白い月

白い月

終章

2013-12-28 21:04:09 | 心事ポエム
冷えて 星も凍り付いた
やせ細った白い月に今年最後の夜を讃えよう 


昏い物影にも密やかに差し伸べる光の手 

凍った川に迷い込む冬鳥にやさしく息を吹きかけ

在りもしない手で 水色のレースを拡げる


銀色の巻き毛をかきあげてピンでとめる

あなたの起こした乱調の兆し

取り乱したまま 夢見心地のそぞろ歩き 


腕の中から するりと身をかわす 

解き放たれた猫のように

うっすらと けだるい終わりの月


さらさらと

仄暗い彼方へ傾きながら 

ひたすら記憶を遠ざけようとする


すり抜けて逝く陽よ 月よ あなたよ 

何処へ帰る

此の世を浸しつくして消える日々のいとしさよ