心のふるさと「伊勢の神宮」と神道のあれこれ@れーじん

日本人の心のふるさとといわれる伊勢の神宮。
伊勢国のれーじんが伊勢の神宮や神道、それに関連することをお伝えします。

豊受大神宮(外宮)24 ~三ツ石<みついし>~

2016-01-11 23:50:00 | 神宮
古殿地の向かいに縄で囲われた石があります。


これは三ツ石<みついし>と呼ばれています。
三ツ石は、川原祓所<かわらのはらえしょ>の場所を示す目印です。

伊勢の神宮では、20年に一度社殿を建て替える式年遷宮が行われます。
式年遷宮は、その過程において幾度となく祭祀を行い、それを遷宮諸祭<せんぐうしょさい>といいます。
遷宮諸祭を行う際には、神様にお供えする御装束神宝<おんしょうぞくしんぽう>や奉仕員を清め祓います(=修祓)。
遷宮諸祭における修祓を行う場所を「川原祓所<かわらのはらえしょ>」といいます。
この三ツ石の前に五色の幣串<ごしきのへいぐし>という特別な御幣<ごへい>を立てて修祓が行われます。

昨今、いわゆるスピ系の人たちが三ツ石がパワーストーンと言ったことから、随分ともてはやされています。
この石に手をかざしたり、石の周りの空気をすくって頭や身体に擦り付けたり……
みなさん思い思いの動作を行っています。
最近、その行動が行き過ぎて、縄をくぐって三ツ石に触れようとしたり、お賽銭とおぼしき小銭を投げ入れたりする人がたくさんいます。


参拝者のそのような行動に、神宮の神職さん、衛士さんをはじめとする職員のみなさまは非常に困惑していらっしゃるそうです。
それはそうでしょう。
三ツ石は、20年に一度の行事を行うための目印であって、何かをお祀りしている訳ではないのですから。
実は、以前はこの三ツ石の周りを囲う縄の範囲は、もっと狭いものでした。
参拝者の皆さんの行き過ぎた行動が、囲う範囲を広げるという結果になったのでしょう。

三ツ石がパワーストーンというのは、いわゆる都市伝説でしょう。
何にパワーを感じ、何を大事にするのか、それは人それぞれかもしれません。
しかし、神域内のものはみだりに触るものではありません。
『触るな』と禁止されているから触らない、というのは当たり前のこと。
『触ってもよい』と許可されているもの以外は触らないというのが、あるべき姿ではないでしょうか。
自分の家の物を、隣人や客人があなたの許可なく勝手にベタベタと触ったら、あなたはどう思いますか?
そして、触った拍子にそれが壊れてしまったら、あなたはどうしますか?

また、お賽銭は決められた場所(=賽銭箱)に入れるものです。
参拝者がそれぞれ思い思いの場所(「好き勝手な場所」ともいいます)に投げ入れたお賽銭は、誰がどうやって探して拾い集めるのですか?

なお、平成27年12月14日にリニューアルされた伊勢の神宮のホームページには、三ツ池について次のように記述があります。
近年、手をかざす方がいますが、祭典に用いる場所なのでご遠慮ください。


最後に、手をかざすのは非常に失礼な行為であることを申し添えておきます。

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