心の自由

被曝を最小限にして命を繋ごう!

国連人権理事会特別報告者 アナンド・グローバー氏 全文(転載)

2012年12月27日 | 講演

記者の皆様、ご臨席の皆様

最初に、日本にお招きいただき、興味深く充実した会合や各地の訪問調査プログラムを円滑に進められるよう手配いただきました日本政府の皆様に、心より感謝申し上げます。今回の訪問中、政府関係者の方々、東京電力株式会社の役員の方々、医療・法律専門家の方々、そして地域や市民社会の代表者の方々にお会いしました。福島県および宮城県で地震、津波および原発事故の被害に見舞われた地域も訪問しましたが、訪問する先々で常に温かく丁重に迎えていただきました。また、政府高官の方々とも率直な意見を交換いたしました。特別報告者としてのミッションが円滑に進むよう、手配いただいた政府・関係省庁の方々のご尽力に感謝しております。この場をお借りいたしまして、貴重なお時間をいただき経験を伝えて下さった皆様全員に感謝申し上げます。

達成可能な最高水準の心身の健康を享受する権利(「健康を享受する権利」)に関する国連人権理事会特別報告者としてのミッションを説明した簡単な資料を、この会場に用意しております。端的に申しますと、私は健康を享受する権利の実現に関して国連人権理事会および国連総会に報告・勧告する独立専門家です。国連人権理事会から任命を受けましたが、国連に雇われているわけではなく、名誉職という立場で今回の任務を遂行しています。独立専門家として、私なりの結論と提言をまとめるべく、専門的判断を下します。

本日の発表は、予備的考察の一部に限らせていただきます。詳細につきましては、2013 年6 月に国連人権理事会に提示する最終報告で発表いたします。

ご臨席の皆様

今回の私のミッションは、対話と協力の精神を胸に、日本がいかに健康を享受する権利を実行しようと努めているか把握し、それを首尾よく実現させるための方策並びに立ちはだかる障害について理解することです。より具体的には、地震、津波、原発事故という三重の災害への対応に伴う課題と方策、そこから得た教訓やグットプラクティスに焦点を当てることなどを通じて、東日本大震災を経た現在の状況における、健康を享受する権利の実現に取り組んできました。

ここで本題に入る前に、まず大切なご家族を亡くされた方々に対して、心からお悔やみ申し上げます、そして地震、津波、原発事故の被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。

2011 年3 月11 日、東北地方を地震、津波、そして人災による原発事故が次々と襲い、日本は未曾有の原発事故に見舞われました。死者約1 万8000 人、負傷者は数千人に達した この非常事態に対して、積極的にリーダーシップを発揮した日本政府に敬意を表したいと思います。

また、政府による東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会および国会による東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(NAIIC)がまとめた報告書などの様々な報告書にも留意しています。この件について活発な議論を歓迎します。

原子力発電所で事故が発生した場合の災害管理計画について近隣住民が把握していなかったのは残念なことです。実際、福島県双葉町の住民の方々は、1991 年に締結された安全協定により、東京電力の原子力発電所は安全であり、原発事故が発生するはずなどないと信じてきたのです。

独立した立場からの原子力発電所の調査、モニタリングの実施を目指し、原子力規制委員会を設立した日本政府は賞賛に値します。これにより、従来の規制枠組みに見られた「断層」、すなわち、原子力発電所の独立性と効果的なモニタリング体制の欠如ならびに、規制当局の透明性と説明責任の欠如への対応を図ることが可能になります。こうしたプロセスは強く望まれるものであり、国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の報告でも提言されています。従って、原子力規制委員会の委員長や委員は、独立性を保つだけでなく、独立性を保っていると見られることも重要です。この点については、現委員の利害の対立を開示するという方策が定着しています。日本政府に対して、こうした手順を出来るだけ早急に導入することを要請いたします。それにより、精査プロセスの独立性に関する信頼性を構築しやすくなるでしょう。

