紫陽花ころコロ

日々のちょっとしたことをゆる~い感じで綴ってみたり・・・

旅の途中。

2009-09-07 23:30:00 | 日記
太宰治生誕100年記念公演「津軽」を観に、青森県五所川原市金木町に行ってきた。
兄が、出てるので。

津軽鉄道芦野公園駅特設会場で本物の線路&電車を使っての舞台セット。
全国一位の実力を持つ一輪車クラブの出演。
主演は村田雄浩さんと川上麻衣子さん。
演出は弘前劇場の長谷川孝治さん。
県が主催ということで最初は期待してなかったけど、具体的な話を聞くにつれ私の期待は膨らんでいった。
出発の数日前に購入した文庫「津軽」を二日間で流し読みし、心身ともに準備万端。
公演初日の9月2日、いざ芦野公園へ-。



整理番号1番をゲットし、いよいよ会場の中へ。
目の前に広がる屋外のセットに目が釘付けで、開演までの間 隅から隅まで飽きずに眺めてた。
開演時間の18時。まだ明るい中、舞台奥の右側から電車が来て止まり、役者が次々と降りてきた。
いきなり最初に電車を使うと思わなかったので、ちょっと圧倒されたまま物語は始まった。



そのまま物語へ吸い込まれていき、いつしか辺りは夜の闇に支配されていた。
セット手前に小さな電車が時折動いていて、暗闇の中、その電車の窓の明かりが水に映っているのがとても綺麗だった。

休憩中、太宰の好きなものを詰めたというサプライズのお弁当!
ちょっと冷えていた私はおいしいお弁当で身体を暖められた。



舞台は期待以上に素敵なものを観せてくれた。
途中何度も心に響いて目が潤んだ。
後から兄に「故郷から東京に出てるから、人一倍感じるものがあるんじゃないか」と言われたが、そのとおりだと思う。

『故郷はあるものではなく発見するものだ』

ああ、そうなんだなぁ・・・・・・。
私の故郷とはまだまだ浅いものだと実感した。
太宰は「津軽」を書くことでそれを“発見”した。
私がしっかりと“発見”出来るのは、いつのことだろう・・・。

『私は虚飾を行わなかった。読者をだましはしなかった。さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。』

と、原作通りの言葉でこの舞台は幕を下ろす。
かっこいいなぁ。
私もこんな風に言ってみたい。


太宰役の村田さんが終盤で「探しものは見つかりましたか?」と問いかけてきたとき、私はドキッとした。

・・・まだまだ、探す旅の途中でございます。




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