あめ~ば気まぐれ狂和国(Caprice Republicrazy of Amoeba)~Livin'LaVidaLoca

勤め人目夜勤科の生物・あめ~ばの目に見え心に思う事を微妙なやる気と常敬混交文で綴る雑記。
コメント歓迎いたします。

特別じゃない どこにもいるわ

2014-08-26 23:38:29 | 日替わりchris亭・仮設店舗
私は今、かつて通っていた中学校でアルバイトをしていますが、その仕事上、最近の子供たちの名前が目に触れる機会が多いです。男子校なので男の子の名前だけですが、気になるのは「お」で終わる名前を全く見かけないこと。「○雄」も「○男」もいません(「○生」は何人かいますが、たぶん音読みするか「き」と読むのでしょう)。男の名前における「雄」「男」は、女の名前における「子」に相当する、というわけで、こんな本を読んでみました。歴史書籍レビュー第九十六回です。


橋本淳・井藤伸比古『「子」のつく名前の誕生』(仮説社)

日本史の授業で「小野妹子」の名前を聞き、「妹」で「子」なんだから女性だろうと思ってしまうというのはよくある話。それだけ「○子」というのは日本において女性につく名前と認識されていて、私としても、母も、父方・母方の祖母も、父方の叔母も「子のつく名前」ですから、その実例を見て育ったわけです。そういった考えはいつ頃生まれたのか。卑弥"呼"の時代から近現代に至るまでの日本の命名法を振り返る一冊・・・

と思って読んだのですが、実際に扱われているのは明治後半から戦前までのほんの数十年。そもそも130ページほどしかない本で、「はしがき」「まえがき」「あとがき」と目次と巻末の文献欄を除くと実質70ページ強。行間は広めで図表も多く、同じ字数の小説があれば「短編」と扱われる程度の分量でしょう。しかも唐突にクイズ形式になって選択肢が箇条書きされたり、作者の失敗談や他の研究者とのダイアログが入ったりでふくらまされているので、内容としてはかなり少ないものとなっています。

思っていた本と違った、というわけですが、ではこの本が想定している読者はどういったものなのでしょうか。作者の本職が小学校教師であるということに由来するのかもしれませんが、文体は噛んで含めるようなですます調。「明治マイナス○年」という不正確な表記、「「エー!」という感じでした」などの表現も含めて、成人の読者に向けられたものではないように思えます。
かといって、固有名詞以外の単語のルビや注釈が不足しており、小中学生が読むに適しているとも言えません。

あとがきにも少しかかれていますが、本当に「調べたいことだけ調べた」もので、本はあくまで副産物といったところでしょうか。その「調べたいこと」が私の「知りたいこと」と一致しないので、もやもやのみが残る読書でした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