皆様、

原発事故の直後には、放射性ヨウ素の取り込みを防止して甲状腺ガンのリスクを低減するために、被ばくした近隣住民の方々に安定ヨウ素剤を配布するというのが常套手段です。私は、日本政府が被害にあわれた住民の方々に安定ヨウ素剤に関する指示を出さず、配布もしなかったことを残念に思います。にもかかわらず、一部の市町村は独自にケースバイケースで安定ヨウ素剤を配布しました。

災害、なかでも原発事故のような人災が発生した場合、政府の信頼性が問われます。従って、政府が正確な情報を提供して、住民を汚染地域から避難させることが極めて重要です。しかし、残念ながらSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)による放射線量の情報および放射性プルームの動きが直ちに公表されることはありませんでした。さらに避難対象区域は、実際の放射線量ではなく、災害現場からの距離および放射性プルームの到達範囲に基づいて設定されました。従って、当初の避難区域はホットスポットを無視したものでした。これに加えて、日本政府は、避難区域の指定に年間20 mSv という基準値を使用しました。これは、年間20 mSv までの実効線量は安全であるという形で伝えられました。また、学校で配布された副読本などの様々な政府刊行物において、年間100 mSv 以下の放射線被ばくが、がんに直接的につながるリスクであることを示す明確な証拠はない、と発表することで状況はさらに悪化したのです。

年間20 mSv という基準値は、1972 年に定められた原子力業界安全規制の数字と大きな差があります。原子力発電所の作業従事者の被ばく限度(管理区域内)は年間20 mSv(年間50 mSv/年を超えてはならない)、5 年間で累計100mSv、と法律に定められています。3 ヶ月間で放射線量が1.3 mSv に達する管理区域への一般市民の立ち入りは禁じられており、作業員は当該地域での飲食、睡眠も禁止されています。また、被ばく線量が年間2mSv を超える管理区域への妊婦の立ち入りも禁じられています。

ここで思い出していただきたいのは、チェルノブイリ事故の際、強制移住の基準値は、土壌汚染レベルとは別に、年間5 mSv 以上であったという点です。また、多くの疫学研究において、年間100 mSv を下回る低線量放射線でもガンその他の疾患が発生する可能性がある、という指摘がなされています。研究によれば、疾患の発症に下限となる放射線基準値はないのです。

残念ながら、政府が定めた現行の限界値と、国内の業界安全規制で定められた限界値、チェルノブイリ事故時に用いられた放射線量の限界値、そして、疫学研究の知見との間には一貫性がありません。これが多くの地元住民の間に混乱を招き、政府発表のデータや方針に対する疑念が高まることにつながっているのです。これに輪をかけて、放射線モニタリングステーションが、監視区域に近接する区域の様々な放射線量レベルを反映していないという事実が挙げられます。その結果、地元住民の方々は、近隣地域の放射線量のモニタリングを自ら行なっているのです。訪問中、私はそうした差異を示す多くのデータを見せてもらいました。こうした状況において、私は日本政府に対して、住民が測定したものも含め、全ての有効な独立データを取り入れ、公にすることを要請いたします。

健康を享受する権利に照らして、日本政府は、全体的かつ包括的なスクリーニングを通じて、放射線汚染区域における、放射線による健康への影響をモニタリングし、適切な処置をとるべきです。この点に関しては、日本政府はすでに健康管理調査を実施しています。これはよいのですが、同調査の対象は、福島県民および災害発生時に福島県を訪れていた人々に限られています。そこで私は、日本政府に対して、健康調査を放射線汚染区域全体において実施することを要請いたします。これに関連して、福島県の健康管理調査の質問回答率は、わずか23%あまりと、大変低い数値でした。また、健康管理調査は、子どもを対象とした甲状腺検査、全体的な健康診査、メンタル面や生活習慣に関する調査、妊産婦に関する調査に限られています。残念ながら、調査範囲が狭いのです。これは、チェルノブイリ事故から限られた教訓しか活用しておらず、また、低線量放射線地域、例えば、年間100 mSv を下回る地域でさえも、ガンその他の疾患の可能性があることを指摘する疫学研究を無視しているためです。健康を享受する権利の枠組みに従い、日本政府に対して、慎重に慎重を重ねた対応をとること、また、包括的な調査を実施し、長時間かけて内部被ばくの調査とモニタリングを行うよう推奨いたします。

