北九州銀行レトロライン潮風号
北九州銀行レトロライン潮風号
門司港駅に降り立つと、まず楽しみたいのが、駅周辺にあるレンガ造りの美しい建物群です。しかし、多くの福岡人がそうであるように、それは既に体験済。なので、今回は「関門トンネル人道」に足を伸ばし、関門エリアを満喫することにしました。
アクセスとしては、門司港駅から徒歩3分のところにある「九州鉄道博物館」から「北九州銀行レトロライン・潮風号」に乗車します。観光気分を盛り上げる電車に揺られながら、目指すは終点の「めかり公園駅」。ここから「関門トンネル人道入口」へと向かいます。
関門トンネル人道は、海の下を通る、歩行者専用トンネル。全長約780メートルの道のりを歩くと、下関側の出口へたどり着きます。門司側からも下関側からも、関門橋の巨大な橋桁がそびえ立ち、本州と九州が最も近付く場所ならではの、迫力ある光景を味わえます。下関市内のバスは「nimoka」で乗車出来、唐戸市場でフグを食べた後は「関門連絡船」で、門司港駅まで戻ることが出来ました。
今回の旅で改めて気付かされたのは、門司と下関のつながりの深さです。下関を望む門司側には、下関の観光案内が設置されていて、自然と下関へ渡ってみたくなります。同様に、門司を望む下関側にも、門司の観光案内が設置されています。さらには、両地域で使える地域通貨「かんもんpay」まで発行されており「関門」は1つのエリアなのだと感じることが出来ました。
久々に、福岡空港の国内線を利用しました。福岡空港といえば、新しくなったターミナルビルが話題ですが、訪れてみて改めて「福岡って便利だな」と感じました。他の都市では、駅からシャトルバスに乗ってようやく空港にたどり着く印象が強いですが、福岡は違います。市内中心部から地下鉄で10分ほど、しかも「福岡空港駅」の改札を出たら、そこはもうターミナルの中。これほどアクセスが良い空港は、全国的にも珍しいのではないでしょうか。
この日は飛行機が遅れていたため、チェックインまでの時間、お土産ショップをぶらぶらしてみました。店舗数も多く「明太子」や「博多通りもん」などの福岡名物が並んでいて、見ごたえ十分。ただ、取り扱っているのは食べ物ばかりで「博多人形」「博多織」「久留米絣」などの工芸品が少ないのは、少し残念。飛行機の形の博多人形や、エコバッグやハンドタオルやポーチ、トランクの目印代わりに使えるバンダナなどのトラベルグッズがあったらいいのにな、と思いました。
手荷物を預けてからは、搭乗までの時間、飲食店めぐりが楽しめるようになっていました。ここもまた、福岡ならではのラインナップが充実しています。特に印象に残ったのは「茅乃舎」と「ロイヤルホスト」がコラボしたラーメン店。また「喜水丸」では、新鮮な魚を使ったリーズナブルで豪華な朝食が提供されていました。300円で利用できるマッサージチェアもあり、空港での待ち時間を快適にする工夫が感じられました。
一方で、少し気になる点も。ターミナルに入ってから飛行機に乗るまでには、かなりの距離を歩く必要があり、お子様連れの方、ご高齢の方、身体が不自由な方にとっては、ちょっとしんどいかもしれません… 動く歩道は設置されているものの、その範囲は限られていて「ないよりマシ」という程度。今後は、そういったところも充実するといいな、と思いました。
二日市温泉は、1300年以上の歴史を誇る九州最古の温泉地で、かつては太宰府政庁の役人や貴族が疲れを癒やしに訪れたといわれています。今でも多くの人が訪れ、温泉の効能を楽しんでいます。
温泉を楽しんだ後、徒歩約500mの距離にある「武蔵寺」へ向かいました。「大丸別荘」の前の大きな通りを(道路の下を通って)横断すると「天拝坂自然公園」があり、その隣に佇んでいます。
武蔵寺は「藤原氏によって建立された九州最古の寺」といわれており、境内には「藤原氏が自身の名前にちなんで植えた」という説のある、樹齢千年を超える藤の木があります。しかし、九州大学の研究では「蘇我氏によって建立された日本最古の寺」である可能性も示唆されており、歴史のロマンを感じさせる興味深い場所でもあります。
武蔵寺の近くには、菅原道真ゆかりの寺もあり、このお寺も「西の都」と関連があるのではないかと考えると、さらに興味が湧いてきます。「西の都」とは、平安時代に九州の中心都市として栄えた太宰府周辺を指す言葉ですが「太宰府天満宮」以外の歴史スポットにも、もっと注目が集まると良いなと思いました。
先日、福岡を中心とする「西の都」が、日本遺産の認定を取り消されるというニュースを耳にしました。調べてみると「西の都」とは、太宰府を中心とし、かつて存在していた「九州の都」を指すとのこと。また「太宰府天満宮」周辺史跡だけでなく、日本百名湯の一つ「二日市温泉」も含まれていることが分かりました。寒さが厳しく、ちょうど温泉で温まりたいと思っていたので、訪れてみることに。
二日市温泉は、日本の古典文学に沢山登場する、九州最古の温泉らしいです。そして、数ある温泉施設の中から、格式ある「大丸別荘」を訪ねました。一泊何万円もする高級旅館ですが、期間限定で日帰り入浴が2千円となっていました。大浴場にしては高めの料金ですが、福岡で唯一の「日本百名湯」でもあり、一生に一度くらいは行っておいてもいいかなと。
到着すると、目に入ったのは博多人形をはじめとする伝統工芸品の数々。館内のラウンジでは、自動演奏のピアノが優雅な雰囲気を醸し出していました。さらに驚いたのは、建物の造りでした。平安時代の寝殿造に、二階以上が増築されたような独特の構造。中庭は日本庭園となっており、太宰府とのつながりを感じさせる、梅の木が植えられていました。
そして、肝心のお風呂へ。洗い場の床には玉砂利が埋め込まれ、湯船の底にも石が沈んでおり、足つぼを刺激する仕組みになっています。温泉の成分には詳しくないものの、温泉療養とリラクゼーションが一体化した、工夫された造りに感心しました。
今回の訪問を通じて「二日市温泉」の歴史的価値を、知ることが出来ました。普及のための取り組みが不足しているとされ、日本遺産の「認定」が取り消され「認定候補」へと格下げされた事は残念ですが、このニュースをきっかけに「西の都」が再び注目されることを願っています。