劇場型デストピア、あるいは海馬を巡る冒険：The Resistance(2009)/MUSE

The Resistance(2009)/MUSE

MUSEのニューアルバムThe Resistance。世界中でみなさん大絶賛なのでいまさら私が絶賛する必要はない！チケット先行予約したし♪

アルバム最初の３曲は普通すぎるので飛ばします。MUSEがMUSEらしくなるのは４曲目United States of Eurasiaから。静かなピアノとハミングで始まっておきながらアラビアのロレンスからショパンのノクターン、クイーンのあの名曲のさわりまでぶち込んで？？縦横無尽にマイナーからメジャーまで変化する様はカメレオン。その次のGuiding Lightでさらに朗々と、かつ気恥ずかしくなるほど堂々と真っ正面から「君をもう抱きしめられない～」なんて歌い上げられると、恐れ入りました、と頭を垂れ受け入れるしかございません。U2に歌って欲しいなあこの曲。
Unnatural Selectionはザクザクとキャベツを刻むようなギターリフ、たらいにジャガイモを50kgぶちまけるような重厚ドラム＆ベース、粘着質の声で「真実が欲しい」と繰り返す所が美味し過ぎる一番のお気に入りです。
後半のシンフォニー３部作に至ってはもう、どこを切っても耽美なMUSEワールドで壮大すぎて聞く度に途方に暮れるばかり。

このバンドを特異なものにしている個性は、希望を歌いながらも漂う悲壮感。どんなに明るくポジティブな歌詞で歌おうとMattのヴォーカルは重く、苦しく、まるでなにかひどく大きな業（ごう）を背負っているかの様で。その重みが、壮大なシンフォニーとの相乗効果で聞くこちらに迫ってくる。クラシックを取り入れた奥行きのある、今までよりさらに感情的陰影と物語性のあるこのアルバムは、いままでの彼らの進化からすると当然かな。

私のベストはAbsolutionですが、このThe Resistanceは２番目にお気に入りになるかも・・
最後に・・邦題。ひどすぎます。センス無さ過ぎです。邦題つけるならちゃんとしたコピーライターに仕事して貰ってください。といいつつ人のこと言えない。

Resistance聞いてるとこの曲をどうしても思い出してしまうのよ。
雨音はショパンの調べ、って邦題だったっけ？ショパンつながりが意味深ですね。
Gazebo - I Like Chopin


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