「Il mago del mandolino (マンドリンの魔術師) Nino catania」(副題:ニーノ・カターニア生誕100年記念 幻のマンドリニスト ニーノ・カターニアの音楽)と題する2枚組の貴重なCDを友の協力によりこの度入手することができました。
ニーノ・カターニア(1907-1985)はシチリアのカターニア生まれ、マンドリンのパガニーニとまで言われた天才マンドリニストですが日本ではほとんど知られておらず、ネットに音源もまったくありません。
2014年タオルミーナで共演したOrchestra a Plettro Citta di Taorminaのコンマスが自国のbest mandolinistと称賛した同じカターニア出身のGiovanni Gioviale (ジョヴァンニ・ジョビアーレ、1885-1949)についてはYouTubeにかなりの音源が見つかるのと対照的です。
Giovanni Giovialeのことはこのブログのここ とここ で紹介致しました。
このCDはJMU副会長で、チルコロ・マンドリニスティコ・フローラを主宰、ニーノ・カターニアと親交のあった仙台の高橋五郎氏が2007年ニーノ・カターニア生誕100年を記念して200セット限定でリリースされました。
ニーノ・カターニアについてはチルコロ・マンドリニスティコ・フローラのHP に簡単な紹介があります。
CDの収録曲は
[DISC 1]
01 ソナタ ニ長調(スカルラッティ)
02 パストラーレ(スカルラッティ)
03 ミヌエット(バッハ)
04 ラルゴ(ヴェント)
05 ソナタ ト長調(レガーティ)
06 アレグレット(ベートーヴェン)
07 アダージオ(ベートーヴェン)
08 アレグロ(ベートーヴェン)
09 ラルゴ(ヴェラチーニ)
10 ミヌエット(ミュール)
11~13 二つのマンドリンのための協奏曲ト長調(ヴィヴァルディ)
14~16 マンドリン協奏曲ハ長調(ヴィヴァルディ)
[DISC 2]
01 ロンダ(アマデイ)
02 スラヴ舞曲第6番 作品46(ドヴォルザーク)
03 ジョスランの子守唄(ゴダール)
04 アニトラの踊り(グリーグ)
05 クーベリックのセレナータ( ドルドラ)
06 スイスの羊飼い(幻想曲)(モルラッキ)
07 愛しのカルメラ(カンニオ)
08 海に来たれ(作者不詳)
09 お母さんどうしたの(ガンバルデッラ)
10~13 組曲「ナポリの風景」(クロッタ)
14 愛しい人(マルグッティ)
15 失われし黄金(作者不詳)
16 ワルツ・スケルツォ(モシュコフスキ)
17 舟歌(メンデルスゾーン)
18 ワルツ第1番 作品64(ショパン)
Giovanni Giovialeが自身で作曲した優れた作品を華麗なテクニックと表現力で聞かせるのに対して、Nino cataniaはCDには自作のオリジナル作品こそないもののイタリア、フランスの佳曲小品をオリジナルレベルにまで昇華して自分のものとした素晴らしい演奏で聞かせてくれます。
関連ブログ:
・Giovanni Giovialeのこと(つづき) (2014.07.03)
・Giovanni Giovialeのこと (2014.06.28)
早いもので今年もまた定演の時期が巡ってきました。
昨日の練習日にちらしがメンバーに配られました。
いつもながらクラブメンバーKさんデザインの素晴らしい仕上がりです。
チラシが完成すると定演間もなくだと実感します。
今年のテーマは「色彩」、テーマのわりにはちらしの色調は例年になく落ち着いたものになっています。
色に因んだ曲をいろいろ演奏致します。
自在に色を描き分けた演奏になりますかどうか。
昨年は会場の都合で例年より1ヶ月遅い12月開催となりましたが、今年は元通り11月開催です。
皆さまのご来場を心よりお待ちしております。
関連ブログ:
・立川マンドリンクラブ第35回定演終わる (2016.12.11)
近ごろの天候不順に同調したのか少々体調不安定でブログ更新の間隔が空いております。
久しぶりに和音の話を綴ってみたいと思います。
ハ長調の主要三和音が主和音C(ド、ミ、ソ)、下属和音F(ファ、ラ、ド)、属和音G(ソ、シ、レ)であることはよく知られています。
長調と同じように考えて短調の場合はハ長調の平行調で調号の無い一番簡単なイ短調を例にとれば、主和音Am(ラ、ド、ミ)、下属和音Dm(レ、ファ、ラ)、属和音Em(ミ、ソ、シ)となります。
長調の主要三和音では根音と三音の間が長三度の長三和音(メジャーコード)であるのに対して短調の主要三和音は根音と三音の間が短三度の短三和音(マイナーコード)であり、短調の和音が長調の和音に比べて哀調を帯びて寂しい、暗い、陰気な、物悲しい,わびしい、切ない、不安な、優美といった感じがするのはこの短三度の響きによります。
ここまではすんなり理解できます。
しかしながらイ短調の曲のメロディにいざギターの伴奏を付けて編曲しようとすると、使われる属和音コードはEmではなく属七の和音E7(ミ、♯ソ、シ、レ)です。
音楽学校で和声法を専門的に学んだわけでもない素人のわが身にとってこの理論と実際のギャップに当初大いに惑わされます。
(1)なぜ短調なのに属和音だけ三音のソを半音上げてマイナーコードではないコードを使うのか
(2)なぜ属和音だけ三和音(トライアド)コードではない四和音(セブンス)コードの不協和音を使うのか
という二つの大きな疑問にぶつかります。
とにかく属和音だけ特別扱いで、和声法の書物を読んでもネットを検索・閲覧してもこれらの疑問にすっきり答えてくれる解説はなかなか見当たりません。
自分なりに考えてこうではないかと思うことは、まず(1)ですがなぜ三音を半音上げるのか。
和音(コード)を眺めていただけでは答えは見つからず和声と密接に関係がありそうです。
和声を考えるとき短調の音階(スケール)では第七音の導音ソを半音上げる和声的短音階を用いるとの記述がよくあります。
短調スケールでは導音と主音の間隔が長2度であり、長調に揃えて導音を半音上げて短2度とする方がより自然な進行になるからです。
混同しがちですがこの導音ソは属和音の中では根音の上の三音ですが、スケール上では主音から数えて第七音に相当します。
和音は各パートの音を横に繋げた和声を縦の線で切り揃えて鳴らしたもの、和声と和音は時間と時刻の関係、織物の横糸と縦糸のような関係とも言えます。
従って和声を和声的短音階で考えるならば和音も必然的に和声的短音階を構成する音で考える理屈になります。
しかし導音を半音上げると属和音はトライアドではメジャーコードのE(ミ、♯ソ、シ)となって長調の和音になってしまいます。
和声に重きを置く和声的短音階で作られた曲の属和音にメジャーコードを使うことになっても主和音や下属和音などがマイナーコードであれば曲全体として短調らしさを失うことはありません。
では(2)のなぜセブンスコードを使うのか。
E7コードは根音ミと七音レの音程が短7度ですから不協和音になります。
不協和音と言っても不協和の度合いは低く、Eコードに比べてたった一音増えるだけですが俄然表情豊かな響きになります。
