清き心の未知のものの為に㊿・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より
未知の、そして気がかりな事柄にレッテルを貼って、ありきたりな異常の仲間として分類
してしまい、そのようにしてこれを厄介払いしてしまううえで、心理学はわれわれのために
なんと便宜を図ってくれることか!
ふたりの人のあいだで、双方とも黙っているうちに起ってしまったことは、あとでたがいに
なにを口にだして言おうとも、けっして取り返しのつけることができないのである。-----たと
え、ふたりがともに起ったことを自覚して、取り返しをつけようとして力をあわせようとも。
われわれが(自然)を体験するにあたっての、人性を逸脱したもの。-----(自然)は、われ
われが人間の五官の反応をつうじて表現しようとしても、そのなかにおとなしく収まってくれ
ない。われわれのほうでも、そうして表現しようとしても、なかなか(自然)に順応しきれるも
のではない。われわれが、全体のなかの有機的な一部分として(自然)と共鳴する手段を見出さぬ
かぎりは、われわれに観察できるものとしては、実在しているある諧調------われわれがそれを
諧調して認めまいと------の無数の構成要素の相互作用のありさまを観察しつつあるわれわれ自
身の姿にすぎないであろう。
極地の夜の薄明り。氷の、また、綻(ほころ)びかける木の芽の香り。------裸木(はだかき)の幹
に映る錆色(さびいろ)の反射、樹脂のにじみでる若葉のきらめき。------氷の割れ目に打ち当る波
浪の響き、鶯の囀り。------逆光のうちに氷山が放つ純色の光輝。海辺の荒地に波打って花咲く
石楠花の紫色。------枯れ尽くして茶色になった灌木の茂みのまんなかに、ムシトリスミレの白
い花が点々と咲いて、まるで日光を浴びて燦く清水の滴りのようである。------勝利!
樹木の限界線に咲いている花の前で謙虚な気持ちになるとき、山峯に向かう道がおまえのため
に開かれる。
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