白い月

白い月

代価

2014-10-22 16:24:01 | 心事ポエム
取るに足らない物音にも

きっと身構えてしまう


ありふれた野の花をさえ

前のめりになって覗き込む


敢えて問わない閉ざされた杜の

無邪気で素朴な大樹の物語が好き


曠野を踏みしめ、吹き渡り

水霜を降らせながら届く白い最終章


記憶にも無い

名前も知らない時の羽根扇


振りかざすべき何ものもない

静かに開く引き換えたわたしの過去



一如

2014-10-16 21:56:31 | 心事ポエム

《もはや あなたは あなたのままではない》


寄りかかり もたれ合い 

絡みながらも輝き続け

此の世の理不尽を知り尽くし

地に落ち朽ち果てるアイビーさながらに

力尽きたあなたを見送る


まぼろしの岸へ遠ざかるあなたが

佇む人々の腕の中に

優しく迎えられて微笑むすがたが見える


わたしは ゆっくりと歩を運ぶあなたしか知らない

あなたが残した 見応えのある生涯も

見え隠れする花ある暮らしも

吹き寄せられ 粉々になって姿を消してしまった。

内意

2014-10-06 17:26:05 | 心事ポエム
ざわめきを鎮めるように    

何処かで 誰かが泣いている。     
                  

故なき確信                

その根拠が判らないから

あなたの思い込みが痛ましい。


ありふれた日常に潜む掟 

明かさぬまま 失なう由縁

押し黙ったままの下弦の月


時差を課され 穴に落ちる消えた時間

増え続ける墓標を前にゆらぐ危うさ


どうしても越えられないなら 

怖れをかかえたまま又歩いていくだけ。