E7コードはイ短調の属七だけでなくイ長調の属七でもあり長調、短調共通に使われマイナーコードでもメジャーコードでもありませんが、メジャーコードEの上に七音が乗っかっているためどちらかと言えばメジャー寄りのサウンドがします。
敢えて不協和音のE7を用いることにより、より不安定感をつのらせ主和音へ移行して安定を図りたいという強い力が働きます。
これはギターでもピアノでもE→AmとE7→Amのコード連結を耳で確かめてみればよくわかります。
以上をまとめれば「短調の楽曲の場合、メロディや歌唱(ボーカル)のパートにはソばかりかその一音下のファも半音上げた旋律的短音階(メロディック・マイナー・スケール)が使われることが多く、一方伴奏など和音を担当するパートは和声的短音階(ハーモニック・マイナー・スケール)が使われることが多い」となるでしょうか。
「多い」というだけで絶対的なものではないということです。
わかったつもりでも実は疑問はいくらでも出てきます。
今回のブログのテーマからははずれますが、例えば和声的短音階では上行のときソに♯を付けますが下行のときどうするか説明がありません。
また旋律的短音階ではファにも♯をつけますが、そのとき和音はどう考えるのか説明がありません。
そんなに重要なことではないから説明するまでもない、自分で考えて好きなようにしろと言うことなのでしょうか。
自分なりに納得できる答えは持っているつもりですが、長くなりますのでまたの機会に。
関連ブログ:
・和音の種類 (2012.04.22)
趣味でマンドリンを弾きますので楽譜をよく見ます。
楽譜にはシャープやフラットなど臨時記号が頻繁に出没します。
これら臨時記号のルールについては知っているようであやふやな部分もあったりしますのでまとめておこうと思います。
調号や臨時記号に使われるシャープやフラットなどをまとめて変化記号と称されます。
臨時記号の一つ、ナチュラルを変化記号に含めて説明しているケースも見受けますが、厳密にはナチュラルは変化記号には含まないようです。
臨時記号(本位記号を除く)を付けた音を派生音、本位記号を付けた音は幹音と呼ばれます。
誰でも知っている一般ルールは、調号が転調などで別の調号に変わるまでその楽譜でずっと有効なのに対して臨時記号はその小節限り有効なことです。
しかしここからが段々怪しくなってきます。
まず、臨時記号は同じ小節の同じ音名であってもオクターブ上や下の音には効力がありません。
この場合オクターブ上や下の音に念のためナチュラルをつける場合がよくあります。
このように本来臨時記号を付ける必要がない音に注意を促す意味で付けた臨時記号のことを親切臨時記号(Courtesy accidental)と称されます。
親切臨時記号を付けるのは自由ですが、付け過ぎて煩雑になり迷惑記号になってしまわないよう必要最小限にしておく必要があります。
オクターブ離れた同音名でも8va(ottava/オッターヴァ、オクターブの意)を使って音符が同じ位置に記されている場合は有効になります。
同じ高さの同音名でもピアノ譜のような大譜表などで段が違う場合は無効になります。
高音部譜表(上段)の音に♯がついていても低音部譜表(下段)の同じ高さの同音名には無効だということです。
同じ番号の小節であっても同じ小節内ではないからです。
タイでつながれている場合には、小節線を越えて効力が持続しますがタイのかからない音には効力が無くなります。
見誤りを避けるために次の小節のタイのかかる音に(次の小節が改行されて段が変わるような場合は特に)付け直した臨時記号はその付け直した小節全てにおいてずっと有効になります。
つまり
上の譜例で2小節目第1拍のソは♯のままですが2拍目のソには♯の効力が及びません。
上の譜例では親切のつもりでつけた2小節目第1拍の♯は2拍目のソにも有効になってしまいますので、親切臨時記号を付ける時にはいらぬおせっかいにならないように注意が必要です。
余談ですが調号でシャープのついた音をさらに半音上げるにはシャープではなくダブルシャープを用います。
臨時記号は調号と重複した効力を持たず臨時記号が優先されます。
臨時記号のある音符は調号を無視して読み取れば良いことになります。
関連ブログ:
・調名の覚え方 (2016.08.25)
伝統的なアメリカ古謡「The Italian Polka」にJulius Fucik(ユリウス・フチーク、1872-1916、チェコ)作曲の「Entrance of the Gladiators」(剣士の入場)を織り交ぜてCharlie Hunt(アメリカ)が作った愉快な曲があります。
この曲は2008年リリースのCDアルバム「The Cabin Hunter's Mandolin」の中の一曲です。
Charlie Huntはアラスカ州フェアバンクスに本拠を置くマンドリンプレイヤーで、このCDは彼の最初のソロレコーディングです。
Charlie Hunt
「The Italian Polka」についてはTrad Americanとあるだけでこれ以上詳しい情報は得られません。
一方、曲の後半に出てくる「Entrance of the Gladiators」はフチークが1897年にブラスバンドのために作曲した行進曲で別名「Thunder and Blazes」(雷鳴と電光)とも呼ばれ誰もが一度は耳にしたことのある曲ではないかと思います。
「The Italian Polka」だけでは短く単調なため「Entrance of the Gladiators」を挿入して彩りを添えたのでしょう。
この曲を耳コピーで採譜しマンドリンとギターの二重奏に編曲してYouTubeにアップしました。
冒頭のゆっくりした前奏部分は原曲より5度上げています。
演奏は実演奏ではなくQAZ電子マンドリンアンサンブルによる電子演奏です。
VIDEO
軽快で楽しくマンドリンで弾いてみるにはぴったりの曲と思います。
聞いてみたいマンドリンCDのシリーズ3回目です。
マンドリンCDにはイタリア民謡や映画音楽、懐メロ等からの編曲、クラシックではヴィヴァルディのマンドリン協奏曲といったものが多いですが、少し視野を広げますとクロアチア民謡にもマンドリンを使った楽しい曲がたくさんありますし、マンドリンと同じ撥弦楽器仲間のドムラやバンドゥリアの優れた演奏もあります。
何かいいマンドリンCDがないかなと思ったときマンドリン専門の季刊誌「奏でる!Mandolin」の「これだけは聴きたい特選マンドリンCD」というページに毎号厳選された数枚のCDが解説つきで紹介されていて参考になります。
聞いてみたい、聴きたいと言っても当然人それぞれ好みが違います。
このシリーズでは私の独断と偏見で選びましたCDを紹介させていただいています。
(1) Kaze
リリース:2007年
レーベル:CD Baby
演奏:Carlo Aonzo (マンドリン)、長岡克己(ギター)
試聴:ここ
[収録曲]
01 Kaze 1.allegretto Malinconico (Ichimujin)
02 Kaze 2.aria (Ichimujin)
03 Kaze 3.allegro Ritmico (Ichimujin)
04 Lascia Ch'io Pianga (Handel)
