「葵の花」で葵が12歳の時、ショタコンの女子大生から淫行の被害に遭っていたことを陽に告白するシーンがあります。その女は相模純子といい当時二十歳。兄達の母校K大の医学部。
葵は酷い自己嫌悪と自己卑下、女性嫌悪を抱いています。自分の男性性すら否定するようになっていました。普通なら好きな女の子ができる年頃になっても親友の翔と子供のようにふざけ合っています。
そんな葵が女を感じないのが陽。翔の従姉妹。3つ年下で底辺校のビリ。話すことも幼くて子供を相手しているようで嫌悪感も感じません。子供だから。しかし、葵の深い心の傷を子供のはずの陽が癒してしまいます。これが、「葵の花」までのストーリー。
ここから、葵は重大なことに気づきます。相模は最後に「葵くんは、背が高くてゴツくなって声もオジサンみたい。私ね、大人の男に興味ないの。可愛い男の子を育てるのが好き。」と言ったのです。自分の傷だけをなめていた葵は相模はその後も自分と同じように年端の行かない少年たちを食い物にしていたんじゃないかと気が付きます。
父親の哲也に「淫行されていた。立ち直るのに4年以上かかった。相模は、あいつは医者になってはいけない。」と告白します。父と長兄の一也が動きます。被害を受けた少年は葵の他に5人いました。葵より年上の子も陽より年下の子も。葵にとって思い出すのも穢れる気がする体験を他の男の子達もしていました。みんな、自分の「男性という性」を受け入れられなくなって普通の子ではありませんでした。弁護士も入って告訴することにします。
この事件は、葵の「精神科医になる。」という目標の強い原動力になります。父親から「あーくんは、心のお医者さんになるんだよ」と言われた幼い日のぼんやりした夢が「自分の使命だ」とハッキリ自覚するのです。
何も悪くないのに、悪い人に心を傷つけられ、心が壊れたら「人生を失う」。
相模は恐ろしいことに小児科医になっていました。裁判が進むにつれ相模純子の被害者は二桁の人数がいたと判明。今も院内で患児に淫行をおこなっていました。実刑判決となり、医師免許も剥奪されます。
新しい絵を描けないので、「葵の花」の未完成原稿から。
病人は、術後1ヶ月半経って、昨日の午後から病院に行って我が家にはいません。今日も帰ってこなくて明日は出勤するそうです。明日の夜、戻ってきます。少しずつ良くなっているのが顔を見ているとわかります。
お医者さんって、すごいなぁと思います。
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