どシリアスなマヌケの日常

毎日毎日、ストーリー漫画を描き、残りは妄想.,いや構想の日々の日記。

「亜遊の手紙」ひと休み

2023-03-31 09:28:00 | 日記
「亜遊の手紙」は15ぐらいで終わるかと思いきや、ラストまで20行くかもしれません。
自己満足の山盛りでやっている事ですが、私は始めると止まらない性格なので最後までやります。

「王の補佐官(末席の皇子達)」
「赤男」
「セキの大改革」
「王妃エリ」
「最後の補佐官」
「亜遊」
「亜遊の手紙」
この7作のストーリーを組み合わせてブログにしています。
13までで、最後の「亜遊の手紙」に入りました。

ワタリ、ハジリ、サクリの母親は全員が国替えをして2年で結婚して子離れします。3人の母親は地味な赤女とは違い、すごく美人で苦労をしてきて性格も良いのです。ハジリとサクリの母親2人の結婚の経緯も実際にはストーリーにしてあります。流石に7作を1作にすると細かいところは端折ります。

エリとセキのハネムーンは数行で書きましたが、それだけで本当は4作です。
人間になりすまし人間として子供を産んでみる。この夫婦は子供を持つことは微塵も考えたことがなく「高天原の親父」のリクエストで産んでみて差し出すことが前提で子を産みます。

条件に合う家にセキは入り込み、死んだ直後の男の体に入り込みます。エリは東京駅に捨てられた赤ん坊になってセキに出会うのは19年後。2人でノリノリで大筋を立て「もう一度濃い恋愛」をしようと企みます。
記憶を消して人間になりきって。

「亜遊の手紙」は、戦争で疎開した母子達側の話ですが、同じ頃、高天原は魔物たちの大襲撃を受けています。
執務室で泣いていた不甲斐ないアオイは、戻ってきた妻と高天原で戦っています。
いつの間にか来なくなった「王の息子」については誰も気にしていません。



14に続く。。。


「亜遊の手紙」13

2023-03-30 08:21:00 | 日記
ある日、派手な顔立ちの赤女がワタリの元に来て「母子の家のボランティアをさせてほしい。」と言ってきた。




化けているつもりだろうが、その女はどう見ても王妃エリだった。
ワタリは「ご主人は、なんと仰っていますか?」と聞いた。騙されてあげるにしても、これだけは確認を取っておかねばと思った。
「言うと思ったですって。」と女は答えた。
「それは御了承済みと受け取って良いということですね?」
「その解釈で良いと思います。」女はそう答えた。名をエラと名乗った。
エラはミホと掃除をしたり、亜遊と子守りをした。子供達と花壇を造った。土を掘り子供達に花の種を渡して蒔かせた。神力で10日ほどで花が咲くようにして、子供達と水やりをして花の開花を子供達の楽しみにした。


ふらりとセキがやって来たので、ワタリはセキに「王妃様が、あのような方だとは思いもしませんでした。」と言った。セキは「エリは優しい母親だ。アオイを10歳まで、ああやって育てていた。困っている者を助けずにはおれない、子供が傷つくのは我が事のように辛い。。。王妃は、そういう女性。だからワタリ、好きなようにやらせてやってくれ。」

エリは数日おきに一日2、3時間エラとして「母子の家」に通った。

それは、エラとミホが2人で保育室の掃除をしている時に起こった。
1人の母親が血相を変えてやって来て「ミホ様、私の子は此処を通りませんでしたか?」と叫んだ。
「ルリがどうしたのだ?」とミホが尋ねると「公園で遊んでいたらいなくなってしまったのです!」母親は泣き出した。
エラはそれを聞くと「誰かおるか!」と大声を上げた。その声を聞いた近くにいた赤男数名が駆けつけてきた。
「子供が1人、この区画から出てしまったと考えられる。探せ!高天原の童だ。見れば直ぐに分かるであろう!」赤男達はエラの命令で走っていった。

ミホは「。。。もしかして。。。エリ様?」と言うと膝をついて「ご無礼をいたしました」と頭を下げた。それを見たエリは「やめてくれる?私は此処ではエラでミホの友達。それより、子供を早く探さねば。ワタリが一番この王宮の造りに詳しい。ワタリを呼んでくるね。」と言うなり外に出て言った。

ワタリが「母子の家」に到着すると亜遊もいないことが判明していた。


14に続く。。。




「亜遊の手紙」12

2023-03-29 08:06:00 | 日記
「弥川の皇の尊」。。。忘れていた昔の自分の名前。
ワタリが驚いて振り向くと緋袴の女官がいた。
素顔の亜遊がいた。亜遊はニコニコして「鬼に食べられちゃったかと思っていました。生きていて良かったです。」と言った。

ワタリもニコニコして「亜遊様は高天原にいらしたのですね。私はワタリです。ワタリと呼んでください。亜遊様はアズサ様と共に母子達の面倒をみるために馬車に乗ったのですね。」と言った。
「私は廃国の時に初めて王族の役割に目覚めたのです。今は王族ではありませんが、民草に奉仕するお役目を持つ方の側仕えになりました。」亜遊は答えると頭を下げ「私からも赤王様にお礼を申し上げたいくらいです。私達みんなお世話になります。ワタリ様。」と言うと踵を返して「母子の家」戻っていった。
その後ろ姿を見ながらワタリは亜遊と会うのは3度目。笑い顔は初めてだと気がついた。