自分の子どもが甲状腺検査を受け、基準値を下回る程度の大きさの嚢胞(のうほう)や結節の疑いがある、という診断を受けた住民からの報告に、私は懸念を抱いています。検査後、ご両親は二次検査を受けることもできず、要求しても診断書も受け取れませんでした。事実上、自分たちの医療記録にアクセスする権利を否定されたのです。残念なことに、これらの文書を入手するために煩雑な情報開示請求の手続きが必要なのです。

政府は、原子力発電所作業員の放射線による影響のモニタリングについても、特に注意を払う必要があります。一部の作業員は、極めて高濃度の放射線に被ばくしました。何重もの下請け会社を介在して、大量の派遣作業員を雇用しているということを知り、心が痛みました。その多くが短期雇用で、雇用契約終了後に長期的な健康モニタリングが行われることはありません。日本政府に対して、この点に目を背けることなく、放射線に被ばくした作業員全員に対してモニタリングや治療を施すよう要請いたします。

報道関係者の皆様、

日本政府は、避難者の方々に対して、一時避難施設あるいは補助金支給住宅施設を用意しています。これはよいのですが、 住民の方々によれば、緊急避難センターは、障がい者向けにバリアフリー環境が整っておらず、また、女性や小さな子どもが利用することに配慮したものでもありませんでした。悲しいことに、原発事故発生後に住民の方々が避難した際、家族が別々にならなければならず、夫と母子、およびお年寄りが離れ離れになってしまう事態につながりました。これが、互いの不調和、不和を招き、離婚に至るケースすらありました。苦しみや、精神面での不安につながったのです。日本政府は、これらの重要な課題を早急に解決しなければなりません。

食品の放射線汚染は、長期的な問題です。日本政府が食品安全基準値を1kgあたり500 Bq から100 Bq に引き下げたことは称賛に値します。しかし、各5県ではこれよりも低い水準値を設定しています。さらに、住民はこの基準の導入について不安を募らせています。日本政府は、早急に食品安全の施行を強化すべきです。

また、日本政府は、土壌汚染への対応を進めています。長期的目標として汚染レベルが年間20 mSv 未満の地域の放射線レベルは1mSv まで引き下げる、また、年間20~50 mSv の地域については、2013 年末までに年間20 mSv 未満に引き下げる、という具体的政策目標を掲げています。ただ、ここでも残念なのは、現在の放射線レベルが年間20 mSv 未満の地域で年間1mSv まで引き下げるという目標について、具体的なスケジュールが決まっていないという点です。更に、他の地域については、汚染除去レベル目標は、年間1 mSv を大きく上回る数値に設定されています。住民は、安全で健康的な環境で暮らす権利があります。従って、日本政府に対して、他の地域について放射線レベルを年間1mSv に引き下げる、明確なスケジュール、指標、ベンチマークを定めた汚染除去活動計画を導入することを要請いたします。汚染除去の実施に際しては、専用の作業員を雇用し、作業員の手で実施される予定であることを知り、結構なことであると思いました。しかし、一部の汚染除去作業が、住人自身の手で、しかも適切な設備や放射線被ばくに伴う悪影響に関する情報も無く行われているのは残念なことです。

また、日本政府は、全ての避難者に対して、経済的支援や補助金を継続または復活させ、避難するのか、それとも自宅に戻るのか、どちらを希望するか、避難者が自分の意志で判断できるようにするべきです。これは、日本政府の計画に対する避難者の信頼構築にもつながります。