05 Notturno No. 1 in Re Magg. 1.andantino (Gragnani)
06 Notturno No. 1 in Re Magg. 2.rondo - Allegro (Gragnani)
07 Notturno No. 2 in Sol Magg. 1.andante (Gragnani)
08 Notturno No. 2 in Sol Magg. 2.rondo - Moderato (Gragnani)
09 Notturno No. 3 in Do Magg. 1.larghetto (Gragnani)
10 Notturno No. 3 in Do Magg. 2.rondo - Allegro (Gragnani)
11 Burlesca (Ranieri)
12 Nuvole (Nagaoka)
13 Ali for Flying (Aonzo)
14 Concerto No. 1 in Sol Magg. (Munier)
15 Theme Iv With Variations Op. 10 in La Magg. (Bortolazzi)
16 Serenata Malinconica (Calace)
17 Valtzer Fantastico (Marucelli)
Carlo Aonzo (1967- )はイタリアのマンドリンの名手、彼や彼の演奏するパガニーニのCDについては本ブログ(ここ とここ )でもご紹介しました。
ギターの長岡克己(1963- )は高知出身、現在イタリアで教授、演奏活動をしておられます。
このCDにはRanieri、Munier、Calace、Marucelliといった良く知られたマンドリン作曲者の歴史的レパートリーだけでなく爽やかな風のごとく洗練された新曲を含む幅広い楽曲が収められています。
因みに「Kaze」は高知出身のギターデュオ、いちむじんの作曲です。
いちむじんについては本ブログのここ でご紹介しました。
(2) Mandolin Classic-Modern International
リリース:2012年
レーベル:Trekel Records / CD Baby
演奏:Alvina Voznesenskaya
試聴:ここ
CDジャケットをパッと見た瞬間畳の上であぐらをかいて座っているこの人、失礼ながら最初男性かと思ってしまいました。
[収録曲]
01 Fantasia Nr 2 (Jiro Nakano)
02 Introduction and Allegro (Yoshinao Kobayashi)
03 Drei Episoden Fur Mandoline Solo. Episode I (Otto Freudenthal)
04 Drei Episoden Fur Mandoline Solo. Episode II (Otto Freudenthal)
05 Drei Episoden Fur Mandoline Solo. Episode III (Otto Freudenthal)
06 Grand Preludio, Op.175 (Raffaele Calace)
07 Fury. I (Pedro Chamorro)
08 Fury. II (Pedro Chamorro)
09 Fury. III (Pedro Chamorro)
10 Jongara (Yasuo Kuwahara)
11 Impromptu for Mandolin Solo (Shuji Kozakura)
12 Improvised Poem for Mandolin Solo (Yasuo Kuwahara)
邦人作曲家のオリジナル曲がたくさん取り上げられています。
奏者のAlvina Voznesenskaya (1988-、アルヴィーナ・ヴォズネセンスカヤ、ロシア)は2012年イタリアで開催された第9回カラーチェ国際マンドリン独奏コンクールで1位入賞した実力者、この様子は本ブログ(ここ )でもご紹介しました。
彼女の演奏動画はYouTubeにたくさんアップされています。
関連ブログ:
・聞いてみたいマンドリンCD(2) (2017.06.25)
・聞いてみたいマンドリンCD (2013.11.10)
聞いてみたいマンドリンCDの第二弾です。
たくさんありますが、前回 は海外のCDでしたので今回は国内のCDの中から2枚取り上げたいと思います。
(1)高柳未来(みき):マンドリン・レボリューション
KKCC-3026
発売日:2010年10月27日
発売元:キングレコード(株)
試聴:ここ
[収録曲]
01 機織る乙女 (萩原朔太郎)
02 ソナチネ ハ長調(アレグロ)Wo0.44a (L.v.ベートーヴェン)
03 ソナチネ ハ短調(アダージョ)Wo0.43a (L.v.ベートーヴェン)
04 チャールダーシュ(オリジナル版) (V.モンティ)
05 メヌエット (N.パガニーニ)
06 アンダンティーノ (N.パガニーニ)
07 アレグロ・モデラート (N.パガニーニ)
08 ソレア (B.カテウラ)
09 蚊トンボ(小二重奏曲) (斎藤秀雄)
10 月に向かいて (A.サルコリ)
11 アダージョ・ノン・トロッポ Wo0.43b (L.v.ベートーヴェン)
12 チャールダーシュ第2番 (V.モンティ)
13 東洋の夢 Op.12 (D.ドウニス)
14 アンダンテと変奏曲 Wo0.44b (L.V.ベートーヴェン)
15 野崎村 (成田為三)
16 モスクワ (J.デッカー=シェンク)
詩人、萩原朔太郎作曲の「機織る乙女」や、ベートーヴェンやパガニーニのオリジナル作品など興味深い選曲で伸びやかな演奏を聴かせてくれます。
「マンドリン小史」と銘打ったJMU副会長、工藤哲郎氏の解説が充実していることも注目されます。
斎藤秀雄作曲Duettino「蚊トンボ」はJMU会報No.113(80回)に添付されたとてもユニークなマンドリン二重奏曲です。
(2)楽器は東へ西へ 琵琶とマンドリン
YNCD-1003
発売日:2016年11月30日
レーベル:日本アコースティックレコーズ
アーティスト:ウーゴ・オルランディ、ドリナ・フラティ
試聴:ここ
[収録曲]
01 ラメント・ディ・トリスターノ・エ・ロッタ(中世舞踏曲)
02 マントヴァの舞踏曲(中世舞踏曲)
03 メヌエット, アンダンティーノ, アレグロ・モデラート(ニコロ・パガニーニ)
04 夜想曲星空(ラファエレ・カラーチェ)
05 カント・ノスタルジコ~ラファエレ・カラーチェより「桜の地に咲く優しき花良子妃殿下に捧ぐ」(ラファエレ・カラーチェ)
06 セレナテッラ(アドルフォ・サルコリ)
07 行く春(武井守成)
08 春雪のバラード(牧野由多可)
09 草庵の諧(芝祐靖)
10 アッシジの聖フランチェスコより五段「ラ・ヴェルナの聖痕」[抜粋版](作詞・
作曲:中村鶴城)
11 楽琵琶とマンドリンのための「緒合わせ」(高橋久美子)【横浜能楽堂委嘱作品】
(09、10は琵琶曲)
琵琶とマンドリンの名手たちが一堂に会した歴史的公演から名曲の数々が収録されています。
