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プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

山下律夫

2017-07-09 14:34:24 | 日記
1969年

巨人はすんでのところで四年ぶりの不名誉な記録を残すところだった。七回まで長島の2四球だけ。しかも、山下を予想しての五番以下に三人並べた左打者にまったく快音が出ず、長島を二塁に進めることもできなかった。これでは川上監督でなくても、手の打ちようがあるまい。荒川コーチは「ノーヒット・ノーランも仕方がない」と一時はあきらめたそうだ。八回二死で、川上監督は代打に金田を起用した。おそらく三万六千人の観客の大半を占めるだろう巨人ファンへ、せめてものサービスだったのかもしれない。ところが、これが巨人唯一のヒットになったのだから皮肉な話である。「ああ、ヒットだな」山下はワン・バウンドで頭上を越えていく打球を見ながら、思ったそうだ。「がっくりしなかったといったらウソになるでしょう。でも完投が目標だったから・・・。なかなか出来る記録じゃないですからね」と少しも無念さを表情に出さない。ストレート、カーブ、シュート、すべて満足できる出来。とくにコントロールのよさが、巨人打線をキリキリ舞いさせたピッチングをささえていたようだ。ことしの大洋について、長島は「投手がいいね。とくに山下」と山下の名を一番にあげていたし、この日の巨人も山下の先発を予想して、対策も十分練っていたはずである。だが「高橋スコアラーもいっていたが、あれだけ威力のあるタマをコーナーいっぱいに決められたら、打てないよ。まあ一年に一度や二度はこんなこともあるだろう」荒川コーチも完全にお手上げだったようだ。マークし、対策を立て、試合中にエンジンを組んでも、絶好調の投手を攻略するのはむずかしかった。しかし、荒川コーチは「江夏や安仁屋みたいにしようがないという感じじゃないよ。いまに20安打も浴びせて、打ち込んでみせる。苦手とか、こわい存在じゃない。きょうだってベンチで指示するまで、だれもバントをしようとしなかった。こんどは一塁側バントでゆさぶるよ」と山下攻略に新たな意欲をもやしている。一方の山下は「なんとなく自信があるんです。点をとられる気がしませんね」と巨人への自信をすっかり深めたが、くふうを重ねた巨人打線と山下の次の対決が見ものである。

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