2011年4月13日アジア開発銀行(ADB)が資金支援した3輪電気自動車(Eトライシクル)20台のお披露目式が、アキノ大統領も出席してマニラ市内マンダルヨン市で行われた。
ADBでは、マニラなど都市部を対象に2万台の導入を目指しており、実現すれば、環境面でメリットが得られるほか、ガソリンの節約効果に伴い、燃料輸入費の削減にもつながり、同国のエネルギー自給率向上にも役立つ。さらにプロジェクトによって、Eトライシクルの国内生産にも見通しがついており、新たな雇用創出効果も期待される。
Asian Development Bank、メラルコはじめフィリピンの大企業が名を連ね、EVプロジェクトの説明会も開催された。
マンダルヨン市の車両基地へ視察に出かけ、状況を見た際、20台中4台は別の州へ配属され、16台が基地にあった。その時点で既に3台はフロントサウペンションが壊れているものが駐車場に放置されてあった。
各国から説明会へ参加、デラサール大学の教授、ソフトバンクによる将来性など盛大に開催された。
既に台湾メーカーの電動バス、ローカル企業の試作トライシクルも会場に展示されていた。
2日間に及ぶ会議を終え、中国へ戻り、開発会議後、フィリピンの要求通りのモデルの開発にとりかかった。
フレーム、フロントサスペンションから耐衝撃性に至るまで。当然、バッティリーに関しては事慎重に行った。当時の最大の問題は、中国国内にこれぞという小型モーターがなく、結局、日本でA C D Cタイプのモーターを開発した。
開発も順調に進み、道路事情の最悪の地サヌアンから渋滞の激しいパサイ、マカティの裏通りを中心にトライシクルで走行データを収集、中国へ持ち帰りプロトタイプ作成のデータを作った。
プロトタイプ完成。ドライバーを含む7名乗車を元に動力検査を開始。ほぼ満足できる走行データが得られた。サスペンション周りはまったく問題なし。
坂道を想定したスロープでのモーター焼けテスト。問題なし。バッテリィー消費に難があった。技術者の功績で350km走行が可能になった。
全てのデータを持ち再度マニラを訪れ、ケソン市にあるフランチャイズ事務所を訪れた。
全てを説明後、官僚から出た話。1台当たりいくらコミッションを出すのか。
バッテリー保証は最低7年間無料交換。その全権利をフランチャイズへ譲渡すること。
話だけ聞いて、再度、プロジェクトを行う話し合いに応じた。
その後、カルモナにあるEトライクを製造する工場を訪れた。
この時点で、既に元日産の現地法人社長たちが、製造する会社を立ち上げていた。
機能部品、インバーター、バッテリースペックは渡さなかった。
ただ、カルモナでデザインをコピーさせたのが残念であった。
日本企業も3社参入していた。
結果は、メイン受注先は出来レースで元日産の現地法人社長たちが、製造する会社に決まっていた。
デラサールの教授と話し合いを行い、我々は参加を見送った。
あれから13年。市中で時折見かけるようになった。
そして、今年3月、MMDAによるマニラ首都圏道路でのEトライクとEバイクの禁止
マニラ首都圏開発庁(MMDA)を通じてマニラ首都圏評議会(MMC)は2月28日、MMDA規則第24-022号を承認した。これは、「マニラ首都圏の国道、周回道路、放射状道路におけるe-バイク、e-トライク、三輪車、ペディキャブ、プッシュカート、クリグリグなどのe-ビークル」を事実上禁止するものである。
2月中旬に行われたアルテスの会議には、マニラ首都圏の交通局長だけでなく、国土交通省、LTO、陸上交通フランチャイズ規制委員会の役人も参加していたことが報告されている(交通団体から指摘されている)。しかし、EバイクやEトライクを規制し、特定の道路での走行を禁止するよう勧告したのはこの会議の後だった。
規制の主な理由として「交通事故と交通渋滞」を挙げた。「電子車両の使用を全面的に禁止するわけではなく、規制したいだけだ」とも発表した。
首都圏はじめ近接する州の交通事情は、たかだか10分程度の道のりでも1時間を要する。ジプニーはじめトライシクルが主原因で、この国の経済を遅らせている。ラグーナ州に至ってはアラバンを過ぎれば、タクシー開業を市条例で規制している市もある。
公共交通に関する政策が突然禁止される。そして、このようなことが起こるたびに、社会経済的な問題が幾重にも絡み合っているフィリピン。あの時点で、手を引いて良かった。
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