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プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

石岡康三

2016-12-11 11:23:00 | 日記
1964年

この日の先発をいわれた十六日の夜、石岡は身のまわりのものをせっせと片付けていた。大倉山の合宿をでて両親と石岡と半々にだして買った調布の新居に移ったのはつぎの日だった。「合宿の食べものがまずいわけじゃないけど自分に合った食いものを食べたくてね」若手三羽ガラスといわれた中で、佐藤進が6勝、半沢が2勝、たったの1勝しかあげていない石岡は、仲間にひとつずつ追いついていく方法を両親の食事に求めた。「四回ごろから、勝てるという気がしてきた。カーブでカウントをかせぎ、速球で勝負したのがよかったのでしょう」王には自信を持っている。十回勝負してホームランを二本打たれているが、三振も五つ。あとの三つは凡打に打ちとっている。「巨人の中で王さんが一番威圧感を感じるけど、どうしてもかなわない相手とは思えない。巨人打線はブリブリ振りまわしてきますからね。低めへ投げればだいじょうぶでしょう」ナインの中でどこにいるのか目立たたないほどじみな男の口から強気な言葉が出た。半沢に追いついたのでつぎは佐藤進を抜きにかかるのだという。勝負をきめた2打点についてはあっさりしていた。「まぐれですよ。内角のシュートだったけど、バットを短く持っていたのがよかった」内気な性格から打者に割り込んでフリー・バッティングをしたことは一度もない。ぶっつけ本番の一発だった。「おふくろがきょうはみにいきたいといったけど、足が神経痛なのでテレビでみてくれっていってきたんです」ただ一度しか寝たことのない家で待つ母親(長子さん)に王を最初に三振にとった球はまっすぐ、二度目はカーブだったとかえって教えるのが最大の楽しみだという。

五割を割った巨人にまた不幸が起こった。二回二死一、三塁で根来のとき、十七日の練習で突き指した伊藤の左親指から血がにじみ出したのだ。根来四球の満塁で巨人はあわてて城之内をリリーフに送る。しかしこの夜の城之内は疫病神にとりつかれていた。ます石岡に1-2からど真ん中への打ちごろのストレートを投げて中前へ先制の2点タイムリー。守っては三回、広岡が杉本の遊ゴロを一塁へ高投した無死二塁で小淵の送りバントを一塁へ暴投した。一塁線へきわどくころがったこの打球を城之内は「きれる」と判断したようだが、ボールはわずかにライン内でとまった。浮き足立っているときだけにこれはショックだ。杉本がかえる。小淵二進のあと豊田にも二塁左を抜かれて国鉄に4点目を与えた。切れのいいスライダーで一回二死後の坂崎から二回王、船田と連続3三振をとった石岡はこれでさらに余裕を持った。三回二死から柴田、塩原に連安打された一、三塁もゆうゆうと切り抜ける。秋天は石岡のプロ入り初のシャットアウトがなるかどうかにしぼられた。回を追ってスローカーブがさえ、低めいっぱいにみごとに決った。巨人は1㍍81の長身から投げおろす球の角度にまどわされた。六回トップの柴田が左中間を抜いた無死二塁も点にならない。石岡が最後のスリルを感じたのは、八回一死後、代打国松が打ちあげた右翼大飛球だ。しかしこのホームラン性の当たりも逆風に押しもどされてヘイぎわで別部のグローブへすいこまれた。国鉄が九回根来の右翼線三塁打でダメを押すと、その裏一塁コーチス・ボックスにもう川上監督の姿はなかった。長島を欠いてから巨人は一度も勝てずに4連敗。石岡は六月二十四日の対阪神戦以来二十四日ぶりの2勝目を完封でかざった。

六回、王がこの試合二度目の三振をしたが、2-1からの内角カーブをから振りしたとき、王のヘルメットは二度もうしろへとんでしまった。ということは、からだの中心線がぐらついて、しかも大振りしている非常に悪い状態だ。新人にひねられてたまるものかという気持ち、これがリキみになり大振りにつながっていた。石岡は金田を右投手にしたように背が高い。しかも純粋のオーバーハンドで球は速い。ボールに角度があり、とくに打者にとっては高めのボールがストライクにみえるタイプの投手だ。そんなことは巨人の選手も全員知っているはずだが、試合終了後まで同じように高めのボールに手を出し、内外野にフライを打ちあげていた(27アウト中フライが15)巨人のダウン・スイングがから回りしていたということである。石岡はまず速球と、ゆるい大きなカーブでカウントをかせぎ、勝負球は速球と、速い小さなカーブで攻めていた。石岡にしてみれば、ストライクをとりにいく大きなカーブをねらわれたら、かなり苦しんだに違いない。ところがそのカーブをほとんど見のがしていたために、次第に調子をあげた。石岡の投球数は百三十四球。そのうちストライクは九十球だった。つまり三球に二球はストライクだったわけ。だからねらい球を各自が決めてかかれば、もっと打てたはずである。

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