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森にようこそ・・・シャングリラの森

森に入って、森林浴間をしながら、下草刈りをしていると、自然と一体感が沸いてきます。うぐいすなど小鳥たちと会話が楽しいです

清き心の未知なるものの為に㊻・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

2025-07-02 10:17:20 | 森の施設

 

   清き心の未知なるものの為に㊻・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

 

 Xのばあい、不安げなうわべ、内面にひそんだ禁欲、そして女嫌いという特徴が、同一の

根源的に魂の音色から発する等価的な------しかし、それぞれが独立した-----側面をなして

いる。より(正常な)型の人びとは、自分の事務室や寝室の空気をどこへ行くにもいっしよに

引きずり歩き、外にでるときにさえそうする。これにたいして彼はというと、厚い壁と低い

天井とに囲まれた室内にいるときにさえ、相手のために確固として存在する。それでいて、

ほかの人たちの触れ方よりも、強さや直接性が高いのである。結びあわせることのできるま

なざしで見る。

 卑俗な心理学者である私の友人には、出来あいの診断を下す用意ができている。それでい

て、彼はなにも、なにも理解してはいない。

 

 精神的解放には官能的要素が含まれている。それは、魂の閉所恐怖症が象徴的な事物と生

理学的な根源とを有しているのと同様である。

 

 自分のうちにあるもっとも純粋なことがらに関して妥協を受けいれまいとする勇気は、ご

く好意的に視られたばあいにすら傲慢として受け取られる。そしてその判断を下す者は、か

ような勇気の結果を見る時に、自分の意見が強められたように思うのである。彼らから見れ

ば、それらの結果はさぞかし死にいたる罪にたいする懲罰に酷似したもののように映ずるの

にちがいない。

 

 力の充満した存在のなかにある、固く結ばれているいるもの。そして逆に-----結び目のほど

けた者の力強さ。

 

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清き心の未知なるものの為に㊺・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

2025-06-28 14:29:46 | 森の施設

 

   清き心の未知なるものの為に㊺・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

 

 絶えず卑怯であり、裏切りばかり繰り返していると、そのような振舞いをいつか裁かれるで

あろう。その日、おまえの気弱さがおそらくはとるにたらぬ仕方で表に出たために、おまえは

正しく選ぶ可能性を永久に取り上げられることになるであろう。

 おまえがことばどおり受け取られなかったがゆえに、情けなくもふたたび試練にあわされる

ことになったのを、せめてありがいと感じてはいないのか。

 

 出世主義者としてのおまえには、ひとたび目標に達してからでも、なすべきことはたくさん

ある。おまえはまだ、ほかの連中が梯子段を攀じ登ってくるのを邪魔することができよう。

 

 ふと、こんな想念がおまえの心をよぎることがある。-----おまえはいてもいなくてもよかった

のかもしれぬ、と。それでも世間の人は、おまえが固定給をもらい、銀行預金を小脇にかかえて

いるのを見て、おまえが自分自身を自明の存在とみなししているものと思い込んでいるのである。

おまえが所有しているものは人の興味をよびさますことができる。だが、おまえが実在している

という事実にはそれができぬ。

(光あるうちに)考えるべきこととされているのは、退職のこと------死のことではなくして-------

なのである。

 

 「これは大げさすぎる。私はごくささやかなことしかしてほしくはないのに------。」

 死ぬという事実が、これはまた社会的機能という側面を帯びねばならないのであれば、それな

らば、邪魔にならないように忍び足で出てゆくのを見逃してくださいませんか。

 

 

 

 

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清き心の未知なるものの為に㊹・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

2025-06-24 15:25:59 | 森の施設

 

  清き心の未知なるものの為に㊹・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

 

 可能性の道に賭けること。なぜか、彼が他人のために自己を犠牲にするのは、はたして至上

の自己中心思想から彼自身のためにすることであるのか。それとも、彼は他人のために自己を

成就するのか。人性と超人性とは別個の世界のものである。「われ新しき戒めを汝らに与ふ、

なんぢら相愛すべし。」

 

 内面の可能性------それは外面の可能性と危険な仕方で作用しあっている。可能性の道は、

エルサレム入城のさいのホザンナの叫びまで通じていた。-------ところが、これらの叫び声は、

彼がその後に選び取った以外の可能性をも可能にするはずだったのである。

 

