どシリアスなマヌケの日常

毎日毎日、ストーリー漫画を描き、残りは妄想.,いや構想の日々の日記。

「イノセント後編1〜守り神」

2022-12-31 08:15:00 | 日記
大輝とはるが出会ったのは、大輝が大学生の頃だった。事件以来、大輝はスーパーやコンビニのバイトはできなくなっていた。どこで働いても、結局は「あの事件」の関係者だとバレてしまう。すると、お客さんの色が変わる。軽蔑と憐れみ。居た堪れなくなって辞めるの繰り返し。

そんな大輝を見かねて、大学の友達が「家庭教師のアルバイト」を紹介してくれた。生徒は6つ年下の中学2年の女の子で、名前ははるちゃん。物静かな性格で、余分なことはほとんど言わない。というか、勉強のことしか言わない。彼女の夢は遺伝の研究をする学者になること。そのために日本でトップクラスの中高一貫の高校に編入するために家庭教師をつけてもらったのだ。編入は中学受験より難関だ。「満点なら合格です」とニコニコして話す彼女は、やっぱり少し変わった子だった。
はるちゃんの色は、楽しそうに輝いていた。本人は、物静かでいても色は明るい鮮やかなものだった。
「夢」がある人ってこうなのかなと大輝は思った。
2年後の春、彼女は志望校に合格し、大輝は社会人になった。そこで、縁は一旦切れた。

マリとどうやって別れようかと大輝が考えていた時、オープンカフェではるとばったり再会した。彼女は、彼女が纏う色は全く変わっていなかった。向かいに座っているマリは、どんどん汚れていっているのに。。。マリとは、この不毛な付き合いは絶対やめる。はるちゃんと付き合いたいと、その時思った。

マリとの別れは突然やってきた。マリの方から別れを切り出してきた。大輝は「ラッキー」と心の中で小躍りした。
「男性とお付き合いするなんて初めて。先生が初彼ですよ。だって、男性より研究の方がエキサイティングですから。」とはるは、初めてのデートの時に言った。「先生はやめてくれる?」と大輝が言ったら「う〜ん。大ちゃんにします。」はるは「ツンデレ」というやつだった。大声を出したり泣いたりはしないけれど、甘えてきたりわざと気を引くような態度も取らなかった。僕たちのデートは、仕事と研究の進捗状況を報告しあったり、悩みを言い合うような、そんな付き合いだった。
「特別な相棒」。。。大輝は初めて「自分を絡め取ろうとする色の女」ではない相手に巡り合った。熱烈な恋ではなかったけれど、はる以上の伴侶は現れないだろうと思った。結婚を申し込む時はドキドキした。彼女も新進気鋭の学者。自分のキャリアも大事だろうと思ったから。はるは、いきなり涙をこぼして「ごめん。大ちゃんのこと、ずっと好きだったの。中学の時から。」と驚く告白をしてきた。大輝は驚いて、長い間の孤独感、心の穴が塞がっていく気がした。

再会して2年後、2人は結婚した。子供は欲しくないことも大輝ははるに言ってあった。はるは「私も子育て以外に夢があるって知ってるでしょ?」と答えた。

結婚して12年後、大輝は設計1課の課長になっていた。はるは30代の若さで助教になっていた。そして、初めて子供ができた。大輝は怖かった。自分も父のように子供を苦しめる親になるのではないかと。はるは、相変わらず「私と大ちゃん、どっちに似るのかしら。遺伝学的な人体実験。」と冗談を言いながら、その顔は優しく微笑んでいた。
驚いたことに妹のエリカも妊娠した。
2ヶ月前の不思議な体験が大輝の頭をよぎった。
学び。信頼と愛情を学べということか。年若い神主が言った言葉が蘇った。


その頃、高天原ではヒカルがカイに尋ねていた。
「カケルの家の赤子は、そろそろ生まれるのではないか?無事生まれたか?」
「兄上、今の下界で出産は、そんなに危険なものではありませぬ。」とカイは答えた。
「気になるのだ。なぜだろう。嫌な感じがする。。。」
「ならば、私が参ります。私は大輝、エリカと面識があります。赤子の出産まで見守りに下界降りいたします」とカイが申し出た。
早速、界は現代の若者ファッションを調べて、「髪は染めてることにして、このままでいいと。。。ピアス?タトゥー?これも入れて」とかなり、誤解をして身なりを整えた。そして「月の階段口」から下界に向かって出発した。