Nicolo Paganini(1782-1840、イタリア)作曲のマンドリンソロ曲MS106 Minuetto Per L’Amandorlino For Mandolinは前記(1)のCDに収録されているものと同じです。
この曲はYouTubeでも全曲聴くことができます。
VIDEO
パガニーニのマンドリン曲にはMS14、MS16、MS106の3曲が知られており、このうちマンドリンとギターによる愛らしいセレナータ ト長調MS16は本ブログでもご紹介 致しました。
関連ブログ:
・聞いてみたいマンドリンCD (2013.11.10)
・パガニーニのセレナータ (2014.08.19)
風薫る5月の歌を集めてみました。
まずは「茶つみ 」です。
♪夏も近づく八十八夜
♪野にも山にも若葉が茂る・・・
文部省唱歌で作詞・作曲者とも不詳、八十八夜は立春から数えて88日目にあたる5月2日(閏年は5月1日)になります。
「せっせっせ~」で始まる手遊びを思い出される女性のかたもきっといらっしゃることでしょう。
次は5月5日こどもの日、端午の節句です。
記念日を大事にしている我が家ではこの日かしわ餅を食べ菖蒲湯に入りました。
ちなみにかしわ餅は関東で、関西はちまきが定番とか。
「背くらべ 」は中山晋平作詞、海野厚の作曲。
♪柱の傷はおととしの
♪五月五日の背くらべ・・・
なぜ去年ではなくておととしなのか、そこには作詞者の深い事情があったようです。
「傷」は体に負ったキズで物についたキズは「疵」ですが、常用漢字ではなくなった「疵」の代わりに今は両方「傷」と表記されます。
端午の節句に飾られるこいのぼり、都会でこいのぼりを見ることもめったになくなりました。
「こいのぼり 」の歌で一番よく知られているのは近藤宮子作詞(作曲者不詳)の
♪屋根より高い こいのぼり
♪大きいまごいは お父さん・・・
次によく知られているのは弘田龍太郎作曲(作詞者不詳)の
♪甍(いらか)の波と 雲の波
♪重なる波の 中空(なかぞら)を・・・
古いだけあって歌詞も少々難しいです。
こいのぼりの歌にはこのほかにもいくつかあります。
井上武士作曲(作詞者不詳)のもの、サトウハチロー作詞・下總皖一作曲のもの、林柳波作詞・本居長世作曲のものなど。
滝廉太郎も作曲 しています(作詞は東くめ)。
♪大きな黒い 親鯉に
♪小さな赤い 鯉の子が・・・
次は曲のタイトルに五月と入っている曲です。
若谷和子作詞、中田喜直作曲で「五月の歌 」という曲があります。
同じ中田喜直作曲で「五月の朝の少女のうた 」(作詞は間所ひさこ)というきれいな曲があります。
5月の第2日曜日(今年は14日)は「母の日」です。
窪田聡作詞・作曲「かあさんの歌 」はよく知られています。
♪かあさんは 夜なべをして
♪手袋 編んでくれた・・・
原詩は「かあさんは」となっていますが「かあさんが」とも歌われています。
田中ナナ作詞、中田喜直作曲の「おかあさん 」という曲もあります。
夢虹二作詞、中田喜直作曲の「カーネーションに寄せて 」もきれいな曲です。
また5月は新緑、田植えの季節でもあります。
「緑のそよ風 」は清水かつら作詞、草川信の作曲です。
♪みどりのそよ風 いい日だね
♪ちょうちょもひらひら 豆のはな・・・
松永みやお作詞、平岡均之作曲の「若葉 」という曲もあります。
♪あざやかな緑よ 明るい緑よ
♪鳥居を包み わら屋を隠し・・・
井上赳作詞、中山晋平作曲の「田植え 」をご存じの方はかなりご年配のかたでしょう。
次に外国の曲では
「5月の歌 」(原題は「春への憧れ」Sehnsucht nach dem Frühling):モーツァルト
「愛する5月よ 」(Mai, lieber Mai):シューマン
「5月のそよ風 」(May breezes):メンデルスゾーン
「5月の歌 」(May Song):エルガー
「我が母の教え給いし歌 」(Kdyz mne stará matka):ドヴォルザーク
ボヘミア民謡の「おお牧場はみどり 」(中田羽後訳詞)や加藤登紀子が日本語詞をつけた「美しき五月のパリ 」(作詞、作曲者とも不詳)もあります。
最後にBill Parkinson(1944-、イギリス)作曲の名曲「ママに捧げる詩(うた) 」(Mother of Mine)をNeil Reid 君の歌や本田路津子さんの日本語カバーバージョンも素晴らしいですが、ここはHayley Westenraの透き通るような歌声を今日母の日にカーネーションと共に亡き母に捧げて締めくくりたいと思います。
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ピアノ譜がここ にあります。
関連ブログ:
・母の絵の個展のことなど (2014.12.04)
現在世界で活躍しているマンドリニストの中でトップクラスの実力者であるイスラエルのJacob Reuven(ヤコブ・ルーヴェン、1976-)とAvi Avital(アヴィ・アヴィタル、1978-)の演奏を同じ曲で聞き比べてみたいと思います。
曲はヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲第2番ト短調「四季」(RV315)から「夏」第3楽章Prestoです。
曲冒頭部分のスコアは
まずはJacob Reuven と彼の所属する楽団Kerman Mandolin Quartetの演奏です。
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次にAvi Avital 、共演している楽団はVenice Baroque Orchestra です。
Avitalのホームページでこの曲の演奏を聴くことができます。
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ReuvenもAvitalも8歳からマンドリンを始め、弦楽器製作者Arik Kermanが製作したフラット形の特注マンドリンを使用、共にKerman Mandolin Quartetで活動していましたが、その後Avitalは袂を分かち現在はVenice Baroque Orchestraなどと共演する形で活動しているようです。
ヴァイオリン協奏曲を原譜そのままにヴァイオリンソロパートをマンドリンソロに置き換え、その他のパートをReuvenはマンドリン属楽器と共に、Avitalはヴァイオリン属楽器と共に演奏しています。
マンドリンでこんなに速く弾くのは至難の業ですが、両者とも難曲を難曲と感じさせることなくスラスラ弾いているところはさすがです。
NHK-FMの番組「クラシックの迷宮」で4/22(再放送4/24)マンドリン演奏特集がありAvitalとVenice Baroque Orchestraによる上記の曲が放送されました。
またAvitalとVenice Baroque Orchestraはこの4/21から4/25まで神戸、豊田(愛知県)、東京で公演を行い、上記の曲も演奏されました。
Jacob ReuvenとKerman Mandolin Quartetの来日公演が望まれます。