ワタリは王の執務室に戻ると、出るときセキから渡された「赤色珠」を全部返した。セキは一つだけワタリに戻すと「ワタリは、あの者達が暮らし易いように直すところも出てくるであろう。お前は常時、身につけておれ。」と言った。
「亜遊様は高天原にいたのですね。」ワタリが言うとセキが廃国の時の話をしてくれた。

「あの女子にはピッタリの国であろう。廃国の時、ワタリの兄は何もできず、王妃の亜遊が民を移民させたのだ。亜遊もまた、ワタリと同じ奴隷であった。公に発言することも禁じられ、7歳から王宮を出たこともなかった。ずっと綺麗な着物を着た人形のような扱いを受けていた。それでも、王族の姫は違うな。王を無視して僅か10日で民や宮仕を送り出した。」
「。。。そうだったんですね。亜遊様は私が鬼に喰われてしまったと思っていたようです。」このワタリの言葉を聞くとセキは「素直な女子だ!」と言って大笑いをした。

ワタリは毎日、空いた時間に「母子の家」に行った。そしてアズサから母子達の暮らしぶりについて話を聞いた。
赤子とは言っても1歳児もいたので公園があることを非常に喜んでいると聞いた日には、部下達の仕事が幼子の癒しになっている。良い仕事をしたと部下達を褒めた。

亜遊は「何でも屋」で母親達が少しでも心休めるように赤子を預かったり、少し大きな子達に歌を教えたり、本を読んだりしていた。ワタリは一階のスペースを組み替えて小さな保育所を造った。
母親達は高天原に残った夫を心配していた。アズサは話を聞き心のケアにあたった。
アズサの母、ミホは袴から赤界の官服のパンツに履き替えて共有スペースの掃除をしだした。もちろん、自分のことは自分でやる。女官達は母子のために連れてきたのだから。

13に続く。。。


「亜遊の手紙」11

2023-03-28 10:26:00 | 日記
戻ってきた馬車には、高天原の約40組の母子が乗っていた。

馬車から4人の大人が出てきた。赤い髪の男が1人、髪色が違う女が3人。
ワタリに赤い髪の男が言った。「セキ様のお勧めで赤子を持つ女達を赤界で疎開させていただくことになリました。有り難く思います。私は高天原のアマテラスの甥に当たる者で名をアズサと申します。後ろにいるのが私の母、母子の手助けをする女官を2人連れて参りました。」

ワタリは面食らってしまった。セキは独断で決めていたからである。
ワタリは「アズサ皇子は、王宮が見えますか?」とアズサに尋ねた。
するとアズサは「はい。私は見えます。赤族の血を引いているので。。。でも、恐らく私だけです。母は召し上げ者の高天原の者。2人の女官もそうです。私はセキ様の曾孫なのです。それで父から『疎開するもの達の面倒を見るように。』と言われて此処に参りました。今の高天原では赤子を持つ女は安心して暮らすことなどできません。」
そこにセキが来て「アズサ、初めてじゃの。我が大ジィジじゃ。でも、セキ様って呼んでね。」とニコニコ挨拶をした。そして「ワタリ、このもの達が住む建物を至急造れ。」とまた無茶なことを言い出した。
でもワタリもロウと同じようにセキの無茶振りには、既に慣れていた。
「中央ガーデンの半分を頂いてよろしいでしょうか?」と答えた。「赤族の宮仕の通行の妨げにならないように造ります。残り半分は子供の公園にします。いかがでしょうか?」
セキは「良きにはからえじゃ。」

ワタリは部下達を集合させた。20名の部下達は赤色珠を腕にしていた。ワタリも赤色珠を腕に通すと「私が大枠を造るので、みんなは部屋を造れ。壁は厚くしてくれ!」
ワタリはアズサの方を向くと「この区画だけは赤族以外の者でも見えるようにします。」と言い、腕を上に上げた。

何もない所から巨大な集合住宅の枠組みが出現した。
パブリックスペースは1階に。室内の遊び場、食堂。女官達とアズサと母ミホの部屋は1階。これは、母子が困った時にアズサ達の場所がわかるように敢えて1階にした。「高天原の第一皇子とその御子息は人間の医術を習得していることは知っています。」とワタリはアズサに言った。

ワタリの部下達は部屋の補強を始めた。そこで、ワタリは「全部違うインテリアの部屋にしよう。みんな二つずつ造ってごらん。」と部下達に任せた。「赤ちゃんとお母さんの部屋。そこは踏み外さないで。安全、安心ね。後で私が見るからね。」と仕事を任せるとアズサに「アズサ様と母君は、ご一緒でいいですか?」「御二方いらっしゃる女官は?」と要望を聞いた。アズサと母で一部屋、女官は1人一部屋。