訪問中、多くの人々が、東京電力は、原発事故の責任に対する説明義務を果たしていないことへの懸念を示しました。日本政府が東京電力株式の大多数を所有していること、これは突き詰めれば、納税者がつけを払わされる可能性があるということでもあります。健康を享受する権利の枠組みにおいては、訴訟にもつながる誤った行為に関わる責任者の説明責任を定めています。従って、日本政府は、東京電力も説明責任があることを明確にし、納税者が最終的な責任を負わされることのないようにしなければなりません。

訪問中、被害にあわれた住民の方々、特に、障がい者、若い母親、妊婦、子ども、お年寄りなどの方々から、自分たちに影響がおよぶ決定に対して発言権がない、という言葉を耳にしました。健康を享受する権利の枠組みにおいては、地域に影響がおよぶ決定に際して、そうした影響がおよぶすべての地域が決定プロセスに参加するよう、国に求めています。つまり、今回被害にあわれた人々は、意思決定プロセス、さらには実行、モニタリング、説明責任プロセスにも参加する必要があるということです。こうした参加を通じて、決定事項が全体に伝わるだけではなく、被害にあった地域の政府に対する信頼強化にもつながるのです。これは、効率的に災害からの復興を成し遂げるためにも必要であると思われます。

日本政府に対して、被害に合われた人々、特に社会的弱者を、すべての意思決定プロセスに十分に参加してもらうよう要請いたします。こうしたプロセスには、健康管理調査の策定、避難所の設計、汚染除去の実施等に関する参加などが挙げられるでしょう。

この点について、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」が2012 年6 月に制定されたことを歓迎します。この法律は、原子力事故により影響を受けた人々の支援およびケアに関する枠組みを定めたものです。同法はまだ施行されておらず、私は日本政府に対して、同法を早急に施行する方策を講じることを要請いたします。これは日本政府にとって、社会低弱者を含む、被害を受けた地域が十分に参加する形で基本方針や関連規制の枠組みを定める、よい機会になるでしょう。

ご清聴ありがとうございました。


<今年の反省>

2012年12月27日 | 日記
大切な家族の誰一人にも、関東の放射能汚染の危険な現実を伝える言葉を失い、自らの無力さに絶望した!
大切な命を福島から逃がすために、ほとんど何も出来なかった!自分も移住出来なかった!
絶望しながら、やれる事を模索しながら突き進む!
せめて、私心なく闘ってきた自分を褒めてやろう!

<東京23区の汚染状態の確認> 2012 3/23 木下黄太氏ブログより転載

2012年12月26日 | 木下黄太

東京23区の汚染状態の確認。セシウム合算で平均1,006Bq/kgでキエフを越える汚染の可能性。

2012-03-23 12:48:22 | 福島第一原発

 過去の首都圏の土壌調査のデータや僕に直接報告のあったデータで、東京23区のものをまとめなおしました。側溝や歩道脇の堆積物などは高く出るため、除外しました。これまでの放射能防御プロジェクトの発表と一部異なり、僕が信頼度があると判断したものを入れたり、そうでないものを外したりしています。検査会社とも話して、僕の中で確認をしながら、もう一度整理したものです。もともとバンダジェフスキー博士にデータをみせるために整理しましたが、わかっていたのですが、東京23区と多摩地域だと、23区が高く、多摩地域が低い数字でした。さらに23区でその後高いデータがあるため、平均は上がりました。今、四十二箇所で23区の平均を出すと、セシウム合算で1,006Bq/kgになりました。これは霞ヶ関の経済産業省前の植え込みで10,013Bq/kgをカウントしているものです。仮に、これを外しても(外す理由は特にありません)、セシウム合算の平均はおよそ786Bq/kgとなります。毎年、東京都で放射能検査で、セシウムの土壌を新宿区内で検査しているのが、都内の基準の場所ですが、ここが311前は、1.5Bq/kg程度までだったのが、去年の秋には、790Bq/kg程度になりました。この基準の場所の数値と、霞ヶ関の数値を外した、僕の方の23区の平均が同程度です。ここからも、23区の汚染平均は、およそ800Bq/kgから1000Bq/kg程度の状態と思われます。ウクライナのキエフが、数年後のセシウム137のみで0.8キュリー=およそ460Bq/kgで、当初の放出の比率が137:134=2:1と言われていることから、本当に大雑把な推定でおよそ690Bq/kgになります。セシウムの量だけで考えると、東京23区はキエフよりも汚染程度は強い可能性があると判断できると僕は思います。これが東京23区東部に限定すると、平均がさらに跳ね上がり、バンダジェフスキー博士が活躍したベラルーシのゴメリ並になるのではと推測しています。

