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プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

宮崎一夫

2015-01-24 11:20:36 | 日記
1952年

五尺六寸そこそこの上背では小柄な部類に属する投手である。しかし、体重は十七貫近くある。そうなると小さいということがいえなくなる。骨格にもたくましさがあって、ちょうど小牛の感じである。肩幅の広い、肉のしまった体質は、どうみても野球選手向きである。年令、僅か二十歳、非常に若い、将来を大いにたのしませてくれる投手である。宮崎一夫とは、こんなプレイヤーである。四月十三日、川崎球場でのことだ。場内アナウンス嬢が、「ピッチャーの交代をお知らせ致します。毎日のピッチャーは宮崎であります」…。スタンドのあちこちでは、ファンが、何かこそこそと小話を始めた。そして、拍手がまき起こったのだ。川崎といえば工業都市として有名なところだが、バクチの盛んなことでも著名なところだ。野球場に近接する競輪場は、きょうも一攫千金をねらう人で一杯だし、競馬場も近いスポーツ・バクチの街といわれるところではあるが野球の好きなことでも秀出した空気を持っている街でもある。それは工業都市なるがために数多くの工場が立ちならんでいる。コロンビア、東京機器(トキコ)いすゞ自動車、東芝などその煙突は数えきれない。そして、各工場には、それぞれ強い野球チームが編成されている。ノンプロでは有名な日本コロムビア、川崎いすゞ、トキコなどは、みんなここで産まれたのだ。この宮崎だって、川崎市からプロ入りした一人ではないか。スタンドには、宮崎が出ることを予期して入場した者もあろうが、多くは場内アナウンスによって初めて宮崎の登板を知ったようなものだ。だから、思わず郷土の選手に拍手を送ったのである。ところでこの日の宮崎はプロ入りして間もない、地元川崎では初登場という精神的な弱みを少しもみせず、堂々投げたが、余り芳ばしくなく途中またバトンをゆずらねばならなかったが。試合が終わってファンがぞろぞろと引き上げていったが「コロンビア時代より、宮崎はスピードがついたね」「横手投はやめたようだ。オーバー・スローの投手になった」などという言葉が残されていた。逗子開成高の投手から、川崎コロンビアに入った宮崎の名は、早くから南関東になり渡った好投手だったが、コロンビアの一年間で大体の投手としての基礎が完全になったのである。内海監督(現毎日コーチ)の秘蔵子で手をとられて教えこまれたものだ。かくて内海監督が毎日に帰った今春、監督とともに宮崎も毎日入りしたのだった。約三カ月間、今度は若林監督の下で、ミッチリ練習を積むことになった。コロンビア時代は横手投一本槍だったが、プロに入ってから、その非を悟り、上手投をおぼえるようになった。最もその裏には、横手投げに専心している中に肘に痛みを感じ、致し方なくオーバー・スローに持っていったところ、その痛みがなくなったばかりか、以前にも増した球威がつくようになったのである。四月六日の沼津での対東急戦にデビュー以来、宮崎は次々と登板、七月以降は西鉄、西鉄、近鉄、大映に四勝して、新人としては抜群の五連勝を記録したのである。湯浅総監督が大分前のある日、こんなことをいったことがある。「二軍の若い選手の中で、近く使いものになるのは投手では和田勇と宮崎だ。それに打撃で山内、守備で島田といったところだろう」と。してみると宮崎は総監督の期待を鮮やかに実現させた新人である。宮崎のピッチングの特長といったら何だろうか。それはスピードボールとシュートの鋭いことが第一である。一見、何でもないように見受けられがちだが、打つ方にいわせると、クセのある球だそうだ。今年のオールスター戦でのフリーバッティングで、山本監督が、この宮崎を投手にして各選手に練習させたが、あとで何故宮崎などを相手に打つのだと聞いたら「別所の推薦としてやったのだ。あの球は、そう簡単に打てるものではない。重いよ」といっていたが、その通りで直球も、不調の場合はともかく、すべてが、スライドしていて、不気味な味を持っている。本人はフォームを完成させるために目下一生懸命といっているが、二軍の練習がきいたのであろうか、コロンビア時代にくらべるとメッキリスピードが増し、コントロールが完全となった。身体全体が非常に柔軟性を帯びているし、腰の安定したところが良い。しかし宮崎の主武器とするところは、本人がもらしていると同じく、シュートである。このシュートが調子よく打者の手許にくいこんでくると、ちょっとした打者では到底打ちこなすことが出来ないし、好打者連でも眼をまわしている。宮崎が崩れる場合というのは、このシュートがコントロールされないで、コースが狂い、打者の思う壺に投げられた時である。カーブにはまだまだ研究の余地があるが、マウンド度胸は末吉同様、新人ばなれしたものをみせている。和田勇とともに明日の毎日のスターである。

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