クリストファー・ウォーケンの極悪天使：ゴッド・アーミー（1995）

The Prophecy (1995)

脚本／監督はハイランダーのグレゴリー・ワイデン、クリストファー・ウォーケンが極悪天使、ヴィゴ・モーテンセンが生意気ルシファーと聞いては、期待せずにはいられないオカルト系ファンタジー。プロフェッシートリロジーの３部作の最初の作品。根暗なイメージのウォーケン、この極悪天使ガブリエルを生き生きと演じて、まさにはまり役。顔面蒼白、漆黒の黒髪に不敵な笑みを浮かべ、痩せた体にジャケットを翻して神出鬼没。低い声でぼそぼそ愚痴り、短気で、テーブルにこびり着いた血を舐めたり、死んだと見せ掛けてウインクしたり、そう、天使というより悪魔そのもの。皮肉もユーモアにあふれ、最後の審判で吹くはずのトランペットを子供たちに吹かせたりして、聖書をネタに笑わせてくたりします。

←「俺大天使ガブリエル。」吸血鬼にしかみえませんって、ウォーケン様。
←ガブリエルとあの有名なトランペット。

大天使ガブリエル（クリストファー・ウォーケン）は神が人間を贔屓にしているのが気に入らないので、神相手に戦争を仕掛けた天国を２分する戦争の張本人。彼の企みは人間の抹殺と天界の制覇。その戦争に勝つために、地上でもっとも極悪の魂を手に入れようとする彼を、天使シモン（エリック・ストルツ）が防ごうとする。元牧師の刑事トマス（エリアス・コテアス）と学校の先生キャサリン（ヴァージニア・マドセン）はガブリエルの企みを知り、シモンが魂を預けたネイティブの少女メリーとともにガブリエルから人類を救おうとするのだが・・・ってなストーリーなのですが、その極悪の魂ってのがそんなに説得力が無くて。心臓をえぐらないと死なない設定の天使や、人類の存続を賭けた善と悪の戦いなど、どことなくハイランダーを思い出させるのもご愛嬌・・・さらに期待のヴィゴのルシファー、たしかに絡み付いて来て悪魔的では有りますが、ウォーケンのガブリエルの極悪ぶりにくらべると今一つ迫力に欠ける。なんか言ってる事随分まともだし。悪魔がまともでどうするんですかぁ？（でもかっこいいから許そう。）

←大天使ガブリエルの陰謀を食い止められるのか、刑事トマス？先生に血を止めてもらっているようじゃ無理っぽい。
←ヴィゴのルシファー。なかなか似合ってますぉお。
←天使シモン。お仲間にさよならのキス。

宗教ものオカルトですから、キリスト教の基礎知識が必要か？というと無くても面白いと思います。深く考えずに軽い乗りで見るオカルトアクション。ハイランダーが好きなら間違いなく気に入るはずです。あくまで見どころは、普通は愛すべきキャラクタのはずの天使、ウォーケンの悪役ぶり。本当に嬉しくなるほど嫌なやつ。最後も一癖あって笑えます。そしてシモンを演じるエリック・ストルツ。この天使、シモンは、魅力的です。ロングコートに長い赤毛で、傷を負いながらも使命を果たそうとするする彼、もしかして登場人物中一番おいしい役ですね。（ストルツのボロミア髭が気に入っただけかも・・・）ただのいい天使役では無く、ちょっと曰くがありげな感じ、かつて沢山の仲間の天使を殺ししたらしい過去がある様です。２番目においしい役はネイティブの少女メリーの役の少女。本名も「シャイニング・ドーブ」（輝く白鳩）という名のネイティブの子。その愛らしさときらきらした瞳は、この映画に奥行きを与えていますよ。メリーとある登場人物がキスするシーンは「おおっといいのか、こんな少女に・・」といらぬ心配。ほんと、ちょっとマズイねあのシーン。まあそういうキスじゃないからいいのか。（ハイランダーの時も可愛い少女が出ていましたね。）ハイランダー好きはもちろん、コンスタンティン等宗教系オカルトが好きな方は必見！ヴィゴファンも見て損はないです。

追伸：現在日本版無いみたいです・・・「聖戦/ゴッド・アーミー（３作目）」のみ発売です・・・トリロジーなのに３作目だけってどうよ？