エリカが夫の修と夕食を取っていると修がオズオズと言い出した。「あのさぁ、ここ2、3日。真っ赤な長髪の若い男がうちの前をウロウロしてるんだけど。。。君の知り合い?ひょひょっとして彼氏?」
「あ?彼氏なんかいるわけないでしょ!。。。あ!知ってる人かもしれない!」エリカは「赤い髪」と聞いて中学生の時に会った父の友達「早川さん」かもしれないと思って、慌てて外に出た。

家から少し離れたところに、赤い長髪の若い男がいた。「神主!」とエリカは言うと近づいた。カイは振り返ると「元気そうですね」と言った。
エリカは、カイの顔を見ると「こんなところで何をしているの?」と尋ねた。
するとカイは「エリカとはるの子を見守りに来たのです。」と至って真面目な顔で言った。
「予定日は3ヶ月も先よ!ずっと野宿して遠くから見てるつもりだったの?」とエリカが言うと「野宿とかは、我らには問題ありません。」
「ちょっと、あんた。ウチに来なさい!」とエリカはカイの手を引っ張ると家に連れて帰った。
カイを見て修が驚いていると「この子、父の従姉妹の息子。奥多摩の神社の跡取り。プチ家出。うちでしばらく面倒を見るわ。」エリカの話を聞いて修は「わかったけど。。。何それ、タトゥー?今のガキはわかんない。」
エリカはカイを見ると思った。身体は大人なのに、表情とか仕草が子供っぽい。修の言う通りガキなのかも。
エリカはカイに「はる姉もでしょ。はるもここに来てもらう。あんたは、私たち2人、子供4人を守りに来たのよね。ピッタリくっついて見守りなさい」と命令した。

「はい。エリカがそう言うのであれば。おつとめが終わるまでそうします。」
「名前は。。。えっと。。」

カイはきちんと正座をして「早川 界と申します。お世話になります。」と挨拶した。


左後ろから、青島エリカ、右は田中はる。中央は守り神を請け負った界(カイ)





「幸福な家族」

2022-12-29 07:31:00 | 日記
このお話は田中大輝の妹エリカの視点で物語が進んでいきます。




父が死んだ。75歳。誰にも看取られず1人きりで死んだ。
遺体が発見された時、死後1週間以上が過ぎていて、夏場だったので遺体はひどい有様だった。警察でも目視での身元確認を求められなかった。DNA鑑定で孤独死した遺体は父「田中翔」だと証明された。兄と2人で火葬にして葬式もしなかった。母は今、祖父の故郷オーストラリアのシドニーで教会の仕事をしている。シドニーに渡ったのは15年前。正式に父と離婚して直ぐの事だった。

あの事件が、ようやく落ち着いた頃、兄が大学生になり家を出ることになった。その時に母の方から父に離婚の申し出をした。両親は話し合った結果、勝手に産んだ親の責任として私が結婚するまでは離婚届を出すのはやめようということにした。でも、その日から両親は単なる同居人になった。

私が青島修と結婚式を挙げた翌日、離婚届を役所に提出、母はシドニーに移住する準備を完全に整えていたので役所の前で別れて家には帰らなかった。父が亡くなっても、日本には来ない。
父は田中家の長男で、先祖代々のお墓があるのだが、亡くなった祖父母が父を勘当して、お墓の跡を継ぐのは景おじさんになった。「翔の恥晒しはウチの墓に入れるな」が祖父の遺言だった。
ほんの少しの父の貯金はアパートの賠償金で消えた。お墓をどうしようかと景おじさんに相談に乗ってもらった。

そして、私と兄は奥多摩にある「水川神社」にやってきた。田中家は元々は神道の家だったらしい。そこの墓地に父のお骨も入れてもらうことになった。事件で刺殺された「あかりちゃん」も納骨されているという。

神主さんは、二十代半ばの綺麗な顔をした人だった。横顔があかりちゃんに似てる。名前は、早川界さん。私が中学生の頃2、3回ウチに訪ねてきた父の友達も「早川さん」だったっけ。

