次にホルモン補充療法の実際を説明する。
1)検査と診断
まず、血液検査により卵巣機能(E2,FSH測定)を推定する。同時に骨量を測定。エストロゲンが減少していて(10pg/ml以下)、骨密度が低く、骨粗鬆症と診断された場合、ホルモン補充療法をはじめる。積極的な治療が必要とされるのは、腰椎を正面から測った骨密度が0.923g/c㎡未満(DPX)だが、年齢によってはこれ以上でも対策が必要なケースもある。
2)投与方法
薬の投与方法には次の3つがある。
①周期的投与法
、エストロゲンは1カ月連続して服用し、月のうち12日間前後プロゲステロンを併用する。この場合、プロゲステロンを服用し終わるころ、月経時のような出血がある。これはエストロゲンの作用で、増殖した子宮内膜が体外に出るためであり、このことによって子宮内膜は常に交換されて、癌のリスクが大幅に減少するとも考えられる。
②持続併用投与法
、最初からエストロゲンとプロゲステロンの両方を服用する方法で、閉経後数年経った人によく使われる。これは、はじめ月経時のような出血があるが、半年くらいで出血しなくなるため、①よりずっと楽だからである。エストロゲンとプロゲステロンの両方を服用し続けることによって、子宮内膜は徐々に萎縮していき、増殖による発癌のリスクを減少させる。
③エントリオール投与法
、エントリオールという薬はエストロゲンの一種だが、効き目がおだやかで副作用の心配もあまりない。またプロゲステロンを併用する必要がないため、出血はほとんどなく、最近の骨粗鬆症治療に多く使われている方法である。