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プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

杉川喜久雄

2016-06-26 14:39:26 | 日記
1954年

松竹が予想外の不振でテール・エンドが確定したばかりか勝率二割五分を割っていることは、四年前に優勝した強豪ロビンスの後身だけにいたましいかぎりである。低調の原因はいろいろあるが大きく分けて三つ。その一は投手力の手薄、頼みにした高野、小林、江田、林がさっぱり勝てず、四人の勝星、しめて七つ(三日現在)その二は打力の弱体・・・チーム打率二割二分三厘(もちろん六位で五位の広島が二割五分とうけたはずれの貧攻)これでは権藤をもってしても十一勝しかかせげないわけである。その三は活気のないこと、もちろん闘志をわかしてぶつかっているには違いないが負けがこむせいか、どうも活気がたりない。打力と活気についてはここでふれるゆとりがないが、投手力の方は権藤、大石、杉川(5勝8敗)がぐんぐんのしているし、小林も復調してきたし、ヒジを痛めて新日本リーグにった萩原が防御率1・20で最優秀投手になり、やがて登録されるに違いないから前途は明るい。わけても杉川は残る今シーズン、さらにシーズン・オフの投手生活と鍛錬、そして明春のトレーニング・キャンプにおける練習法とオープン・ゲームの仕上げなどに適切な考案がなされるならば明年のホープたる素質を持っていると思う。杉川喜久雄は二十二歳、六尺一寸、二十貫、若さと体格に恵まれた男。尾道西高時代は一塁手(広島の太田垣、大映の薮本など同僚)二十六年卒業して三原車輌に入社、初めて投手に転向、大いに興味をおぼえ二十八年松竹入りしたのがその球歴。今年が投手としての経験も浅いし処理もうまくない。長身六尺一寸の大器であるから世間なみにいけば「晩成型」であるはずが、実はなかなか器用でピッチングにも相当細かく気をつかい、いろいろと工夫しているのが目につく。投法は主として上手投げ、時にスリークォーターをまぜている上手投げの外角速球をよく投げているがもうひと息の球速がほしい。ときどきそれる球になっているがこれはナチュラル・スライダーらしい。コントロールのいいスライダーを身につけたら勝星がふえると思う。いまのところ上手、或いはスリークォーターで投げる内角へのシュート、球速もいいし相当の威力があり、これがウィニング・ショットとなっている。カーブは大きく落ちるものが多くコントロールがいいのでストライクをとるときに使って効果をあげている。ときどき球をにぎりかえて投げているのがシンカー、数は少ないがナックルにも手をつけているらしい。あれこれ数えてみるとかなり多彩な投法であるが、そのいずれもが未完成で工夫が先行している形それだけに期待していい新鋭であるが、すすめたいことはスピードとコントロールをつけること、体格を活用すること、この二つである。

杉川投手の話

いまの目標はただひとつ、コントロールされ、しかものびのある速球を投げることです。このためにはほかのことを多少犠牲にしてもかまわないと思っています。中沢さんが指摘されたように、僕は細かいところまで気を配ってピッチングを研究してきました。しかしこれではいけないと最近気がつき、だれからいわれたのでもないのですが、速球をマスターすることにしたのです。僕の身体で力のピッチングを知らないのはおかしいはなしです。チェンジ・オブ・ペースも投手守備もたえず気にかけていますがそれも速球が思うところにびしびし投げられるようになってからです。コントロールもしばらくの間は速球のコントロールだけに力をいれたいと思います。そして今シーズン残り試合にちょっとぐらい打たれてもいいから速球でどんどん勝負していこうと思っています。ウイニング・ショットはたしかに内角へのシュートですが、これは走者の有無、カウントの状況などで落ちるものと浮き上がるものとを投げ分けています。

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