関連ブログ:
・イスラエルのマンドリニスト (2012.12.27)
私の趣味のマンドリンについてネットサーフィンしていますと、時折思わぬサイトに出会うことがあります。
Ginger's Genealogy (ジンジャーの家系)と題するサイト もそんなサイトの一つです。
このサイトは1900年初頭米国に生まれた人の家族歴を何代にも亘って丹念に調べ上げてネットに公開しているものです。
自分の先祖についてよくもここまで詳しく調べたものと感心します。
特別著名な人というわけではないですし私に何の関係もない人の家族歴そのものに特段興味はないのですが、先祖の家族の中にたまたまマンドリンを弾いていた人がいた関係でこのサイトの中のブログに”The Mandolin of Italy ”と題したイタリアのマンドリンについて述べた箇所が出てきます。
市井の人が調べた内容にしてはとてもよく書けていますので拙訳ですがご紹介したいと思います。
***
イタリアのマンドリン
イタリアで最も際立った音色の一つにマンドリンのトレモロの音調があります。
トレモロと呼ばれるこの弾き方はとてもイタリアっぽく聞こえます。
マンドリンが人気のあったきっかけの一つに19世紀後半イタリアを統治したマルガリータ女王の存在がありました。
ピザのマルゲリータは彼女の名前に由来します。
女王は芸術の守護者で画家や作家、音楽家に資金を援助し、文化施設を設立しました。
そして彼女自身もマンドリンを弾き、多くの女性がマンドリンを弾くよう促しました。
(中略)
イタリアの長い伝統に音楽家が理髪師として生計を立てていました。
彼らは自分のマンドリンやヴァイオリン、ギターを理髪店に持ち込み手の空いた時演奏していました。
理髪という職業は肉体労働者として働くより音楽家の手をより良く保護し、日中早いうちに店を閉めるときは音楽家は広場に集まって夜遅くまで演奏することができました。
オペラ「セビリアの理髪師」では理髪師がマンドリンを演奏しました。
イタリアの女性はマンドリンオーケストラを結成しヨーロッパ全土で演奏しました。
(中略)
マンドリンはエジソンのシリンダー(円筒)型蓄音機で最初に録音された楽器の一つでした。
マンドリンアンサンブルは巡回公演を行い、学校や大学にマンドリンオーケストラが結成されました。
Rhode Island(注:米国北東部の州)在住のイタリア人移民Giuseppe Pettine(1876-1966)はマンドリンに興味を駆り立てられた演奏家の一人でした。
彼はアメリカに渡る前母国で神童として知られていました。
「The Mandolin」と呼ばれる短いドキュメンタリー「イタリアのセレナーデ」はイタリアのマンドリンの辿った道を語っています。
(中略)
本サイトのサイドバーにはイタリアのOld-time Trioという三重奏団が演奏するSulle falde dell’Etna (エトナ山の山腹にて)という素敵なビデオクリップ があります。
このトリオは19世紀後半から20世紀初頭にかけて作曲されたマンドリン、ベース、ギターのための伝統的なイタリアのダンス音楽の演奏を得意としています。
このトリオはローマ出身の3人のプロ音楽家で構成され、イタリアおよび海外で幅広く演奏しています。
「エトナ山の山腹にて」は20世紀初頭有名なイタリアのマンドリン奏者だったGiovanni Giovialeによって作曲されました。(翻訳ここまで)
***
この記事がよく書けていると思いました理由に
・マンドリンの大家、中野二郎氏をして「マンドリンの母」と言わしめたマルガリータ女王のことが記されています。
Queen Margarita
・イタリアで伝統的に音楽家が理髪師として生計を立てていた話はGiovanni Gioviale(1885-1949)の伝記(本ブログのここ )にも出てきます。
・1900年前後のマンドリン演奏の録音事情(本ブログのここ )に言及しています。
・The Mandolin - The Serenade Of ItalyはYouTube(ここ とここ )にもアップロードされています。
・イタリアが誇るマンドリニストGiovanni Giovialeのことは本ブログ(ここ とここ )でも取り上げました。
Gioviale作曲の楽譜はネットにもいくつか公開されていますが「エトナ山の山腹にて」の楽譜は残念ながら見つかりません。
マンドリンに直接関わりないと思われる人がマンドリンの歴史についてツボを押さえてよくここまで書けたと思いますが、これにはきっと何か元ネタがあるのではとよくよくネットを探しましたらやはりありました。
Essence of Italyというサイトの中の”The Mandolin : The Serenade of Italy ”と題するブログ です。
Essence of Italyはとても素敵なサイトで、中にイタリアの著名なマンドリニスト、Carlo Aonzo(1967-)についての記事(ここ とここ )も見られます。
Carlo AonzoのCDについては本ブログ(ここ )でもご紹介しました。
こうして興味を繋いでネットサーフィンは次から次へと広がってゆきます。
切りがありませんのでこの辺で。
今の時節にふさわしい、私がとりわけ好きな曲の一つに吉丸一昌作詞、中田章作曲の「早春賦」があります。
この曲を学生時代マンドリンソロ用に編曲してよく弾いておりました。
楽譜が残っていましたので電子マンドリンソロで弾かせたものをYouTubeにアップしました。
実際の演奏ではなくプログラミングされた電子音です。
VIDEO
トレモロの三度重音で始まり、分散和音へと続きます。
楽譜はこのブログのここ に載せております。
前半は重音奏法で上下の音符をトレモロで同時に弾きます。
三度重音の移行を滑らかに、また分散和音の部分はメロディラインの音を保持して弾くと感じが出るかと思います。
演奏はKAWAIのスコアメーカー8Proを使用、ただしマンドリンの音源(サウンドフォント)は、スコアメーカー内蔵のものはProと名乗っている割には音が貧弱で使いものになりませんので別のフォント(トレモロ音とピッキング音)を外部からスコアメーカーに埋め込みました。
関連ブログ:
・春隣 (2015.01.30)
国立国会図書館のデジタルコレクションのうちマンドリン関係の図書館送信資料、国立国会図書館内限定資料について前回からの続きです。
主な資料について年代順に並べました。
先頭の数字は図書館の整理番号です。
061 音楽芸術 14(1) 「モーツァルトのマンドリン音楽」 高橋功 (音楽之友社編、1956)
328 マンドリン名曲集 第1巻 平山英三郎編 (共同音楽出版社、1957)
329 マンドリン名曲集 第3巻 平山英三郎編 (共同音楽出版社、1957)
330 マンドリン名曲集 第2巻 平山英三郎編 (共同音楽出版社、1957)
115 教育用楽器基準の解説 「ii 教育用マンドリン・マンドラおよびマンドチェロ」 文部省管理局編 (大蔵省印刷局、1958)
074 歌手と伴奏者 「マンドリン クロード・ドビュッシー」 ジェラルド・ムーア著[他] (音楽之友社、1960)
