民まかせ」論です。それでいいのでしょうか?全数把握の見直し論が主張されています(それは実際になされることとなった)。これでは通常の市民は現在感染状況がどうでありどれだけの感染リスクがあるか、という判断ができません。そうした状況で「各市民まかせ」としてしまうとどうなるでしょうか?これでは感染が拡大し健康被害が深刻になって初めて各市民は気づくとなります。

 これら議論はコロナ対策案ではなく、コロナ無策案ではないでしょうか。

新型コロナについてもド素人の三浦瑠麗氏がコロナを感染症法5類にすれば感染爆発に対処できるかのような妄言を連発。コロナ軽視派の三浦氏らに乗せられた安倍晋三氏が市民の気を緩ませコロナ第7波を招いた。

 

 

3、新自由主義・市場原理主義的コロナ「対策」

 実は大竹氏のコロナ対策論には既視感をもちます。

 大竹氏はもともと労働経済学がご専門ですが、その分野では200年代に熱心に「日本においても雇用状況の改善のためには強い解雇規制の緩和を」という「解雇規制緩和論」の中心的人物の一人でした。

 そこでの議論は、「日本の解雇規制は強い」「労働市場には完全雇用を実現するメカニズムが存在する」ということを前提に

「解雇規制が強いと、使用者は一度採用するとなかなか解雇できないため使用者の採用意欲を下げ、結局雇用に悪影響を与える。解雇規制が強いと現在正社員として採用されている人たちの雇用を守るかもしれないが、そうでない人の雇用のチャンスをうばってしまう、つまり男性中高年正社員の雇用を守る反面、若年者・女性の雇用機会を奪い、不安定な雇用に押しやってしまう」

として、「強い解雇規制を緩和することが必要」と主張したものです。

 この議論についてはそもそもその前提自体が疑問です。「日本の解雇規制が強い」というときよく言われる「整理解雇4要件」についてもあくまで判例であり法律で定められたものではありません。

 さらに「整理解雇4要件」は「4要素」に判例変更されています。しかもその救済を受けるためには裁判に訴える必要があり、被害者にとってはかなりハードルが高いものです。それを考えると実は「日本は解雇規制が強い」という前提自体が疑問です。

竹中平蔵氏や城繁幸氏らの「日本の正社員をクビにするのは世界で一番難しい」という大ウソ→日本は正規も非正規も解雇規制が国際的に弱いというのが事実、労働者のクビを切りたいだけの解雇規制緩和論者より

 

労働者派遣法「改正」は派遣労働者も正規社員も他の非正規社員も全員を不幸にする!

 

 

 同時にもうひとつの前提である「労働市場には完全雇用を実現する機能がある」ということも疑問です。この前提は「失業が存在すれば賃金は低下し労働コストが下がる、そのため企業はより労働集約的な技術に転換し、その結果労働需要は増加する」という認識をもとにしていますが、こうした労働市場認識には疑問が出されています。

 詳細は省きますが、賃金が低下したからといって企業がより労働集約的な技術に展開するとは限りません。

 この解雇規制緩和論は、「そもそも前提としていることが実態を無視している」「対立点を男性中高年労働者対それ以外の労働者、ときわめて表面的な対立のみを強調し、本来の対立軸をあいまい化している」「解雇規制緩和による弊害、労働者がこうむるコストを度外視している」「政府の労働者保護のための規制の排除を主張し、結局は労働者の自己責任に委ねる」という特徴をもちます。

 実はこうした認識パターンは大竹氏のコロナ対策論にも受け継がれているように思えます。

 解雇規制緩和論の背景には、新自由主義・市場原理主義があります。それを雇用問題に適用したものが「解雇規制緩和論」です。大竹氏のコロナ対策論も新自由主義・市場原理主義を適用したものではないでしょうか。

【弱肉強食】維新の衆院選公約、ベーシックインカムが竹中平蔵構想の丸写し!市民一人に6万円を一律支給する代わりに、生活保護・基礎年金・児童手当など福祉政策を廃止!これでは弱者が死んでしまう!!