納骨をして、ふと墓碑を見ると父と同姓同名の人がいる。その直ぐ前に「田中陽38歳」という名前が刻まれていた。私は神主さんに「陽」って何て読むんですか?と尋ねた。すると神主さんは、「あかりです」と言って、さらに「私はあなた方が会ったあかりちゃんの息子です。三男です。父は早川です。両親は元気ですよ。」と言い出した。

私は、咄嗟に「嘘よ!あかりちゃんの遺体も見たし、火葬場にも行ったもの!」と大声を出してしまった。
すると界さんは「あれは、肉の衣、殻のようなものです。母も父も死にません。私も。私たちは「永遠に在る者」です。エリカ、大輝。貴方たちは「生きて学ぶ者」。翔もね。
翔は、これからが大変です。罪の償いが1000年単位で待っていますから。
「浮気の償い?」と私がいうと界は「違います。あなた方の父親になる前の大罪です。貴方たちの父親の翔はかなり頑張りましたよ。浮気心はありましたが、不貞は犯していませんから。それでも、母は、許しませんでした。母が決めたことは絶対です。母は、あの汚れ女に罰を下した。翔にも。我らの方法ではなく人間に裁いてもらう方法を取りました。」

「貴方たちは、何なの?」
「在る者と言ったでしょう」

私は、母シャインが言った言葉を思い出した。それは、私の結婚式の前日の夜。最後に母と枕を並べた夜。
「あの人たちは神様なの。ずっと守られていた。今は守られていない。」
あの事件が起こるまで私のうちは幸せな家族だった。父が浮気をするまでは。あかりちゃんが殺されて、殺人事件の法廷で父に連座させられるように母も私たち兄妹も制裁された。いじめにあったり縁をきられたりした。他人の裏の本音を想像するようになった。容易く人を信じなくなった。

界は、エリカの考えを読んだかのように言った。
「母は大輝にプレゼントしたんだ。エリカより大輝の方が危うかったから。色で見えるでしょう?我らは守ってますよ。ずっと。私がここの神主をやっていたのは、私の学びなのです。今日で終わり。最後の役目はあなた方と話すこと。
見ていますよと伝えるためにね。だから、怖がらずに学んでください。人生を。信頼と愛情を。それを祈っています。時間になりました。お別れです。」

次の瞬間、風が強く吹き私も兄も目を閉じた。
目を開いだら、廃墟になった神社の跡にいた。

「お兄ちゃん、色って何?」とエリカは大輝にきいた。
「隠していたけど、私は色で他人の人間性がわかる。だから、はると結婚した。はると再会するまで女性不審だった。エリカやはるのような普通の心の女性は少ない。」

「お父さん、本当は何をやらかしたんだろう?」と私が呟くと兄は「考えたくないね」と言った。


私は青島エリカ。父は田中翔、母はシャイン。
仕事は公務員。一生仕事に生きるつもりだった。兄は精密機械の設計技師、義姉はるは大学の助教だ。私たち兄妹に子供はいない。子供を持つ気になれなかった。幸せは突然壊れる。子供は巻き込まれるしかない。それを知ってたから。

父の納骨の2ヶ月後、私は妊娠した。42歳。正直にいうと夫と行為中にゴムが取れてしまった。事故だ。できてしまったものは殺せない。産むことにした。同じ月、義姉はるも妊娠した38歳。
驚いたことに、2人とも双子を妊娠した。
母、シャインに電話で界さんのことや妊娠のことを知らせると一言「神様が授けたのね」と呟いた。

私が子供の頃、私の家は幸せな家族だった。それが、父の浮気がきっかけで壊れた。
父はよく私と兄に「すまない」と言っていた。
親の責任は重い。
今度は私と修が幸せな家族を作る。修は私の身におきた全てを知っている。出会った頃、私の容姿を見て近づいてきた男は、私の強すぎる性格と倫理観に「可愛げがない」と言った。修は可愛げのない性格を面白がった。一緒に頑張ってくれる男性だと信じる努力をしよう。幸せになるには真摯な努力が必要だ。

