11月3日(文化の日)に開催された「NHK音楽祭2021」が先週、地上波で全国放送され「九州交響楽団」の演奏が、日本中のクラシックファンに届けられました。地方オーケストラが地上波で全国放送されるのは、歴史的大事件と同じくらいに珍しい事です。
指揮者は田中祐子さん。普段はパリで指揮を執られているようですが、コロナの影響で戻れないらしく、縁あって「九州交響楽団」でタクトを振る事になったとの事。
自分はいつも、名演奏の後に目にする「素晴らしい演奏を引き出した指揮者の手腕がすごい」という記事を読みながら、思っていました… 楽団員さん達はプロなので、自分のような素人が指揮棒を振っても、それなりに演奏してくれるだろう… だけど、世界的な指揮者がタクトを振っても、私は楽器を演奏出来ません… なので、本当にすごいのは、指揮者の要求に応えた楽団員さん達なのではなかろうか? と。
しかし、今回に関しては「本日のVIPは指揮者」だと思いました。全身や表情を使って、曲のテンポのみならず、曲想を視覚的に表現されており「ビジュアルの要」としての存在感を発揮されていました。あちらがプロなら、こちらもプロ。一概に「どちらがすごい」とは決められないな、と思い直しました。
また、九州交響楽団の常任指揮者は全員男性ですが、女性がタクトを振った事により、新しい魅力が加わったような気がしました。とはいえ、性別はあくまでも結果論であり「女性だから」じゃなく「田中祐子さんの指揮が素晴らしかったから」そのように感じられたのだと思います。
今回の感想、指揮者の話ばかりになってしまいました。それくらい指揮者の印象が強かった。果たして自分は、番組の作り方やカメラワークなどによって、影響を受けてしまっているのだろうか… もしも生で観ていたら、全く違った感想を持っていたのだろうか… その答えを知るには、生で鑑賞するしかないのかもしれません…