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プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

渋谷誠司

2016-12-15 22:01:19 | 日記
1963年

根来捕手がフラフラになってため息まじりにいった。「サインどおりに一本もこないんだからね。ボール、ボールで気が気でなかったよ」巨人を四安打9三振でシャットアウト。だが内容は8四球と荒れまくったという不思議なピッチングだった。もっとも渋谷の不思議さはいまにはじまったものではない。五月十一日の対巨人戦で一安打の完封勝ちをしたかと思うと、すぐそのあとの大洋戦で、五回投げて三安打7四球で無失点。そうかと思うと快調な出足をみせながらたった一本の本塁打でKOをくったり・・・。四度のチャンスに死球一つだけであとの三度を凡退した長島は「ボールを散らしてきたのがよかったよ」という。だが渋谷は頭をかいた。「根来さんもいってました。どこへくるかわからんって・・・。ええ、考えて散らしたんじゃないですよ。ボールまかせに投げただけです。そんな考えるなんてことまだまだ・・・」首をふりふり最後は聞こえないくらいボソボソとした声。ロッカー・ルームのマッサージ台にすわり込んで、まだ荒い息をついている。そばからひやかすのが大好きな豊田が「渋谷さん、あちらのインタビュー室でどうぞ。ところでどんな球がよかったんですか」顔を真っ赤にした渋谷は、それでもやり返した。「そうですね。運がよかったんです」これには豊田も「おそれ入りました」と最敬礼。「大きいのを打たれるくらいなら歩かした方がいいと思ったんですよ。別に長島さん、王さんにはどうしようなんて考えなかった。でも、いつもピンチのときはあの二人がボックスに立ってるんですからねぇ。いやんなっちゃった」打たれた安打のうち王が二本。国松が一本と左打者に三本。「なんで左にやられるんかわからないんです。もっともなにをしてもわけのわからないことばかりやってますからね」これで二度目の完封勝ち。それも巨人戦にだけというもの。「大きらいですよ、巨人は。なんでうまく投げられるかって?やっぱり運がよかったんでしょうよ。だいたいぼくは四回戦ボーイですからね」ピンチになったときは「赤い旗を振って、助けてくれとさけびたくなった」などというウィットに富んだ話もする渋谷。砂押コーチ、豊田、鈴木とおとぼけがズラリとそろっている国鉄のなかでも最右翼というのがこの渋谷だ。

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