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森にようこそ・・・シャングリラの森

森に入って、森林浴間をしながら、下草刈りをしていると、自然と一体感が沸いてきます。うぐいすなど小鳥たちと会話が楽しいです

清き心の未知なるものの為に㊼・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

2025-07-08 13:00:39 | 森の施設

 

   清き心の未知なるものの為に㊼・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

 

 境界線はどこを通っているのであろうか。これらの夢------美に溢れ、意味に満ち、しかも

明白にわかる意義は認められず、肉眼が眺めたものよりもずっと深く精神の奥底に刻みこまれ

る夢の奥底に刻みこまれる夢------のなかほ旅して、われわれはどこに行きつくのか、恐れも

なく、欲望もなく、どこにいるのか。

 現実------肉体とっての現実------の思い出はどこへ消えてゆくのか。それに反して、これら

の夢の世界の映像は古びない。それは思い出のなかの思い出のように生きている。

 たとえば夢に見た鳥たち。さらに、夢に見た朝も、夢に見た夜も。

 疲れはてた鳥たち、疲れはてた大きな鳥たち、彼らは、夜陰の迫る黒々した水辺にそそり立

つ、巨大な壁のような断崖の上に憩っている。疲れはてた鳥たちが、赤く燃え盛る西空に首を

傾けている。火が血となり、血が煤(すす)がまざる。ひろがる水のかなたの西方を見つめ、無

限に高く、峻急にそびえる円天井を見上げる。安らかに。この広々した遥かな世界が夜の闇に

沈んでゆく瞬間を生きる。口に出したのか、出さなかったのか、ただこんなことばだけが、(

私のことばなのかね彼のことばなのか)消えてゆくのである。-----こう暗くては、返り道を見

つけだすことができない。

 

 夜。私の前には道がのびている。うしろには、弓なりに曲った小径が家のほうにのぼってゆく。

公園のずっしりした木立のかげになった夜の闇のなかで、その家だけが闇の途切れた隙間のよう

になっている。木の下陰を暗闇に包まれて人びとが通っているのを、私は知っている。闇に隠れ

て私のまわりで生命が怯えているのを、私は知っている。家のなかでなにかにかが私を待ってい

るのを、私は知っている。公園の闇のほうから、ただ一羽きりの鳥の叫び声が聞こえてくる。そ

して、私は行く-----むこうの高みへ。

 

 

 

 

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