====================================================

単位は全てBq/kg

1 東京都 足立区 Cs-134 101 Cs-137 121 Cs合算 222
2 東京都 足立区 Cs-134 735 Cs-137 972 Cs合算 1707
3 東京都 荒川区 Cs-134 88 Cs-137 145 Cs合算 233
4 東京都 板橋区 Cs-134 0 Cs-137 24 Cs合算 24
5 東京都 江戸川区 Cs-134 334 Cs-137 397 Cs合算 731
6 東京都 江戸川区 Cs-134 1571 Cs-137 2122 Cs合算 3693
7 東京都 江戸川区 Cs-134 506 Cs-137 493 Cs合算 999
8 東京都 江戸川区 Cs-134 1732 Cs-137 1923 Cs合算 3655
9 東京都 大田区 Cs-134 311 Cs-137 357 Cs合算 668
10 東京都 大田区 Cs-134 628 Cs-137 733 Cs合算 1361
11 東京都 葛飾区 Cs-134 1333 Cs-137 1357 Cs合算 2690
12 東京都 北区 Cs-134 63 Cs-137 75 Cs合算 138
13 東京都 北区 Cs-134 387 Cs-137 527 Cs合算 914
14 東京都 北区 Cs-134 249 Cs-137 400 Cs合算 649
15 東京都 江東区 Cs-134 299 Cs-137 360 Cs合算 659
16 東京都 江東区 Cs-134 169 Cs-137 220 Cs合算 389
17 東京都 品川区 Cs-134 69 Cs-137 109 Cs合算 178
18 東京都 渋谷区 Cs-134 136 Cs-137 182 Cs合算 318
19 東京都 新宿区 Cs-134 50 Cs-137 71 Cs合算 121
20 東京都 新宿区 Cs-134 527 Cs-137 564 Cs合算 1091
21 東京都 杉並区 Cs-134 67 Cs-137 82 Cs合算 149
22 東京都 杉並区 Cs-134 46 Cs-137 49 Cs合算 95
23 東京都 杉並区 Cs-134 16 Cs-137 15 Cs合算 31
24 東京都 杉並区 Cs-134 127 Cs-137 146 Cs合算 273
25 東京都 墨田区 Cs-134 1831 Cs-137 2423 Cs合算 4254
26 東京都 世田谷区 Cs-134 20 Cs-137 24 Cs合算 44
27 東京都 世田谷区 Cs-134 93 Cs-137 157 Cs合算 250
28 東京都 世田谷区 Cs-134 39 Cs-137 70 Cs合算 109
29 東京都 世田谷区 Cs-134 256 Cs-137 290 Cs合算 546
30 東京都 台東区 Cs-134 62 Cs-137 68 Cs合算 130
31 東京都 中央区 Cs-134 65 Cs-137 84 Cs合算 149
32 東京都 千代田区 Cs-134 323 Cs-137 416 Cs合算 739
33 東京都 千代田区 Cs-134 4423 Cs-137 5590 Cs合算 10013
34 東京都 中野区 Cs-134 85 Cs-137 96 Cs合算 181
35 東京都 中野区 Cs-134 198 Cs-137 216 Cs合算 414
36 東京都 練馬区 Cs-134 329 Cs-137 377 Cs合算 706
37 東京都 文京区 Cs-134 990 Cs-137 1510 Cs合算 2500
38 東京都 文京区 Cs-134 9 Cs-137 16 Cs合算 25
39 東京都 港区 Cs-134 240 Cs-137 317 Cs合算 557
40 東京都 港区 Cs-134 73 Cs-137 87 Cs合算 160
41 東京都 目黒区 Cs-134 125 Cs-137 185 Cs合算 310
42 東京都 目黒区 Cs-134 70 Cs-137 117 Cs合算 187

