10月26日(土)菊池洋子(Pf)
小金井市民交流センター
【曲目】
1.モーツァルト/ロンドニ長調 K.485
2. モーツァルト/ピアノ・ソナタ第10番ハ長調 K.330
3. ドビュッシー/アラベスク第1番ホ長調
4. ラヴェル/水の戯れ
5. ラヴェル/ソナチネ
6. アルベニス/組曲「スペイン」より「タンゴ」
7. ショパン/エチュード 変イ長調 Op.25-1「エオリアンハープ」
8. リスト/愛の夢 第3番変イ長調
9. リスト/コンソレーション第3番 変二長調
10.J.シュトラウス2世/グリュンフェルト編/ウィーンの夜会
【アンコール】
1. ブラームス/ワルツ 変イ長調 Op.39-15
2. プーランク/即興曲第15番「エディット・ピアフを讃えて」
3. モーツァルト/ピアノ・ソナタ第17番変ロ長調 K.570~第3楽章
菊池洋子がモーツァルトへの思いを語ったレコ芸か何かのインタビュー記事を読み、是非実演を聴いてみたいと思っていた。菊池洋子のピアノを聴くのは初めて。会場の小金井市民交流センターは、武蔵小金井の駅前に新しく出来たピアノリサイタルにうってつけの、大き過ぎない響きのいいホール。
前半に置かれたモーツァルトを聴き、モーツァルトの演奏で高い評価を得ているという情報からイメージしていた典雅で幸福感溢れる、いわゆる「モーツァルトらしい」演奏ではなく、とても能動的な攻めの姿勢の演奏だと思った。パリッとした硬質なタッチと音色で、明快に活き活きと弾き進めて行く。大きく音楽の輪郭を捉え、思いきった抑揚を施す。内声部のやり取りもくっきりと描き分け、普段はあまり意識しない音の動きが浮かび上がってちょっとしたサプライズをもたらしたり、リピートや再現部で現れる同じフレーズには装飾を施して常に新鮮な息吹を送り込むなど、即興性のある気転の効いたモーツァルトは、すらりとした長身に長い髪で颯爽と演奏する姿によく似合っている。
後半に並んだ、より新しい時代の小品も、モーツァルトで聴かせたそうしたスケールの大きさや即興性を活かした鮮やかな演奏だった。長年に渡って演奏され、聴かれるうちにこびりついたニオイや手垢やらを一旦キレイに洗い流し、新たな気持ちで曲を再構築しているような新鮮さが、どの曲の演奏からも伝わってきた。
大胆で切れ味がよく、颯爽としている一方で、余りにカラリしていて、香り立つ匂やかさとか、しっとりした詩情といった後に引くものがもう少しあればいいのにな、とも思ったが、アンコール最後で聴かせてくれたモーツァルトで菊池の魅力を再認識した。どの声部も溌剌として楽しげに跳ねて踊っている姿をリアル体験。意思を持った遊び心が全開の愉悦に浸り切り、のめり込んでしまった。それまで抱いていた「理想のモーツァルト」とはまた別のタイプの素晴らしいモーツァルトに出逢えた喜び!菊池さんのモーツァルトをもっと聴きたい!それと、こういうモーツァルトだとベートーベンも聴いてみたくなった。
小金井市民交流センター
【曲目】
1.モーツァルト/ロンドニ長調 K.485
2. モーツァルト/ピアノ・ソナタ第10番ハ長調 K.330
3. ドビュッシー/アラベスク第1番ホ長調
4. ラヴェル/水の戯れ
5. ラヴェル/ソナチネ
6. アルベニス/組曲「スペイン」より「タンゴ」
7. ショパン/エチュード 変イ長調 Op.25-1「エオリアンハープ」
8. リスト/愛の夢 第3番変イ長調
9. リスト/コンソレーション第3番 変二長調
10.J.シュトラウス2世/グリュンフェルト編/ウィーンの夜会
【アンコール】
1. ブラームス/ワルツ 変イ長調 Op.39-15
2. プーランク/即興曲第15番「エディット・ピアフを讃えて」
3. モーツァルト/ピアノ・ソナタ第17番変ロ長調 K.570~第3楽章
菊池洋子がモーツァルトへの思いを語ったレコ芸か何かのインタビュー記事を読み、是非実演を聴いてみたいと思っていた。菊池洋子のピアノを聴くのは初めて。会場の小金井市民交流センターは、武蔵小金井の駅前に新しく出来たピアノリサイタルにうってつけの、大き過ぎない響きのいいホール。
前半に置かれたモーツァルトを聴き、モーツァルトの演奏で高い評価を得ているという情報からイメージしていた典雅で幸福感溢れる、いわゆる「モーツァルトらしい」演奏ではなく、とても能動的な攻めの姿勢の演奏だと思った。パリッとした硬質なタッチと音色で、明快に活き活きと弾き進めて行く。大きく音楽の輪郭を捉え、思いきった抑揚を施す。内声部のやり取りもくっきりと描き分け、普段はあまり意識しない音の動きが浮かび上がってちょっとしたサプライズをもたらしたり、リピートや再現部で現れる同じフレーズには装飾を施して常に新鮮な息吹を送り込むなど、即興性のある気転の効いたモーツァルトは、すらりとした長身に長い髪で颯爽と演奏する姿によく似合っている。
後半に並んだ、より新しい時代の小品も、モーツァルトで聴かせたそうしたスケールの大きさや即興性を活かした鮮やかな演奏だった。長年に渡って演奏され、聴かれるうちにこびりついたニオイや手垢やらを一旦キレイに洗い流し、新たな気持ちで曲を再構築しているような新鮮さが、どの曲の演奏からも伝わってきた。
大胆で切れ味がよく、颯爽としている一方で、余りにカラリしていて、香り立つ匂やかさとか、しっとりした詩情といった後に引くものがもう少しあればいいのにな、とも思ったが、アンコール最後で聴かせてくれたモーツァルトで菊池の魅力を再認識した。どの声部も溌剌として楽しげに跳ねて踊っている姿をリアル体験。意思を持った遊び心が全開の愉悦に浸り切り、のめり込んでしまった。それまで抱いていた「理想のモーツァルト」とはまた別のタイプの素晴らしいモーツァルトに出逢えた喜び!菊池さんのモーツァルトをもっと聴きたい!それと、こういうモーツァルトだとベートーベンも聴いてみたくなった。