清き心の未知なるものの為に㊷・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記
「人びとは、彼が指導者として出現してくれるとよいと期待していた。」彼とは?------
彼の勇気と独立不騎とは、逃がれゆく目標のままに養生を引きずっられてゆくことに存する
のである。
彼はコロンブスの帆船に乗り組んで後悔していた。彼は、だれかに横取りされないうちに
故郷の村に戻って年老いた靴屋の店を相続できるだろうかと、そればかり思いめぐらせてい
た。
そこでふり返ればおまえが賭けたあらゆるものが無に帰してしまうのであるからして、そ
こではいっさいが単純になり、そしてもはや選択の余地がない、といった地点がある。人生
における帰還不能点である。
死者をめぐってと同様に、脚光のきらめく舞台に突きだされた人のまわりにも、しだいに
伝説を育てたり、伝説が描き出す姿を自分の実相としてうけいれたりしたいという誘惑に陥
る危険がない。有名人としての生活の蜜月時代に世間が作り出す自分自身の姿に恋着してし
まう者は禍なるかな!
大地に重みをかけぬこと。悲愴な口調でさらな高くと叫ぶのは無用である。ただ、これだ
けでよい。-----大地に重みをかけぬこと。
生成の歓喜のうちに生きること、生命が明るく、またた元気よく流れてゆく水路となって、
その溌剌として爽やかな水を陽光に燦かせること。-------怠惰と不安と厚顔無恥とにみちた
この世において。
他人の現在に圧しひしがれて窒息することなく、彼らの未来のために存在すること。
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