唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

使者

2006-09-25 19:25:43 | Weblog
「早くしてくれ、もう耐えられない」

「もうすこしだがんばれ」

グサッ、グサッと背中に矢が突き刺さる

重ね着をしているために深くはいることはないがショックは大きい

「がんばれ、もうすこしだ」

城壁の上の連中も必死である

孤立してなんの情報も入ってこなかった奉天城に

待望の朔方軍からの使者がやってきたのだ

使者張韶は頭髪に密書を隠し

攻城に動員された賤人の群れに混じって城壁の下へ

そこで城上の兵に呼びかけた

「俺は李懷光様の使者だ、上げてくれ」

身体に数十本の矢がささり血まみれになった韶であったが

皇帝になんとか密書を届けることができた。

「あと三日で朔方軍が来るぞ」皇帝は叫んだ。

「城兵達に伝えよ、三日がんばれば救われる」

「そうだ、韶を輿にのせて巡回させよ」

城兵は韶の輿が来ると、救いの神がきたかのように歓声をあげた。

城を包囲していた朱の軍勢は茫然としていた。

「背後に朔方軍が来る」

「もうだめだ、城は落ちないぞ」

たちまち浮き足だっていった。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 河北 | トップ | 水 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事