東京都23区平均  Cs-134 447  Cs-137 559  Cs合算 1006

====================================================

さて、上の土壌調査で排除した堆積物がどの程度になっているのかを参考のために伝えます。下記はこの三月の調査です。

目黒区中町一丁目のカーポートの上に堆積していた土や砂を検査会社に出しました。学芸大学や祐天寺の駅から程近い、都内の西側の住宅地です。単位はBq/kgです。

Cs-134    47768.52   Cs-137  68112.34  Cs合算 115880.86

つまり、セシウム合算で、11万Bq/kgを超えています。東京23区の西側の住宅地、そのカーポートでもこれだけのセシウムの堆積物があることは認識してください。この三月の検査ですから。

バンダジェフスキー博士の言葉                                                     「福島のみならず、関東・東北のエリアの中で汚染地域からは移住するのが望ましいこと。優先は、妊婦、子供、妊娠可能な女性だが、全年齢で放射性物質の影響はあるため、逃げることのできる人は、全て、逃げるべきであるということ。」

世田谷区でほこりに50グラムで75Bq検出された一般の木造家屋の話を伝えると、「そこは危険だ。可能なら移住したほうがよい。」と明言。吸気による危険も大きいと博士も判断。

================================================

「関東・南東北の被曝エリア(東京全域を含む大半のエリア)にいる皆さんは、放射性物質の少ないエリア、できれば愛知県から西のエリアに、避難するべきです。妊婦、子供、未成年、妊娠可能な女性は優先して避難すべきです。他の皆さんも極力避難してください。被曝から一年が経過しています。初期被曝は深刻で、慢性被曝の影響がさらに危険です。食物、飲料のみならず、吸気による被曝も軽視できません。回避する方法は限定的です。あなたやあなたの家族の命が何よりも大切です。一刻も早く避難してください。」


町民の皆様へ  双葉町長 井戸川克隆 (転載)

2012年12月20日 | 資料・論文
 
 
  町民の皆様へ
   
   町民の皆様、皆様の苦しみは計り知れないものです。毎日、皆様と話し合いができれば良いのですが、なかなか叶えられませんことをお詫び申し上げます。

 私が一番に取り組んでいますのが、一日も早く安定した生活に戻ることです。双葉町はすぐには住めませんが、どこかに仮に(借りに)住むところを準備しなければなりません。そこで、国と意見が合わないのは避難基準です。国は年間放射線量20mSvを基準にしていますが、チェルノブイリでは悲惨な経験から年間5mSv以上は移住の義務と言う制度を作りました。
 私たちは、この事故で最大の被ばくをさせられました、町民の皆様の健康と家系の継承を守るために、国に基準の見直しを求めています。この基準がすべてです。仮に住む場合は安全でなければなりません。子供たちには、これ以上被ばくはさせられませんし、子どもたちが受ける生涯の放射線量は大きなものになります。事故から25年が経ったウクライナの子供たちには働くことができないブラブラ病が多く発生しているそうです。
 私はこのようなことが一番心配です。町は絶対に事故を起こさないと言われて原発と共生してきました。しかし、今は廃虚にさせられ、町民関係も壊されました。自然も、生活も、生きがい、希望やその他すべてを壊されました。一方どうでしょう。これほど苦しんでいる私たちの思いは、皆さんが納得いくものになっていないのです。これを解決するのが先だと訴えています。

