白い月

白い月

老残

2013-06-28 12:57:36 | 心事ポエム
人の世の凋滅の

黄昏どきの道を行く

独り辿る 陽よ 月よ 人よ


気配する一抹の美薫

沈黙の地の嘆き

隠された悲嘆

わたしをおびやかす黒い犬

露わになる乾いたまなざし

万緑の森に迷い込んだ夏鳥

駆け抜けた葬送の黄色い風


もはや

逢うべき人も

異国への旅も

謳う歌も

聴く声も

流す過去も

残す仔細も顛末も無い  


 

夏至

2013-06-21 19:57:51 | 心事ポエム
長い地下トンネルから
吹きくる息吹き
夜毎の月に問いかける

良く眠ったか
よく食べたか
よく笑ったか

腑に落ちない痛み
訝しげな骨の軋み
切り裂かれるわたしの確信

私が育てた訳ではない
月白の合間をかすめながら
傷だらけの石は腎臓が育てた

辻褄合わせの運と不運
小慈 小悲 有情 無常
知っているのは 配剤の妙

都合のよい思い込み
行き違い すれ違いを生みながら
明日を訝しむ 一日花のように

誰も知らない

2013-06-14 15:15:29 | 心事ポエム
死はありふれたこととして
風に 陽に 晒される


拾いあげた寂静の深い穴に
折り合いのつかぬままに投げ落とされた傭兵


持て余した逡巡の庭園
月のない夜の物語りの「終わりの始まり」


蜂も蜘蛛も蛇も
折れた心に添え木が欲しい


境界線をまたいで
細い糸印が走る意図は何?


容赦ない仕儀を慰め 憐れむ
昔の聖職者は天使になる









蔦の家

2013-06-08 08:13:44 | 心事ポエム
遠い雷鳴ー

新緑の杜が

身構えて居る


誰がせきたてるの? 

おまえの飛翔

垂死寸前の風見鶏は今病んでいる


眼であり喉であり腰であり

爪も耳も髪も・・・神も 

ああ 天与の羽根も...翼も


夢見たのは

《蔦の中に窓が在る家》

もはやそれすらも覚束ない