7月1日に「アクロス福岡シンフォニーホール」で開催された「展覧会の絵」コンサートに行ってきました。
前半は「チャイコフスキーのピアノ協奏曲」。数あるピアノ協奏曲の中で、一番好きなのがコレです。しかもピアニストは、日本女性初の「チャイコフスキー国際ピアノコンクール・優勝」の実績を持つ、上原彩子さん。
この曲は、有名な冒頭部分が印象的ですが、その後、同じモチーフは二度と出てこないのだそう。途中、この事実をパンフレットで知り「もっとありがたい気持ちで心して聴くべきだった…」と反省…
しかし、最高の音楽を、最高の指揮者・最高のオーケストラ・最高のピアニストの組み合わせで聴けた事は、最高に素晴らしい経験になりました。また、冒頭のファンファーレは、ホルンが担当していたのだと初めて知りました。また、ホルンに続く弦楽器の美しさが印象に残りました。
アンコールでは、上原さんがショパンの「子犬のワルツ」他1曲を披露して下さいました。ピアノを習っている子供が来ていたとしたら、きっと喜ばれるナンバーだろうなと思いました。
後半が「展覧会の絵」。この曲は(「フランダースの犬」のラストシーンで「ルーベンスの絵」が公開された時に流れる)「キエフの大門」が有名ですが、それ以外の部分は知らず、どんな「絵」が出てくるのだろう… という興味を持ちながら(今回もまた予習なしで)聴きに行きました。
どうやら「暗い絵」や「不気味な絵」が多いようでした。ですが、ドラクエの音楽同様「鬼気迫る場面」や「おどろおどろしいシーン」をカッコ良く表現するには金管楽器が欠かせない、と改めて思いました。チューバなどの中低音楽器にも見せ場があるのが良かった。
また「牛が重い馬車を引いている絵」というのが出てくるのですが、スネアドラムのトレモロが、小石を表現しているようで、印象的でした。楽器の個性が生かされており「これぞ多様性」と思いました。
そして、何といっても印象的なのが「キーウの大門」のテーマです。これは「ウクライナの首都に計画された大門のデザイン画」を表現しており、明るく光り輝く感じの曲です(暗い絵が並んでいるのは、この絵との対比効果を出すためなのか)。ところで、九響は長らく、クラリネットの首席が不在となっていました。それは、前の首席がウクライナ人だったからです。母国が大変だという事で帰国され、そのまま戻って来られない状況のようです…
なので、どの団員さんにも、ウクライナには特別な思いがおありだと思います… どこまでも真っすぐに届きそうな、トランペットの響きが印象的でした。松居さんがこの席に座っていて下さる事の、心強さを感じました。また、指揮者のコバケンさんが「本日の九響は完璧でした」と仰っていましたが、全体的に愛を感じる演奏でした。