この映画全体を包む美しく澄んだ寂寥感は、年月を経たアンティークの銀細工のような、はたまた古本屋で見つけた美しい革表紙の詩集のような、長い時間を経た歴史を持つ者の本物の重み。 . . . 本文を読む
ガエル・ガルシア・ベルナル主演の南米を舞台にした、実話に元づくロードムービー。まことに恥ずかしながら、何の話なのか誰が出ているのかも知らずに見た映画ですが、心に何時までも残る映画があるとすれば、この映画はその一本。 . . . 本文を読む
聖なる殉教者の物語なのか?それとも哀れなトロい女の悲劇?皮肉でゆがんだカタチのラブストーリー?純粋だけど愚かな彼女の行動が予想通りに悲劇的結末を迎え、エンディングでヤンたちが空を見上げる時、この映画は私たちに一つの希望を差し出します。全ての彼女の苦しみは無駄ではなかったと。 . . . 本文を読む
これが日本の皇室関連で同じような映画、作れますか?無理ですねぇ。この映画の内容が何処まで事実か私たちには知る由も無い訳でありますが、個人攻撃、文句、愚痴、裏駆け引きと、「いいのかこれ本当に・・」の赤裸々さ。フィリップ卿(ジェームス・クロムウェル)なんてほんとに嫌味なじじいって感じです。内容は英国人にとってある程度既成事実化していることばかりのようですが、実在のしかも現役の、しかもああいう方たちにあんなことを言わせるその勇気と大胆さとご本人たちの心の広さ。 . . . 本文を読む
爆笑変態映画「アタメ!」のペドロ・アルモドバル監督、2000年のオスカー「外国映画最優秀賞」受賞の作品。評判通り、とても印象に残る映画です。スペイン映画らしい「生と死」をテーマに、劇中劇やエイズ、ゲイやバイセクシャル、臓器移植や麻薬中毒、様々な複線が入り乱れる。盛りだくさんすぎかな?とも思いましたが、盛りだくさんだからといってストーリーを見失うことは無く、最後には逝ってしまった人たちの分まで生きていく、という主人公の強い意志が私たちを勇気付けてくれます。 . . . 本文を読む
私たちが一人苦しんでいる時、目に見えないだけで何かの存在が側に寄り添ってくれているかもしれない、それはもちろん非現実的夢物語かも知れませんが、そう思うことで救われる気がしませんか? . . . 本文を読む
iFILMで見つけたアニメーション、The Tale Of How。あまりのクオリティに目が釘付け。その世界は「快楽の園」ボッシュ+ティム・バートン+ハウルの動く城とでも形容しましょうか?クリーチャーデザイン、色彩感覚そして全体の構成、全てが信じられない完成度です。The Blackheart Gangは南アフリカのケープタウンの友人同士3人組(ミュージシャン兼ライターのマーカス・ワームストーム、コンポーザー兼アニメーターのユーニス・ヘンドリック、イラストレーターのリー・トレウィク)のユニットで、この作品は純粋に趣味で作成されたアニメーション。構想は2005年にスタート、仕事の合間に作成されたもの。 . . . 本文を読む
ヨーロッパ映画のカテゴリに留まらず、単に「好きな映画は?」と聞かれたら必ず挙げたいのがこのデリカテッセン。SFだとかホラーだとか、ジャンル分けすること自体が後ろめたいほどユニークでオリジナル、死やカニバリズムという微妙なテーマを堂々とブラックなユーモアに変えてしまったこの映画は、その卓越した映像センスといい、まさにアート系コメディのマスターピース! . . . 本文を読む
この映画は欧州的アート系でありながらファンタジー、ホラー、コメディの各要素を持ち、その底に流れるブラックユーモアは、類を見ない強烈さ。そして主人公のオスカル役ダーフィト・ベンネント、目玉を見開いて大人の世界を凝視する様は妖怪です。目が怖いです。もちろん子供らしい可愛さもありますが、無表情に怖いことをする不気味さは、ホラー&オカルト。 . . . 本文を読む
スペインのアレハンドロ・アメナバール監督、オスカーその他の賞を合計56個取った、実話を元にした作品です。日本では「魂を揺さぶる真実のラブストーリー」なんてコピーが付いていますが、そんなコピーでこの作品を表現する事は間違っていると思います。この作品のテーマはただ一つ、「尊厳死」。見終わった後、自分の命は誰の物なのか、そして生きると言う事の重さと意味を考えずには居られない作品です。 . . . 本文を読む
デンマーク・フランス・ドイツ・英国の共同製作、ラース・フォン・トリアー監督の脚本による、シリアスなテーマを内包しながらも、スタイリッシュな映像、ブラックユーモア溢れるストーリーの、現代のファンタジーです。「銃」に対する私たちの恐れとあこがれをコメディタッチのオブラートにくるみ、6人の若者たちの皮肉な運命を見せてくれます。この奇妙な映画は、決して難解ではなく、エンターテイメントとして優秀です。つまり面白かったってこと! . . . 本文を読む
\"「愛」は心を目覚めさせる。心は目覚めるのを待っている。
だから、眠る心へと向かわなければならない、なぜなら心は、「目覚める夢」を見ているだけだから。\"
あ~切ない。彼の肉体には羽根は有りませんでしたが、spiritにはきっと羽根があったに違い無い。彼が読む詩の中の「目覚めた」者とは、無垢だった彼ただひとりだったのではないでしょうか。残念ながら、彼自身その事実に気付いた時にはもう遅かったのですが。 . . . 本文を読む
フォン・トリアー・ワールドへようこそ。この映画は私にとっての「インスピレーション・ブースター」の1つ。いまでこそ有名なデンマークの監督ラース・フォン・トリアーの監督作品(ダンサー・イン・ザ・ダークで有名になりました)で、なんの前情報もなく映画館で最初に見たときの衝撃は忘れられません。エンディングの水中を漂うイメージは特に、いまだ私の心の底に澱のように留まったままです。 . . . 本文を読む