みるみるうちに一棟の集合住宅が出来上がった。

アズサもミホも女官達も、馬車の中から見ていた母子達もポカンと見ていた。
全体は淡い暖かい色で外観は逆に幾何学的な雰囲気の建物が半日でできた。最後に全部の部屋をワタリがチェックして多少の手を加えた。

ワタリは部下に「赤ちゃんとお母さんの公園は、みんなで相談して造ってみて。」と仕事を任せた。その間に全部の部屋のデザインが違うので、母親達にくじ引きをしてもらって部屋割りをした。アズサに「部屋がえの要望が出たら、相談に乗ってあげてください。」と頼んだ。

ワタリは「国が違うと服装も違うのだな。。。」と思った。袴姿。肩までの黒髪の女官は緋袴で、ずっと俯いている。驚きすぎてキョロキョロしている女官は紫袴。

1回執務室に戻ったセキが、またやってきて建物を見上げると「ほらね。やればできるじゃない」と宣った。
ワタリは「セキ様にお借りした赤色珠のおかげです。高天原から献上された玉でしょう?知ってますよ。後で全部お返しします。」
「アマテラスの親父が山ほどくれた宝玉が役に立ったわ。」とセキはニヤリとした。

母子達が部屋に入るとワタリはアズサ達を部屋に案内し、アズサだけ外に連れていって赤界で暮らす注意点を幾つか授けた。
この場所は庭でありながら宮仕が行き交う場所なので結界が張れない。
この区画から出るとアズサ以外の者は何も見えなくなる。
女官達や母上は、あまり外に出ないように。
最後にワタリは「赤男は美女が大好き。好かれると厄介なことになります。」と付け加えた。

改めて自己紹介もした。
「私は王の部下。名前はワタリ。毎日空いた時間に必ずこの『母子の家』の様子を見にきますので、ご要望がありますればお申し付けください。」と礼をした。

ワタリが部下達と引き上げようとした時、後ろから声をかけられた。
「弥川の皇の尊」


12に続く。。。


「亜遊の手紙」10

2023-03-27 09:26:00 | 日記
「先輩達、どうしたんですか?」とカケルは驚いた。
ワタリは「お前は人間であった頃、何回結婚したのだ?」と尋ねた。
カケルは正直に「3回」と答えた。これを聞いた3人は「3回も?!」と食いついた。

それが何か?といった風にカケルは話を続けた。「人間は死にます。そして何回も生まれます。人間は“学ぶ者“ですから。1回が100年無いのです。私の3回は凄く少ない方ですよ。1回目は2年で死別。2回目は。。。すみません。言いたくありません。3回目は私の浮気で30年で離別です。全部、私の過ちで、全部、お相手を不幸にしました。」

「結婚とは、そんなに難しいものなのか?」とハジリが訊くと「人間は難しいです。でも、赤族は、相手選びを間違わなければ凄く幸せになるように出来ていると思います。」とカケルはニコニコして答えた。

ワタリは「相手は、どうやって選ぶの?」とカケルにきいてみた。
カケルは「さぁ?好きになっちゃうんですよ。そして取りに行く感じかな。。。」
「取りに行くって何を?」
「お相手の心に決まっているじゃないですか。」

3人はリョウにも「結婚について」きいてみた。
リョウは「結婚なんてな、オレが人間だった頃は無かった。だから0回。お前らと同じ!」と怒鳴った。

セキが、この話を聞いていて口を挟んだ。
「焦るな!我がエリに出会うまで何年かかったか元皇子達は知っておろう。女官長は、カケルの別れた妻での。赤界で再会したのだ。」
「え〜っ!」と3人は驚くと「オレ、まだ許してもらってないから、ずっと謝っているところなんっすよ。」とカケルは頭を掻いた。

嘘だった。リラは許していた。2人は初めて出会った頃のように別れてからのお互いの過去について話していた。
カケルは「償いの1,500年」のこと。
リラは西の御使から王妃エリの女官長になるまで。


2人の子供達、エリカと大輝に孫が2人ずつできたこと。
大輝は出産時に妻を事故で亡くしたこと。
2人とも今は何処にいるのか分からないことも。

“好きになっちゃう”ってどういう事なのか。。。3皇子には全く分からなかった。
部下を持つようになって部下達には赤女もいるのだが、部下は部下。雑談はしても男の部下に接するのと同じ気持ちにしかならなかった。

8年後、高天原が黄泉国から一方的な攻撃を受けるようになった。日に日に高天原の民達は安心して暮らせなくなっていった。セキの命令により強い武力を持つリョウとカケルは先発隊として高天原に派遣された。先発隊は4人。「武術研修」と言う名目で追放された赤男シンが4年前から高天原に既に行っていた。
5人の赤族は高天原の女王アマテラスに赤男の増援をセキに頼むように進言した。

数十人の赤男、殆どがガラの悪いリョウの部下が赤界の大型馬車、数台に乗り込み高天原に旅立った。
空になった馬車が戻ってきた。空じゃなかった。。。。

ワタリは王から「中央ガーデン」に行けと言われた。
行ってみるとそこには。。。また、セキの無茶振りに悩まされるのかとワタリは諦めた。

11に続く。。。