 

 

 全数把握の見直し・5類引き下げ全額公費負担の見直し・行動制限は行わず各市民まかせとし、自発的対策で充分とする、は明らかに政府による救済のための規制を排除し自己責任とする主張です。同時に、行動規制による各種弊害の主張は、一見その弊害を受けるとみられる人たちもコロナ感染のリスクを同じく負っており、表面的な対立を強調して、本来の対立軸をあいまい化している、という特徴をもちます。

 なお、行動制限、社会経済活動の制限に関しては、「専門家の見解に基づき政治が判断すべき」つまり「判断するのは専門家、市民は専門家判断の政府決定に従うべき」としている点も実は新自由主義・市場原理主義の思考を示しています。経済的に小さい政府は同時に政治的に強い政府を必要とします。

 経済的に小さい政府を実現するために各種保護・規制措置を削減していくためには、「民主的に話し合って合意形成して」では実現しがたいものがあります。それを実現していくためには「上から強権的に決めていく」、つまり政治的に強い政府が必要となります。また経済的に小さい政府は、各種格差・市民間の分断を生みがちです。

 それを克服するためには強い政府による上からの市民統合が不可欠となります。こうした理由から、「経済的に小さい政府は政治的に強い政府を必要とする」となります。

 上記の「専門家の見解に基づき政府が判断すべき」という言葉の中には、新自由主義における「政治的に強い政府」志向、もっというと「市民の意見に基づき民主的に決定していくというプロセスの軽視」を感じてなりません。

 全数把握見直しは、民主的なプロセスを経て決められたことでしょうか?さらに5類引き下げ問題も民主的な議論がなされるでしょうか?

  こうした点にも新自由主義的な側面が色濃くでているのではないでしょうか。

「こどもの日」に子どもがいなくなる日。自民党長期政権の無能ゆえ、子どもの人口が41年連続減り、1465万人で最少を更新。正規雇用を増やし、安心して子育てができる社会にしないと日本は終わってしまう。

 

 

4、おわりに

 コロナ問題は3年目を迎えました。さまざまな変異株が出てこれからもでる可能性があります。それに対してどう対応すべきか?

  それにかんする私見は一昨年当ブログで書かせていただきました。

 少なくとも、「必要に応じて各種制限措置の実施とその際補償とセット、政府が過去打ち出した公的医療機関の統廃合・病床削減策の棚上げ」、は不可欠です。「全数把握・全額公費負担」は必ず継続していくべきことです。

 しかし実際の政策はそうした方向とは逆に進んでいます。その背後には新自由主義的市場原理主義的思考をコロナ対策にも適用しているのではないか、そうした問題意識より分科会メンバーの大竹氏の見解を検討批判しました。

 

  筆者は社会経済学・社会経済学に基づく労働経済論が専門でコロナ問題に関しては素人です。そのため間違い、認識不足が大いにありうると思います。それらを含めてご意見ご批判いただければ幸いです。

 これ以上コロナによる犠牲者がでないことを強く願っています。

 同時に両立すべきは、「感染対策と経済」ではなく、「感染対策と雇用生活保障」という点も強調しておきたく思います。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

一番タチが悪い自称国際政治学者の三浦氏は実は青学に潜り込もうとして失敗した(笑)。

 

 

 

白井先生にお招きいただいた青学での特別講義。貴重なツーショット(笑)。

『安倍改憲が私たちの基本的人権に与える影響』~人の支配から法の支配へ 青山学院大学特別講義から1

 

 

白井先生、お忙しいのにまたも力作、ありがとうございました!

実は、白井先生とはたぶんリアルでは1回しかお会いしたことがないんですが、メールはもう百回以上やり取りさせていただいているという、コロナ時代ならではの盟友です(笑)。

白井先生、コロナが収まったら、また呼んでください!

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コロナほとんど無症状か軽症…5類相当に引き下げるべき 大阪大学特任教授の大竹文雄氏「行動制限、長所短所比較して政治判断を」

大阪大学特任教授・大竹文雄氏

 ―新型コロナウイルスの新たな感染拡大に備えながら、社会経済活動の正常化に向けた取り組みが進みつつあります。今年1月にはまん延防止等重点措置の発令に反対していましたが、現在の考えは。

 「ほとんどの人が無症状、あるいは軽症であることを考えると、医療の逼迫をもたらすような病気では今のところない。高齢者の3回目ワクチン接種は約9割の人が終えた。そういう意味でも重症化リスクはかなり大きく下がっている。行動制限は観光業や飲食業にマイナスの影響を与えるが、それだけではない。ビジネスや普段の生活でも、マスクによって表情が見えないということで、生産性も幸福度も教育のレベルも下がる。治療法がなく致死率が高い場合には、当然人命を重視しないといけない。

その場合なら、社会経済活動をある程度犠牲にしてでも行動制限によって感染を抑えることは合理的。しかし重症化リスクが下がってきた病気に対して、行動制限をして、社会経済活動を止めて感染拡大を抑えるべきか。季節性インフルエンザの感染が拡大しても、経済は止めない。感染拡大によるデメリットと、それを抑えるために社会経済活動を止めることのデメリットを比較して決める。感染症や教育、社会経済の専門家が、どんな影響があるか意見を出して最終的には政治が判断すること」

