流されて下水道。：マウス・タウン ロディとリタの大冒険（2006）

Flushed Away(2006)

「チキンラン」に続く、かの有名なウォレス＆グルミットのアードマンスタジオと泣く子も黙るハリウッド・アニメの大御所ドリームワークスのコラボレーション。世の中うんざりするほどＣＧアニメが溢れている中、クレイアニメの質感を残しつつ、ＣＧならではのスピード感溢れる映像ストーリ－展開、驚くほど細部まで作りこまれたヴィジュアルは、ピクサーやワーナー他の大作ＣＧアニメと比べて間違いなく頭一つぬきんでて優秀。（ってか私がアードマンのストップモーション・アニメが好きなだけだ・・・）Ｗ＆Ｇ（ウォレス＆グルミット）と同じく、子供向けのようでいて、立派な大人向けアニメですね。

←左からトッド、スパイク、ホワイティ、ザ・フロッグ、上がロディ、リタ

大作アニメの声に有名俳優を使うのは珍しくないのですが、これは主役のお坊ちゃまねずみにヒュー・ジャックマン、下町のねずみリタにケイト・ウィンスレット、悪役代官蛙サー・イアン・マッケラン、皮肉屋の殺し屋蛙ジャン・レノ、殺し屋ねずみスパイクにアンディ・セラキス、そして呑気な殺し屋ねずみホワイティにビル・ナイですよ？！これだけで見たくなってしまうでしょ？

←ロディとシド。
←ロディとリタ。ロディ、ジャックマンに似てません？絶対似てる。

高級住宅街ケンジントンのペットのセレブねずみ様ロディ（ヒュー・ジャックマン）は、飼い主が旅行に出かけたあいだに偶然現れた下町のねずみシドによって、トイレに流されてしまいます。地下で見たものはねずみの町。何とかケンジントンに帰りたいロディは、船を持つトレジャーハンターのリタ（ケイト・ウィンスレット）に会いに行くのですが、そこにリタの持つルビーを狙うギャングねずみが現れて、図らずもギャングに追われる羽目に。しかしギャングの親玉トッド（サー・イアン・マッケラン）の本当の目的は、他にあったのですよ・・・

このアニメ何が面白いって、やっぱりキャラクターでしょう。各キャラクターの可愛いこと。Ｗ＆Ｇ好きならたまらないはずです。「シュレック」等、ＣＧとはいえなかなか生き生きとしたキャラクタつくりをしてきたＤＷですが、アードマンスタジオのキャラを生かしつつ、さらに声優の才能がプラスされてもう楽しすぎです。主人公のロディは、私から見たヒュー・ジャックマンのイメージと同じく、お坊ちゃんでヘタレでお人よしで世間知らずで寂しがり屋で見栄っ張り。ケイト・ウィンスレットのリタは、相変わらず男勝りで情に厚いし。でも最高なのは悪役ですよ！変なもの一杯コレクションしている（このコレクションが笑える。よく見て下さいね！）「げっ歯類に仕事を頼んだわしが愚かだった・・・」なんて台詞の悪玉蛙トッド（サー・イアン・マッケラン）は最高にやなヤツだし、殺しの美学にこだわり、「だからイギリス人はだめなんだ・・」と愚痴るクールな殺し屋蛙ジャン・レノなんてもう言葉にならないほど可愛いですわ。（この蛙、レオンを意識してますかね、やっぱり）ビル・ナイのちょっととぼけたねずみも可愛いし。そして、一番かわいいのはナメクジ！ナメクジです！ナメクジ！可愛い声で歌を歌ったりします。なんだか「銀河ヒッチハイクガイド」の蟹みたいなキャラだけど・・・なんでオフィシャルサイトにナメクジの壁紙が無いんだ！

←ナメクジ。可愛いですねぇ！

アニメなんだけど、十分大人向き、と書いた理由は、あちこちに散りばめられた捻ったユーモアでしょう。皮肉あり、ブラックジョークあり、この辺アードマンスタジオだなあ。また必要以上に「家族愛」とか「友情」とかを強調していないところもポイント高し。そしてアートワーク。何度も見て細部に発見がありそうな、こだわった作りをしています。とにかくテンポが速くて次々と変る展開は、ジェットコースターみたい。テンポの速いウォレス＆グルミットって感じでしょうか。ただ、一般アメリカＣＧアニメの好きな人にはどうでしょうかねぇ・・・このキャラクターデザインが好き嫌い分かれるかも。

←しつこいけどナメクジ。