326 マンドリンの学び方 「マンドリン各部の名称」、「マンドリン各部の名称」 平山英三郎著 (共同音楽出版社、1960)
313 マンドリン合奏曲集 第3 「2nd Mandolin」、「Mandola」、「Guitar」 平山英三郎編 (共同音楽出版社、1961)
337 少年少女のための音楽実技全集 第2 第6巻 「IV マンドリン」 比留間きぬ子 (音楽之友社、1962)
069 音楽の友 21(14) 「マンドリンの奏法」 比留間きぬ子 (音楽之友社、1963)
116 教育用楽器の手びき 「第2節 マンドリン・マンドラおよびマンドチェロ」文部省編 (光風出版、1963)
306 ベートーヴェン 作品篇 「3 マンドリンとチェンバロ」 属啓成著 (音楽之友社、1963)
155 財界. 12(18) 「昔懐しマンドリン時代」 服部正 松田伊三雄 (財界研究所、
1964)
274 萩原朔太郎研究 「星野みね 兄とマンドリン」 伊藤信吉編 (思潮社、1966)
363 レコード芸術 20(1)(242) 「ベートーヴェン余滴(1) ベートーヴェンとコントラバス、マンドリン、ハープ」 門馬直美 (音楽之友社、1971)
112 教育音楽 別冊 「楽器の扱い方と基礎指導 マンドリン」/福田準一、「合奏 活動と楽器 無限の可能性が広がるマンドリン合奏」/柳田隆介 (音楽之友社、1981)
364 レコード芸術 36(7)(442) 「海外盤試聴記 リュートとマンドリンのための音楽(ヴィヴァルディ)」 美山良夫 (音楽之友社、1987)
[年代不明なもの]
398 ケーキ ウォーク (歴史的音源) 四竈清 (ニッポノホン)
399 ジプシー狂想曲 (歴史的音源) 澤常彦、鈴木正一(ピアノ) (ニッポノホン)
400 スワニルカ (歴史的音源) 四竈清子 (ニッポノホン)
401 タランテラ (歴史的音源) 澤常彦、鈴木正一(ピアノ) (ニッポノホン)
402 タランテラ (歴史的音源) 四竈清 (コロムビア)
403ドリゴのセレナーデ (歴史的音源) ドリゴ作曲 高久肇、月村嘉孝(ギター) (コロムビア)
404 フラワー ソング (歴史的音源) 四竈清 (ニッポノホン)
405 ベルソース スラブ (歴史的音源) 四竈清子 (ニッポノホン)
407 ラパロマ (歴史的音源) 四竈清子 (ニッポノホン)
408 ラブ イン アイドルネス (歴史的音源) 四竈清子 (ニッポノホン)
また、数少ない音楽専門図書館として知られている上野公園の東京文化会館音楽資料室の図書、雑誌、楽譜、CDについてもキーワードで検索(WebOPAC )することができます。
ただし国立国会図書館のようにインターネット公開されている資料はまだありません。
主なものについて記載しました。
国立国会図書館資料と重複している資料も含みます。
先頭の数字は資料室の整理番号です。
[図書]
004 オデルマンドリン教本BOOK1 宮田信義訳 新興楽譜出版社
008 同志社大学マンドリンクラブ百年史 同志社大学マンドリンクラブ百年史編集委員会編著
009 マンドリン・ギター及其オーケストラ 武井守成著 オルケストラ・シンフォニカ・タケイ 1924
010マンドリン・ギター片影 武井守成編 オルケストラ・シンフォニカ・タケイ 1925
011 マンドリンの弾き方 山田源一郎著 アルス 1941
012 本邦マンドリン音楽発展史概要 高橋三男編集 山野楽器 1969
013青春よ永遠に:明治大学マンドリン倶楽部半世紀の歩み 明治大学マンドリン倶楽部編 1972
014マンドリン・オーケストラのすべて:その指導者とアレンジャーのためのハンドブック 服部正著 音楽之友社 1977
015 丘の上には鐘がひびくよ:慶応義塾マンドリンクラブ七十年史 KMC七十年史編集委員会編 1981
017 マンドリン事典 外国人編 南谷博一翻訳・監修 マンドリン芸術院・マン
ドリンの音の博物館 1999
020 マンドリン物語:星々の戯れ 有賀敏文著 早稲田出版 2003
025 評伝古賀政男:日本マンドリン&ギター史 菊池清麿著 彩流社 2015
[雑誌]
003 Frets Gifu Mandolin Orchestra 岐阜マンドリン協会 1958.3~
[楽譜]
001機織る乙女:マンドリン独奏曲 萩原朔太郎作曲 現代ギター社 2011
016 マンドリン独奏曲集:日本旋律への郷愁 繩田政次作曲 全音楽譜出版社
025 マンドリン教則本:ムニエル奏法による ムニエル著 全音楽譜出版
033 カラーチェマンドリンアルバム No.1~5 カラーチェ作曲 日比野俊道編
水星社 1974.12
041オデルマンドリン教則本1、2 オデル著 伊藤翁介編 全音楽譜出版社 1951
045 マンドリン・ギタア曲集 世界音楽全集26 大河原義衛編 春秋社 1931
051 マンドリン曲集 世界音楽全集別巻 門馬直衛編 春秋社
[CD]
020 菅原明朗生誕百年記念演奏会 Victor 1999
039 マンドリンの芸術:マリア・シヴィッターロの至芸 TOSHIBA EMI 1992
064 18世紀マンドリンとオルガンの為のソナタ集 バルベラ/チェチェーレ/ジェルヴァジオ/ピッコーネ/ベートーヴェン 中央出版社ポールメディア
(終り)
関連ブログ:
・国立国会図書館で公開されているマンドリン関係資料 1 (2016.03.01)
・国立国会図書館のデジタルコレクション (2015.11.24)
国立国会図書館のデジタルコレクションのうちマンドリン関係の資料が徐々に充実してきているようです。
このうちインターネット公開されている資料 の主なものを年代順にあげてみたいと思います。
先頭の数字は図書館の整理番号です。
035 マンドリン教科書 : 独習用 比留間賢八編 (共益商社、1903)
039 マンドリン独習 比留間賢八編 (共益商社、1910)
036 マンドリン教本 高浜孝一著 (前川書店、1912)
038 マンドリン独習 高浜孝一著 (松本楽器、1912)
040 マンドリン独まなび 吟風散士著 (十字屋楽器、1915)
007 家庭音楽講話 「マンドリンの話」 田辺尚雄著 (啓文社書店、1922)
023 マンドリン 「マンドリンと伊太利」、「ナポリ風のマンドリン」、「マンドリンの歴史」 荒川芳雄著 (宇宙堂書店、1922)
015 芸術音楽講義録 「マンドリンの歴史」、「マンドリンの父ムニエル」 高田守久著 (ハレルヤ楽社、1923)
037 マンドリン・ギター片影 「マンドリン、デユオの起原發達現状」、「マンドリン研究生に與ふ」、「マンドリン獨習法」 武井守成編 (オルケストラ・シンフオニカ・タケヰ、1925)
043 ラルゴ・アッフェットォーゾ(一) (歴史的音源) カラーチェ作曲 OSTマンドリン・クワルテット (ビクター、1930)
044 ラルゴ・アッフェットォーゾ(二) (歴史的音源) カラーチェ作曲 OSTマンドリン・クワルテット (ビクター、1930)
073 トラバトーレ (歴史的音源) Verdi作曲 四竈清子 (コロムビア、1931)