 われわれの不安の欲望が無数にあって、しかも無数の仕方で鎮静せられうる。というのはひ

とつの真実である。しかしそれらの不安や欲望が結局においてひとつのものでしかなく、そし

て唯一の仕方によってしか克服せられえない。ということを確認するのが平凡なのと同じくら

いに平凡な真実なのである。おまえにとって究極において必要なのは、おまえが必要な人間だ

と感ずる------すくなくとも、そう感ずるように思う-------ということなのである。

 孤独がわれわれに課せられたものであろうと、われわれのほうから探しもとめたものであろ

うと、それがわれわれの前に開いてみせる将来の展望はただひとつしかない。すなわち、荒野

において熱望するか、それとも可能性に賭けて、ついには個人を超越する交わりのうちに生き

る権利をかちうるにいたるか(ただし、そのためには山をも動かすほどの信仰が必要ではなかろ

うか)、そのいずれかを選択することなのである。

 

 三月の陽光。ほっそりとした樺(かば)の木が凍てついた雪の上に細長い陰のなかで、大気の冷

えきった静寂がしんしんと結晶しつつある。そのとき------突如-----ためらいがちな音色、鶴の

呼び声。おまえの現実の外にある、もうひとつの現実、実在そのもの。突如、楽園がひらける。

-------われわれは、われとわが知識のゆえにそこから追い出されてきたのであるが。

 

 彼は幼い娘を連れてやってきた。その子は一番上等の晴着を着ていた。その子が、自分のよそ

行きの外套をどんなに大切にしているか、おまえにもわかった。ほかの人たちも気づいた------

だが、、かれらは冷淡な様子でこんなことを思っていた。あれは前には別の幼い娘のよそ行きの

外套をどんなに大切にしているか、おまえにもわかった。ほかの人たちも気づいた----------だが、

彼らは冷淡な様子でこんなことを思っていた。あれは前には別の幼い娘のよそ行きの外套だった

のだ、あれはいつかの年にもよそ行きだったのだ、と。

 午前中は、陽が照って、お祭り雰囲気が漂っていた。いまでは、もう大部分の人が帰った後

であった。風船売りは売上を勘定していた。太陽もやはり行くところまで行って、いまでは雪の

かげに隠れていた。彼が幼い娘を連れて、春の喜びを味わい、爽やかで明るく光る復活祭の日射

しにあたたまろうとやってきたときには、あたりは薄ら寒く、もうほとんどだれもいなかった。

 しかし、その子は満足していた。ふたりとも満足していた。それというのも、彼らはもうある

種の謙遜を知っていたからである。おまえはまだこれからその謙虚を理解せねばならぬ。それは、

決してひき較べることをせず、いまあるものを斥けて、(別の物)や(もっと多くのもの)を求めよう

とすることのけっしてない謙虚である。

 

  粗食、きちんとした身なり

  楽しみは短く、口数は少ない。

  清涼の空間のなかに

  低く、星がひとつ------

  暁の星がひとつ。

  かくも峻厳な淡い光のなかに

  事物が生き、

  そして、われわれは在る。

 

 

  

 

 

 

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清き心の未知なるものの為に㊸・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

2025-06-21 10:28:35 | 森の施設

 

   清き心の未知なるものの為に㊸・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

 

 筋骨隆々がお自慢のヒロイズムだの、思い入れよろしく気高い態度をみせる犠牲精神-----

それは慈善パ-ティ-の視界を勤めるご婦人方のお茶う受けのケ-キに風味を添えてくれる

-------だのとは、いかにもかけ離れたものがある。すなわち、ある男がこれなら生命を代償

とするに値すると判断したことがらに一身を捧げつくすという。とるに足らぬように見える

事実なのである。

 

 外的状況にさいわいされて自己のもっとも深い運命を達成することができる者が、他のす

べてのものを投げ捨てることを望まなかったがために目標まで到達せずにしまう、というよ

うな結果にむざむざ陥ってよいであろうか。

 