 私が皆さんに多くの情報を出さないと叱られていることは十分承知しています。出したくても出せないのです。納得のいくような情報を国に求めていますが、出してこないのです。国とは隠し事のない交渉をすることを求め続けてきています。町民の皆様を裏切ることは決していたしません。これから多くの情報を出していきます。

 放射線の基準に戻りますが、ICRP(国際放射線防護委員会)勧告を採用していると国では言いますが、国際的に採用している訳ではありません。ヨーロッパには独自の基準があり、アメリカでも自国の基準を作って国民を守っています。最近のICRP勧告では日本を非難しています。もう1~20mSvを採用しなさいと言っています。これは大変なことで、区域見直しも賠償の基準も変わってきます。
 このような中で冷静にと言っても無理かもしれません。このような環境に置かれているのだから、皆さんの要望を常に政府、与党には伝えてきました。政争に振り回されて進んでいません。
 福島県内に避難している町民を県外に移動してもらう努力はしましたが、関係機関の協力は得られずにいます。しかも盛んに県内に戻す政策が進行しています。県に理由を聞いても納得のいく返事は来ません。町民(県民)の希望を国に強く発信して頂きたいと思います。

 町民の皆さん、損をしないでください。財産には目に見えるものと見えないものが有りますので、区別しなければなりません。目に見えるものは形や重みのあるもの価値が直ぐに判断できるものです。見えないものは未来です。一番心配なのは健康で、被ばくによる障がいであります。ウクライナでは障がいに要する費用が国家の財政を破綻させるような事態になっています。今のウクライナが25年後の日本であってはならないのです。子供に障がいが出ればとんでもない損害です。この見えない、まだ見えていない損害を十分に伝えきれていないもどかしさがあります。まだ発症していないからとか、発症したとしても被ばくとは関係がないと言われる恐れがあります。水俣病のように長い年月をかけて裁判で決着するような経験を町民の皆さんにはさせたくありません。
 昨年の早い時期から町民の皆さんの被ばく検査を国、東電、福島県にお願いし、被ばく防止も合わせてお願いしてきました。しかし、思うようになっていません、原発事故による放射能の影響下に住むことについて拒むべきです。

 損について一部しか言いきれていませんが、一番大きなこと、何年で帰れるかについて申し上げます。今は世界一の事故の大きさのレベル7のままだということ。溶けた核燃料の持ち出し終了が見通せないこと。処理水をどうするのか、核物質の最終処分はどのようにいつまで終わるのかなど多くの要因を考慮して、木村獨協大学准教授が最近の会議の席上、個人の見解として双葉町は場所によっては165年帰れないと発言しました。私には可か不可の判断できませんが、大変重要な言葉だと思います。半分としても80年だとしたら、この損害は甚大なものです。
 また、被ばくの影響についても責任者に対して担保をとっておく必要があります。

 中間貯蔵施設については、議論をしないまま、調査だから認めろと言いますが、この費用の出どころを確かめることが重要です。この施設は30年で県外に出すと国は言っていますが、約束は我々とはまだ出来ていません。この施設の周りには人が住めません。六ヶ所村では2km以内には民家がないようで、双葉町では町の中心部が殆ど入ってしまいます。では、どうするのかの議論が先です。ボーリング調査を行うのは着工です。予算の構成を見ますと、整備事業の下に調査費が付いています。これは行政判断としては着工になります。着工の事実を作らせないために、私は非難覚悟で止めていることをご理解ください。
 十分すぎるほど議論して町民の皆さんの理解の下に進めるべきです。日本初の事業です。双葉町最大の損害で、確かな約束を求める事をしないまま進めてはやがて子供たちに迷惑をかけます。新政権とじっくり話し合いをして、子供たちに理解を貰いながら進めます。このように、私たちには大きな損害があることをご理解ください。

 寒さが一段と厳しくなりました、風邪や体力の低下に気をつけて予防を心がけてください。これからもお伝えします。
   
   平成24年12月20日                      双葉町長 井戸川 克隆