また図書館送信資料、国立国会図書館内限定資料 の主なものについては次のようなものがあります。
図書館送信資料とは国立国会図書館がデジタル化した資料のうち絶版等の理由で入手が困難な資料を全国の公共図書館、大学図書館等(ただし国会図書館の承認を受けた図書館に限る)の館内で利用できるサービスです。
主なものについて年代順に並べました。
先頭の数字は図書館の整理番号です。
327 マンドリン独まなび 「第一節 マンドリンの起源及構造」、「第八節 マンドリンの特長」、「十五 マンドリン用爪記號」 吟風散士著 (十字屋楽器部、1911)
255 獨習自在西洋音樂講義録 第1輯 「11 マンドリン奏法」 (西洋音樂普及會、1921)
318 マンドリン・ギター及其オーケストラ 「ギター及マンドリンの樂器としての史的考察」、「前編 ギター及マンドリンの遠き祖たる古代樂器」、「マンドリン音樂小史」 武井守成著 (オルケストラ・シンフォニカ・タケヰ、1924)
102 樂典 「第五 マンドリンと樂譜」 門馬直衛著 (岡田日榮堂、1926)
030 アルス西洋音楽大講座 第3巻 「マンドリン」、「マンドリン各部の名稱及び說明」、「マンドリンの音域及び絃」 田中常彥 (アルス、1929)
064 音楽世界 1(4) 「マンドリン・ギター音樂の國際的機關の組織」 佐伯藤三
(音楽世界社、1929)
409 主題と変奏 (一) (歴史的音源) 堀清隆作曲 オルケストラ・シンフォニカ・タケイ 菅原明郎(指揮) (ビクター、1929)
410 主題と変奏 (二) (歴史的音源) 堀清隆作曲 オルケストラ・シンフォニカ・タケイ 菅原明郎(指揮) (ビクター、1929)
349 嫁入叢書 趣味篇 「マンドリンについて・洋樂の教授」 武井守成 実業之
日本社編 (実業之日本社、1930)
397 キスメット (歴史的音源) 四竈清 (コロムビア、1930)
396 アモールのセレナーデ (歴史的音源) ドナテイ作曲 四竈清子 (コロムビア、1931)
051 オデルマンドリン教則本. 第1巻 「マンドリンの持ち方」、「マンドリンの圖解」、「マンドリンの指盤上に於ける音調の圖解」 宮田信義訳 (音楽書院、1932)
362 レコード 3(9) 「ミス・マンドリンの事」 服部正 (音楽世界社、1932)
065 音楽世界叢書 第1編 「三 マンドリン」 (音楽世界社、1933)
204 西洋音楽技法入門 第6 「マンドリン各部の名稱」、「マンドリンの譜と號」、「マンドリン雜話」 (春陽堂、1933)
205 世界音樂講座 4 「マンドリン音樂を志す人に」、「マンドリン構造(附・ピツク、ケース)」、「マンドリン奏法」 (春秋社、1933)
206 世界音樂講座 5 「2 マンドリン」 (春秋社、1933)
214 世界音楽全集 38 「16 マンドリン」 (春秋社、1933)
394 ドリゴのセレナーデ (歴史的音源) R.Drigo作曲 四竃清、四竃国会(ギター) (コロムビア、1933)
395 ラブ・イン・アイドルネス (歴史的音源) Mocbeth作曲 四竃清、四竃国会(ピアノ) (コロムビア、1933)
316 マンドリン教則本 上巻 「マンドリン各部の名稱及び說明」 ムニエル著他 (ヲグラ楽譜出版部、1934)
317 マンドリン教則本 下巻 「マンドリン各部の名稱及び說明」 ムニエル著他 (ヲグラ楽譜出版部、1934)
331 マンドリン名曲集 ギター伴奏付 オデル著 (好楽社、1934)
406 ホーム・スイート・ホーム (歴史的音源) ビショップ作曲 高久肇、月村 嘉孝(ギター) (コロムビア、1934)
321 マンドリン新曲集 オデル著 (好楽社、1935)
050 オデルマンドリン教則本 第2巻 大国舒光編 (シンフォニー楽譜出版社、1937)
149 古賀政男マンドリン合奏名曲集 第1輯 (シンフオニー楽譜出版社、1939)
186 アルス音樂大講座 第9卷 實技篇 「マンドリン奏法の要點」 田中常彥 (アルス、1939)
072 音響学 「3 三味線・箏・マンドリン・ギター等の絃の振動」 田辺尚雄著 (新興音楽出版社、1941)
143 厚生音楽全集 第3巻 「厚生音樂としてのマンドリン合奏」、「厚生音樂としてのマンドリン合奏の方向」、「マンドリンとギターの歷史」 新興音楽出版社編 (新興音楽出版社、1943)
071 音楽科学習指導法 器楽合奏編(中学校・高等学校器楽合奏指導書) 「第3節 ギター・マンドリン合奏」 文部省編 (明治図書出版、1952)
073 解説ベートーヴェン全集 第4巻 作品(室内楽) 「マンドリン・チェムバロ」 属啓成著 (千代田書房、1952)
060 音楽芸術 13(11) 「マンドリン音楽の現況」 高橋功 (音楽之友社編、1955)
途中ですが長くなりますので続きは次回に。
関連ブログ:
・国立国会図書館のデジタルコレクション (2015.11.24)
ペルゴレージ、チェチェーレ、ジュリアーノ、パイジェッロ、レッチェ、ジュリアーニのマンドリン協奏曲がCDになっています。
珠玉のマンドリン協奏曲に耳を傾けるに格好のCDではないかと思います。
■ ペルゴレージ他 マンドリン協奏曲集
同じ内容のものが1989年と2000年にリリースされています。
・レーベル:エラート、型番:B15D-39204 (1989年、限定盤)
・レーベル:エラート、型番:WPCS-10542 (2000年、再盤) 上記画像のもの
マンドリン演奏者:ジュゼッペ・アネッダ
ネットに演奏、楽譜のあるものもあります(下記)。
CDに収録されている曲:
(1) マンドリン協奏曲 変ロ長調 (ペルゴレージ作曲)
ネットでの演奏 :第一楽章、マンドリンはヤコブ・ルーヴェン
・Giovanni Battista Pergolesi (1710-1736、イタリア)
オペラ作曲家ですが、フルートやヴァイオリンの協奏曲も作曲しています。
上記CDの原曲はヴァイオリンと弦楽オーケストラのための協奏曲ですが偽作とも言われています。
写真がずい分若いですが、わずか26歳で結核で亡くなっています。
(2) マンドリン協奏曲 イ長調 (チェチェーレ作曲)
Gimo 作品60 (Gimo Collectionについてはここ をご参照ください)
ネットでの演奏1 :第一楽章、マンドリンはジュゼッペ・アネッダ
ネットでの演奏2 :第一楽章、マンドリンはラルフ・リーネン
ネットで見つけた楽譜:ここ
・Carlo Cecere (1706-1761、イタリア)
オペラの作曲家でありヴァイオリニスト。
マンドリンのデュエットのほかマンドリン、フルートのための協奏曲などの作品もあります。
(3) マンドリン協奏曲 変ロ長調 (ジュリアーノ作曲)
Gimo 作品153
ネットで見つけた楽譜:ここ
・Giuseppe Giuliano (c.1720-c.1776、イタリア)
(1)~(3)は国内盤LPとしても発売されました。
■ パイジェッロ マンドリン協奏曲
同じ内容のものが1986年にリリースされています。
・レーベル:エラート、型番:ECD-88165 (1986年)