他を信頼し誠実であれ。愛は与えるもので守るもので在る。お腹を抑えて私は思う。

ー幸福な家族 おわりー

この後、「イノセント後編」に続きます。


実は、一昨日からぎっくり腰を発症。初日は寝たきり状態。
まだ、痛い。ギャーギャー言ってます。



イノセント前編2

2022-12-27 09:03:00 | 日記
アパートを訪ねてきたマリを大輝は軽蔑します。マリは、「色が見える事を聞きに来ただけ」と言い張りますが、大輝には、彼女を取り巻く色から欺瞞を見抜きます。

「もっと物騒な感じだ。僕達の関係を元に戻したい?そんな感じかな?戻すものさえ元々無いのに。」そう冷たく言われて、マリは大輝の深い人間不信ととじている心を思い知ります。

多感な時期に刑事事件に巻き込まれ、家庭が崩壊して、それまで成功した父親を持った誰の目にも幸せな家族が、ハリボテの偽物だと知り、世間から叩かれた家族。を大輝の大きな心の傷。変わった男だと思ってはいたが、彼が辿ってきた人生に関わろうともしなかったマリ。

ここで、初めてマリは、大輝も大久保も愛していなかったことに気が付きます。愛しているのは、30歳までに結婚して裕福な主婦になって幸せにしてもらうはずの自分だった事に気が付きます。

醜い自分を自分で幸せにしなければ、私は不幸なままだと考えながら、涙をこぼしながら帰宅するために歩いて行きます。

この話には、大輝の父、翔とマリが会うシーンもあるのですが、カットしました。翔は、浮気相手と不貞をしていません。下心があっただけです。
でも、下心だけで妻シャインの心は離れていきます。浮気相手が、翔の従姉妹のあかりを刺殺した事により、浮気では済まなくなり、翔は仕事も家庭も失います。
「私の今の境遇が懲役みたいなものです。」と翔は言います。
魔が刺す。逢魔時に翔は足を掬われました。

やったことの証拠はあるかも知れない。でも、やってない事の証拠はないとも翔は言います。浮気心はあったものの、男女関係はないと翔が弁明してもシャインは信じません。信頼が無くなってしまったから。

この10数年後、エリカと大輝は界に出会います。場所は、奥多摩の水川神社。界は神主です。横を向いた顔が、犯人に刺殺されたあかりに似ている。とエリカは思います。
優しい語り口で、20年以上前の事件のカラクリと翔の弁明をします。

明日からは、この奥多摩の話。
「幸せな家族」


イノセント

2022-12-26 10:41:00 | 日記
昨日の続きから。

大輝と付き合うことになった時、マリは26歳。大輝は28歳。マリは結婚相手候補として大輝に目をつけていました。
寡黙でクソ真面目、浮いた噂が全くない誰に見せても恥ずかしくないルックス。
高スペックの優良物件。
ダメ元でお付き合いを申し込んだら、まさかのOK。その夜からラインメッセージを送り始めます。

ラインの着信が来た時、大輝の方は好きでもない女性からのラインほどウザいものはないと気が付きます。

休みの日のデートで、ネズミーランドに行ったり、買い物に行ったりはしますが、大輝はマリに恋をする事はなく自分の過ちに後悔します。3回目のデートで「田中さん」から「大輝」へと大輝への呼び方が変わった時、嫌な色に遭遇した時の吐き気が彼を襲います。

マリの腕を絡ませようとしてくる仕草、手も触りたくないので、2人の距離は空いたまま。「大輝って冷たいよぅ」と頬を膨らませる媚態には、走って逃げたくなります。
自分の部屋に呼びたがり、無茶な理由で大輝の部屋に上がりたがり。
女癖が悪く家庭を壊した父親に相談します。
「向こうから別れると言わせるんだ」とアドバイスされます。父は、浮気相手を父から切った事で家庭を失っていたから。
度重なる嫌がらせとストーカー行為。家に押しかけてきて泣き喚いたあの女の事を思い出して、大輝は、好きでもないマリと2年間手も繋がずに付き合います。

マリも本気で大輝が好きだったわけでもなく、30歳までに結婚したかったのが第一でマリの事を好きだと言ってくれたルックスは落ちるけど、それ以外のスペックは大輝とほぼ同じ、大久保という営業マンに乗り換える決心をします。
二股かけ始めたマリの色は、醜く変貌しています。マリから別れを切り出された時、大輝はホッとします。