 ある道を選ぶ者は他の道を断念する、という公理を受け入れぬばあいには、十字路立ち止

まっているのが賢明なのだということわを得すべく努めざるをえまい。しかし、ある道を選

んで進んでゆく者を責めてはならぬ、------責めもせず、ほめもするな。

 剛毅な、そして熱烈に生きようとする青年。彼ともっとも近づきのあった人たちが語ると

ころによると、彼は最後の晩に食卓から立ち上がると、マントを脱いで、同志や仲間の足を

洗いはじめた。------自己の窮極の運命にただひとり立ち向かう、剛毅な青年。

 彼はそれまで、彼の------まさに彼の!-------友情を自分に繋ぎとめようとめざす、いくつ

ものささやかな陰謀を見ていた! 自分の同志たちのだれひとりとして、自分がなぜいま行

動しているように行動せざるをえないのか理解していないのを、彼は知っていた。彼らがど

れ程怖れ、どれほど疑うことになるかを彼は察知していた。そして、彼らのうちのひとりは

すでに自分を密告したのであり、おそらくやがて警察にたいして合図を発するであろう。

 彼は、自分の存在と運命とに差しのべられたある可能性に、すでに賭けていたのであった。

彼は前に荒野から帰ってきたときに、すでにその可能性をかいまみたのであった。もし神が

なにごとかをお求めになるならば、自分は逃れはしないであろう。彼はようやく近頃になっ

て、自分の行く道が苦悩の道かもしれぬということを彼は知っていた。それでも彼は、自分

がはたして(・・・その人)なのであろうかと、自問するのであった。しかし、この道を辿っ

てゆかぬかぎり、返答を得ることはできないであろう。終末は、意味のない------この可能性

の行きつく果てということ以外に意味のない------死であるかもしれない。

 さて、最後の晩。剛毅な青年。

 「わが汝らに成したることを知るか、今その事を成らぬ前に之を汝らに告ぐ、汝らの中の

一人われを売らん。なんぢらは我が往く処に来ることを能わず。------なんぢらは我が往く処

に来ること能わず。-----なんぢ我がために生命を棄つるか。誠にまことに------われ平安を汝

らに遺す。我の、父を愛し父の命じ給うところに尊ひい行うことを、世の知らん為なり。起き

よ、いざ此処を去るべしる」

 非情なまでに飾り気のない、この永遠のドラマの主人公は、(世の罪を除く神の子羊)なのか。

彼は、みずからの察知している終末にたいし終始一貫して信従している。-----この意味におい

てこそ、彼は神のものであり、あがないの犠牲であり、贖罪牲なのである。剛毅な、そして

熱烈に生きようとする青年。彼は、自己憐憫(れんびん)もせず、他人に憐みを乞うこともなく、

自分が選んだ運命にしたがって行くべき道を最後まで辿るのである。-------もはやほかの仲間

が彼のあとについて新しい交わりを作るところまで行けなくなれば、そのときには彼は現在の

交わりをさえ犠牲にするのである。 

 

 

 

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清き心の未知なるものの為に㊷・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

2025-06-14 10:28:24 | 森の施設

 

   清き心の未知なるものの為に㊷・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記

 

 「人びとは、彼が指導者として出現してくれるとよいと期待していた。」彼とは?------

彼の勇気と独立不騎とは、逃がれゆく目標のままに養生を引きずっられてゆくことに存する

のである。

 

 彼はコロンブスの帆船に乗り組んで後悔していた。彼は、だれかに横取りされないうちに

故郷の村に戻って年老いた靴屋の店を相続できるだろうかと、そればかり思いめぐらせてい

た。

 

 そこでふり返ればおまえが賭けたあらゆるものが無に帰してしまうのであるからして、そ

こではいっさいが単純になり、そしてもはや選択の余地がない、といった地点がある。人生

における帰還不能点である。

 

 死者をめぐってと同様に、脚光のきらめく舞台に突きだされた人のまわりにも、しだいに

伝説を育てたり、伝説が描き出す姿を自分の実相としてうけいれたりしたいという誘惑に陥

る危険がない。有名人としての生活の蜜月時代に世間が作り出す自分自身の姿に恋着してし

まう者は禍なるかな!

 

 大地に重みをかけぬこと。悲愴な口調でさらな高くと叫ぶのは無用である。ただ、これだ

けでよい。-----大地に重みをかけぬこと。

 

 生成の歓喜のうちに生きること、生命が明るく、またた元気よく流れてゆく水路となって、

その溌剌として爽やかな水を陽光に燦かせること。-------怠惰と不安と厚顔無恥とにみちた

この世において。

 他人の現在に圧しひしがれて窒息することなく、彼らの未来のために存在すること。

 

 

 

 

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