・レーベル:エラート、型番:R32E-1023 (1986年) 上記画像のもの
マンドリン演奏者は(4)~(6):ウーゴ・オルランディ、(7):ドリーナ・フラティ
こちらもネットに演奏、楽譜のあるものもあります(下記)。
CDに収録されている曲:
(4) マンドリン協奏曲 変ホ長調 (パイジェッロ作曲)
(5) マンドリン協奏曲 ハ長調 (パイジェッロ作曲)
・Giovanni Paisiello (1740-1816、イタリア)
当時最も重要かつ影響力のあるオペラ作曲家の一人でした。
(6) マンドリン協奏曲 ト長調 (レッチェ作曲)
ネットでの演奏 :第一楽章、マンドリンはウーゴ・オルランディ
・Francesco Lecce (イタリア)
(7) 2つのマンドリン、ヴィオラとオーケストラのための協奏曲 (ジュリアーニ作曲)
・Antonio Maria Giuliani (1739-1831、イタリア)
(4)~(7)は国内盤LPとしても発売されました。
(1)~(7)の作曲者について詳細不明な部分もありますがすべて18世紀のイタリア人と思われます。
マンドリンは、18世紀には協奏曲の独奏楽器として、また室内楽やオペラにおいて弦楽器や管楽器との組み合わせでも重用されるなど、クラシックの独奏楽器として一定の地位を築いていました。
上記2枚のCD以外にも同じエラートのレーベルでジュリアーノのマンドリン協奏曲ト長調などが収録された「18世紀ナポリのマンドリン協奏曲集」というCD (型番:WPCS-22066)が2003年リリースされています。
(その3)からの続きです。
■ 日本マンドリン連盟(JMU)本部会報添付楽譜 (3曲)
本部会報にはNo.32~171まで延べ137曲の楽譜が添付されていました。
そのうちマンドリン、マンドラで弾けるのは上記3曲です。
蚊トンボは高柳未来(みき)さんのCD、Mandolin Revolutionに収録されておりここ で一部試聴できます。
なかなか面白い作品です。
またNicola Maria Calace (1859-1924年、イタリア)の弟、Raffaele Calace (1863-1934、イタリア)のDuo曲は次の3作品がここ に示されています。
・Fascicolo 1 (Op.96)
・Fascicolo 2 (Op.97)
・Fascicolo 3 (Op.98)
■ 世界音楽全集別巻第5 マンドリン曲集 (8曲)
門馬直衛編1936年春秋社発行のこの曲集には無伴奏独奏曲のほかに次の8曲の二重奏曲が載っています。
・ゴンドラの歌 (アクトン)
・私の太陽 (カプア)
・アニトラの舞踏(グリイク)
・悲歌(マスネエ)
・ヴェネチアのゴンドラの歌(メンデルスゾーン)
・テーブル二重奏(モナアト)
・“ドン ジオヴァンニ”の小夜歌(モーツアルト)
・子守歌(シウバアト)
この中のテーブル二重奏曲についてはここ でもご紹介しています。
この曲集は国会図書館デジタルコレクションとしてインターネット公開されていましたが現在は残念ながら館内限定公開になってしまっています。
レベル的には大河原義衛編1936年春秋社発行の「マンドリン・ギター曲集」より平易な曲が多く弾きやすい内容になっています。
■ IMSLP (31曲)
楽譜の青空文庫、無料楽譜の宝庫と言われるIMSLPで「For 2 mandolins」で検索しますと31曲がヒット します。
このうち次の5曲は前回(その3)で紹介しましたGimo Collection の中の曲です。
・Sonata for 2 Mandolins, Gimo 12 (Barbella, Emanuele)
・Sonata for 2 Mandolins, Gimo 13 (Barbella, Emanuele)
・Sonata for 2 Mandolins, Gimo 14 (Barbella, Emanuele)
・Sonata for 2 Mandolins in A major (Barbella, Emanuele) (Gimo15-17)
・Duet in E-flat major for Two Mandolins (Gervasio, Giovanni Battista)
(Gimo147-148)
Emanuele Barbella (1718-1777、イタリア)のDuo曲はGimo Collectioの中に上記ほかに次のような曲があります。
・Sonata for 2 Mandolins (Gimo18-19)
また次の12曲はCarlo Munier (1859-1911、イタリア)作曲です。
・Duettino No.1, Op.69 (Munier, Carlo)
・Duettino No.2, Op.3 (Munier, Carlo)
・Duettino No.3, Op.4 (Munier, Carlo)
・Duettino No.4, Op.6 (Munier, Carlo)
・Duettino No.5, Op.7 (Munier, Carlo)
・Duettino No.6, Op.5 (Munier, Carlo)
・3 Duetti concertanti, Opp.9-11 (Munier, Carlo)
・Utile dulci, Op.115 (Munier, Carlo)
・Utile dulci, Op.220 (Munier, Carlo)
・Utile dulci, Op.226 (Munier, Carlo)
・Utile dulci, Op.228 (Munier, Carlo)
・Nuovi Duetti popolari, Op.259 (Munier, Carlo)
同じIMSLPでMunierで検索しますと上記の曲以外の二重奏曲として次の曲が見つかります。
・Il Nuovo Stile dei Duetti per mandolino solo, Op.278
残る14曲のうち教則本付属の練習曲等を除くと次の5曲が残ります。
・6 Duos and 6 Sonatas, Op.1 (Riggieri, Antonio)
・6 Mandolin Duos, Op.3 (Riggieri, Antonio)
・Menuets, Allemandes et Petits Allegro avec 6 Sonates, Op.4 (Riggieri, Antonio)
・6 Violin Duets (Barbella, Emanuele)
・6 Violin or Mandolin Duets (Leone, Gabriele)
Antonio Riggieriについて詳しいことはよくわかりません。
Gabriele Leone (1725-1790、イタリア)はEmanuele Barbella 、Giovanni Battista Gervasioなどと同時代のイタリアのマンドリン教師のようです。
関連ブログ:
・マンドリン二重奏曲(その3) (2017.01.04)
・マンドリン二重奏曲(その2) (2014.10.31)
・マンドリン二重奏曲 (2014.10.19)