その頃、大輝はイノセントな女性に出会っていたのです。マリと別れられたら、付き合えると待っていました。彼女は、何年経とうとも彼女ままだという事も分かっていたので、マリが諦めてくれるのを気長に待っていました。昼休みの社食でラインで話しながら。彼女は古い知り合いで、大学の研究員。理系オタク女子。ラインをしててもデートもしていない。
楽しそうに研究の話をメッセしてくる彼女の色は鮮やかな色が散りばめられた春の風景のようです。

「やっと見つけた」と呟きながら、マリと別れた後、大輝は、はるという名の6歳年下の昔大輝が家庭教師として勉強を教えていた女性と付き合い始めます。

マリは30歳になる前に結婚式を挙げるスケジュールに滑り込みますが、相手の大久保の女癖の悪さで直前に破談に追い込まれます。マリは大輝に相談しようと思うのです。この手の相談は女の汚い手練手管です。

一度も入れてくれなかった大輝の部屋を訪ねていくと、はるが出てきて応対します。
マリには、すっぴんの野暮ったい女だとしか見えませんが、はるの目は知的好奇心でキラキラしています。


早川界(はやかわ かい)
葵と陽(あかり)の三男。イノセントの次の「幸福な家族」からの登場。
長兄のヒカルと7歳違いということになっていますが、内面はまだ子供。高校生くらい。エリカとはるの下僕。なんか勘違いしてタトゥーまで入れて、今風のファッションにしています。


クリスマス

2022-12-25 18:03:00 | 日記


イブを友人と祝って、今帰宅。

キイの話を考えていて、かなり前の「イノセント」の続きが必要となり、何日かブログを休んで考えていた。

「イノセント」は、他人の人となりが分かってしまう田中大輝と2年間付き合った28歳の泉田マリの話。

頭が良く、クォーターでイケメンの大輝は、中学、高校とモテまくり。そんな頃に、父親の浮気相手が親戚のあかりを衆人環視の中、刺殺する。父親の仕事は弁護士。
社会的信用を失い、事務所は潰れ、母親は父親を見限る。欠けたところのないエリート家庭の崩壊。面白おかしく週刊誌に書かれ、ネットで拡散する事件。父の浮気相手の容姿が父の性的な嗜好が異常なのではないかとまで邪推されるほど特殊だったことも面白おかしく取り沙汰される理由でもあった。

加害者ではなくても社会的制裁を受ける田中家。そんな中で大輝は、他人の人間性、感情、思惑を色で捉えることができるようになる。

時が過ぎても、あの事件が大輝と妹のエリカを追いかけてくる。この兄妹の美しい外見は逆に彼らを苦しめる。父の事件は、忘れた頃にネットで再燃を繰り返す。
エリカは気が強く「あ?顔がなに?」と可愛いとか綺麗とか自分に向かって言う男は信用しない。

大輝は、寡黙な精密機械の技術者になる。女性が少ない職場を探して。見えるようになってからは怖くて女性と付き合う事ができない。顔、金、仕事、身長。。。そんなものではなくて、僕そのものを見てくれる女性はいるのだろうか?無垢な心を持つ女性に出会いたい。

「僕はイノセントなものを探してる」これが、大輝がつぶやく口癖。

マリは、普通の女性。美人で、大輝と同じ大企業の総務。大輝より二つ下。30までには結婚したい本当に普通の女。
大輝から見えた彼女の色は、良くも悪くもない。だから、付き合ってみようかなと、うっかり軽く返事をしてしまう。

大輝は長い間女性と付き合うのが怖かったために忘れていた。1番大事な事。好きがどうかが付き合うには大切だと言う事を。

マリの事は、社食で良く見る人としか思っていなかった。


ちょっと年末にかけて、この辺の話を書いていきますね。
「愛情の行方」
「心のありか」
「イノセント」
「幸せな家族」
「イノセント2」
実際の並びは、こんな感じ。

でも、母親シャインは、父親翔を忘れられない。許さなくても忘れられない。別れても、二度と会わなくても、彼が死んでも、彼の年齢を追い越しても彼を忘れられない自分に気が付きます。

最後に
「裏切られても愛している」と言い切ります。彼女は愛を知る人。