 ―新型コロナの感染症法上の位置付けを、危険度が5段階で2番目に高い「2類相当」から季節性インフルエンザ相当の「5類」に引き下げるべきという見直し論があります。

 「『5類』相当に引き下げるべきだ。重症化リスクが高ければ、行政による私権制限は正当化される。保健所に毎日健康情報を伝えるなど国や自治体は陽性者の行動を制限している。そこまで重症化リスクがあるような病気ではないとほとんどの人は思っている。そうなったときに、行動制限、私権制限することが正当化できるのか。もしそこまでの深刻な病気ではないということであれば自発的な対策で十分。季節性インフルエンザは致死率からいうと危険な感染症。しかし病院に行くことや休むかどうかは自分で判断している。保健所に命令されるわけでも公費負担で入院させるわけでもない。『5類』に引き下げたときに、全額公費負担がなくなるというのは当然」

 「『2類』相当が問題なのは、濃厚接触者や感染者の行動を制限すること。そのため企業や学校で過剰に感染対策をしようとする状況になっている。濃厚接触者の追跡調査範囲は変更されているが、基本的にはあまり変わっていない。軽症、無症状だとしても、行動制限を受けてしまう。季節性インフルエンザのときに濃厚接触者の調査はしない。新型コロナはもはや『5類』の感染症であると理解することが重要。重症化リスクが下がったという前提で考えれば、『2類』である必要性は既にない」

 ―新型コロナ対策が子どもに及ぼす影響を懸念する声があります。

 「子どもがあまり重症化しないという病気に対して、行動制限をかけることはデメリットが大きいのではないか。体育の授業やクラブ活動など屋内、屋外での活動が制限され、教育の質も明らかに低下している。マスクによって表情が見えないことは、教育や発達への影響を考えるとマイナス。『5類』にして、季節性インフルエンザと同じような対応にすれば変わる」

 ―政府は水際対策を緩和しました。

 「ウイルスが将来どのように変異するか分からない。変異株の特性を踏まえて対策を柔軟に見直し、運用する必要が当然ある。状況に応じて首相が決断すればよい。水際対策についても、国内に一定数の感染者がいる状況で、海外の感染者の比率と大して変わらないのであれば、国内の人が移動することとどこが違うのか。感染率が非常に高い地域からの入国者は、ある程度制限を加えることは合理的かもしれないが、そうでない場合は、特に外国からだからといって規制する必要はない」

 ―ウィズコロナに向け、出口戦略をどのように描いていくべきでしょうか。

 「感染再拡大のリスクは常にある。ただ2年前とは違い、ワクチンがあり、治療法も確立している。そうすると特別に怖がる必要性がある病気ではなくなったということが理解できる。重症化リスクの高い人にはきちんと対応していく、という方向に変えるべきだ。国内ではワクチンも努力義務。マスクやステイホームもすべて義務ではなかった。国民が感染対策をすることで社会を守ることができるという合意ができていた。これからは正しい情報のもとで変えていかなければならない。過度な対策や長期化によって私たちが失うものは非常に大きい。短期間ならある程度犠牲を払ってもよいが、このまま続けるのかどうか。もう一度考え、普通の病気とみなしていく時期にきている」

 ◇大竹文雄氏(おおたけ・ふみお)1961年生まれ。京都大学経済学部卒。大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。専門は労働経済学・行動経済学。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の委員を務める。著書に「行動経済学の使い方」などがある。

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 日本と福井が抱える課題や未来について、参院選を前に識者に聞いた。

© 株式会社福井新聞社

 

 

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1 コメント

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Unknown (河内のおじいちゃん)
2022-08-30 06:16:28
新自由主義論者達は自分達のやって来たことの反省はないのか。
新自由主義という個人主義のせいで資本主義は崩壊してしまった。
資本主義は資本家が労働者に利益を正しく分配する事によって成り立つ。
新自由主義の名の元資本家が正しく分配する事を忘れ、利益を自分の物とした。多くは投資に使われ、自社の発展や労働者の為に使われる事は無かった。資本主義の崩壊だ。

労働者を解雇しやすくする事が雇用促進に繋がるだと?
そこで雇用された労働者は直ぐに解雇されてまた新たな人を雇用する。
賃金の昇給を防いで人件費を抑えているだけじゃないか。
自社による開発や研究による発展を目指さず安い労働力だけを求める。こんな事で経済が発展する訳がない。

新自由主義の名の元、資本家だけでなく政治家までもが個人主義になっている。
なんと嘆かわしい事だろうか。
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