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プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

渡海昇二

2016-11-12 08:56:16 | 日記
1963年

一塁側ベンチからもっとも遠いところ(左翼)を守っていたのだからムリもないが、一番最後からトボトボと引きあげてきた。はでにたたかれるフラッシュにちょっと意外だといった表情。「いい当たりだったね。文句ないよ」待っていたナインからほめられてやっと口もとがゆるむ。「ゆるいカーブだったね。それも真ん中。監督さんに中途はんぱな打ち方だけはするなと注意されたんで、思い切って振ったんだ。カネさん(金田)からはことしはじめてのヒットだ。でも・・・」あとをにごしたのは、あれならだれでも打てるといいたかったらしい。それでも五回の満塁では代打に使ってもらいたくてずいぶん苦労したそうだ。「絶対右バッターが指名されるのはわかっていたから、ちょっとまわりをみまわしてみたんだ。そしたら三、四人はいるじゃないか。これはいけないと思ってバットをにぎったり、おおげさな体操をしてみせたり・・・。まあこんなデモンストレーションがきいたんでしょうね。ヘッヘッヘ」はじめて声を出して笑った。しかしこの日は別にもうひとつヒットを打ちたい理由があった。それは国鉄の根来捕手が「どうしてもオレの下においてやるんだ。そうしないとオレが心細くなる。だからきょうアイツが出てきたら徹底的にマークしてやるぞ」といっていたのをきいたからだ。打撃三十傑の二十九位が根来、ビリの三十位が渡海というのがその理由だ。「それならどうしても打ってやろうと思ったね。ビリじゃ情けないもの。でもゴロちゃん(根来)きっと頭にきただろうね。ぼくのヒットでゾロゾロ走者がかえってくるまで見せられちゃったんだからね」この三月、品川の下宿から渋谷に移転。心機一転をはかっていまコンディションは最高、調子も急上昇しているという。「からだが早く開きすぎるといわれた欠点も、もうだいぶなおったし、ゲームにもすっかり慣れたつもり。やはり目標は先発メンバーで出ることだな。まだまだ若いんだから、これからですね」自分で立てた見通しも明るい。川上監督もシーズン初めのころは「何試合か続けて出すと、もう疲れた、というらしいね」と苦笑していたが、このごろでは五番にすえる信頼ぶりだ。

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