1987年
そこはメキシカン。「ラッキー」を連発して、抑えの郭を抱え込む。逆転勝利で、自己の投球採点が30点もはね上がった。六月初めに中日入り。失意の日々を過ごした。ゲーリーを抜けず、大リーグで40万㌦の年棒を稼いだ男が、二軍で望み薄い待機。ゲーリーの故障でお呼びかかった時は、どん底に落ちていた。三週間ぶりの実戦。いかに陽気なメキシカンでも、それが最初で、失敗すると、ラストチャンスになることを知っている。ブルペンで25分間、100球近く全力投球。びしょぬれのままマウンドに上がった。うわさのスクリューボールは、確かにすごい。時には左投手のスライダーのよう。外側から切れ込む。必死の六回は、投手の松本を相手に、5球中3球がそのスクリュー。監督は、限界を超えているのを十分承知で代えようとしない。「さまざまな重圧に耐える男を、回の途中に降ろすわけにはいかんだろう」監督は、カスティーヨの大リーグ時代を熟知している。「こんなものじゃない」カスティーヨは期待にこたえて言う。「おれの勝負球は、おふくろから丈夫な肩をいただいたおかげで、何球でも続けて投げれるんだ。次のゲームを見てくれ」巨人戦もラストチャンスと心得て投げる気だ。日本の投手が「ヒジ、肩に一番危険な球」と回避するスクリューを。
カスティーヨの初登板をみた。結論から先に言うと、今後については正直、半信半疑である。投球の軸は外人特有のスクリューボール。シンカーに近い球だが、やや回転が遅く、その分だけ落差が大きい。大洋の三振はほとんどがスクリューだった。追い込んでからは非常に有効だ。しかし、制球のバラつきは気になる。相手が慣れてくると、しっかり見極められそう。加えて、直球のスピードが135㌔前後と遠くない。スクリューとの球速の差が少ないのもマイナス面になる。手先で細工せず、地肩の強さで投げるのが特長で、多投しても負担が軽い半面、覚えられやすい。宝刀はここ一番こそ。ほかの球でいかにカウントを整えることができるかだ。
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