4月10日(木)アンサンブル・アンテルコンタンポラン Ⅱ 

~東京・春・音楽祭 2025~
ブーレーズ生誕100年に寄せて
東京文化会館小ホール
【曲目】
1.ブーレーズ/12のノタシオン
2.ブーレーズ/二重の影の対話
3.ブーレーズ/アンシーズ
4.ブーレーズ/アンテーム 2
【出演】
アンサンブル・アンテルコンタンポラン メンバー
Vn:ジャンヌ=マリー・コンケ(4)、カン・ヘスン(4)、ディエゴ・トージ(4)/Cl:マルタン・アダメク(2)/Pf:永野英樹(1)、ディミトリ・ヴァシラキス(3)/
IRCAM (2,4)
エレクトロニクス:オーガスティン・ミュラー/サウンドディフュージョン:ジェレミー・アンリオ
昨夜に続くアンサンブル・アンテルコンタンポランの演奏会の第2夜は、会場を小ホールに移してオール・ブーレーズ・プロ。選ばれた4曲はどれも小編成だが、今夜は、半世紀近くも電子音楽の世界で絶大な役割を担っているIRCAM(イルカム:フランス国立音響音楽研究所)のメンバーが加わり、ブーレーズが手がけたコンピュータを駆使した電子音楽の音響処理を担った。
音響処理が施されたのは「二重の影の対話」と「アンテーム2」の2作品。「二重の影の対話」は、独奏クラリネットの生演奏に、事前に録音されたクラリネットの演奏がシンクロ的に呼応し、生音と録音のどちらもが音響処理で増幅されたり、変調されたり、リバーブがかかったりして、客席を囲むように多方向に配置されたマルチチャンネルスピーカーからの音声が渦巻くように動き、タイトルの通りアダメクの生演奏と、その影武者が対話を交わしていった。音楽は静謐で厳かさも感じられ、四方のスピーカーから聴こえてくる音が、生音のようなリアルさで迫ってきて、何とも不思議な気分に浸った。
「アンテーム2」は、3人のヴァイオリニストがステージに立ち、交替しながら奏でるヴァイオリンの音が「二重の影の対話」同様、録音と共に音響処理される。こちらの音響処理は更にアグレッシブで変化に富み、緊迫した空気に支配され、全く予想もつかない音世界が繰り広げられ、極限状態の体験となった。プレイヤーが3人登場したので、3人によるバトルを期待したが、演奏するのはいつでも一人だけで、デュオやトリオになることはなかったが、最後に3人が同時に弦を弓で叩くコル・レーニョによる一音だけが、プレイヤー同士の音が重なった瞬間だった。一人で演奏することもできそうな曲を3人が交替で演奏するのは、プレイヤーの個性や視覚的な効果を狙ったのかも知れない。
IRCAMによる音響処理は、どちらの曲でも演奏者とまるでリアルにコラボしているような生きた音が駆け巡り、タイミングや呼吸もピタリと合わさって、現実離れした音の饗宴のファンタジー体験となった。
あとの2作品は生音だけのピアノ独奏曲。これを、永野とヴァシラキスの二人のピアニストがそれぞれ演奏した。永野が弾いた「12のノタシオン」は、1945年に作曲されたブーレーズ最初期のピアノ作品で、挑戦的で変化に富んだ曲それぞれの個性を、永野は鋭いタッチで熱く鮮やかに弾き分けた。もう1曲の「アンシーズ」は、よりエモーショナルでアグレッシブな音楽だが、ヴァシラスキは冷静で的確な演奏に徹しているように感じた。


音響を担当したIRCAMの操作卓
東京・春・音楽祭 2025 アンサンブル・アンテルコンタンポラン Ⅰ~ 2025.4.9
東京・春・音楽祭 2024 アンサンブル・アンテルコンタンポラン Ⅱ~ 2024.4.9
東京・春・音楽祭 2024 アンサンブル・アンテルコンタンポラン Ⅰ~ 2024.4.8
サントリーホール サマーフェス2021 ~アンサンブル・アンテルコンタンポラン~ 2021.8.24
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013 ~アンサンブル・アンテルコンタンポラン~ 2013.5.4
ブーレーズ指揮 アンサンブル・アンテルコンタンポラン2~ 1995.5.24 紀尾井ホール
ブーレーズ指揮 アンサンブル・アンテルコンタンポラン1~ 1995.5.23 東京ベイN.K.ホール
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アンサンブル・アンテルコンタンポラン メンバー
Vn:ジャンヌ=マリー・コンケ(4)、カン・ヘスン(4)、ディエゴ・トージ(4)/Cl:マルタン・アダメク(2)/Pf:永野英樹(1)、ディミトリ・ヴァシラキス(3)/
IRCAM (2,4)
エレクトロニクス:オーガスティン・ミュラー/サウンドディフュージョン:ジェレミー・アンリオ
昨夜に続くアンサンブル・アンテルコンタンポランの演奏会の第2夜は、会場を小ホールに移してオール・ブーレーズ・プロ。選ばれた4曲はどれも小編成だが、今夜は、半世紀近くも電子音楽の世界で絶大な役割を担っているIRCAM(イルカム:フランス国立音響音楽研究所)のメンバーが加わり、ブーレーズが手がけたコンピュータを駆使した電子音楽の音響処理を担った。
音響処理が施されたのは「二重の影の対話」と「アンテーム2」の2作品。「二重の影の対話」は、独奏クラリネットの生演奏に、事前に録音されたクラリネットの演奏がシンクロ的に呼応し、生音と録音のどちらもが音響処理で増幅されたり、変調されたり、リバーブがかかったりして、客席を囲むように多方向に配置されたマルチチャンネルスピーカーからの音声が渦巻くように動き、タイトルの通りアダメクの生演奏と、その影武者が対話を交わしていった。音楽は静謐で厳かさも感じられ、四方のスピーカーから聴こえてくる音が、生音のようなリアルさで迫ってきて、何とも不思議な気分に浸った。
「アンテーム2」は、3人のヴァイオリニストがステージに立ち、交替しながら奏でるヴァイオリンの音が「二重の影の対話」同様、録音と共に音響処理される。こちらの音響処理は更にアグレッシブで変化に富み、緊迫した空気に支配され、全く予想もつかない音世界が繰り広げられ、極限状態の体験となった。プレイヤーが3人登場したので、3人によるバトルを期待したが、演奏するのはいつでも一人だけで、デュオやトリオになることはなかったが、最後に3人が同時に弦を弓で叩くコル・レーニョによる一音だけが、プレイヤー同士の音が重なった瞬間だった。一人で演奏することもできそうな曲を3人が交替で演奏するのは、プレイヤーの個性や視覚的な効果を狙ったのかも知れない。
IRCAMによる音響処理は、どちらの曲でも演奏者とまるでリアルにコラボしているような生きた音が駆け巡り、タイミングや呼吸もピタリと合わさって、現実離れした音の饗宴のファンタジー体験となった。
あとの2作品は生音だけのピアノ独奏曲。これを、永野とヴァシラキスの二人のピアニストがそれぞれ演奏した。永野が弾いた「12のノタシオン」は、1945年に作曲されたブーレーズ最初期のピアノ作品で、挑戦的で変化に富んだ曲それぞれの個性を、永野は鋭いタッチで熱く鮮やかに弾き分けた。もう1曲の「アンシーズ」は、よりエモーショナルでアグレッシブな音楽だが、ヴァシラスキは冷静で的確な演奏に徹しているように感じた。


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