6月4日(水)準・メルクル 指揮 台湾フィルハーモニック
東京オペラシティ コンサートホール タケミツメモリアル
【曲目】
1.タイラン・シァオ[蕭泰然]/フォルモサからの天使
2.ブルッフ/二重協奏曲ホ短調 Op.88

(アンコール)
♪ モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲ト長調 K.423~第3楽章

Vn:ポール・ホワン/Vla:ファイト・ヘルテンシュタイン
3.マーラー:交響曲 第4番ト長調
S:宮地江奈

一昨年に続いて、音楽監督の準・メルクルと共に台湾から来日した台湾フィルハーモニックの公演を聴いた。今回も独特の華やいだ雰囲気に包まれた会場で聴いた台湾フィルは、1曲目、台湾人作曲家シァオ・タイランの「フォルモサからの天使」からその実力を大いに発揮した。弦の暖かく柔らかなハーモニーは滑らかで美しく、それに管が唱和したオケ全体の響きの豊かさは特筆に値する。優しいハートが伝わって来る穏やかな曲調が収まり、新たな始まりを予感させたところで音楽はおしまい。もう少し先が聴きたい気分の短い曲は、前回聴いた来日公演ではアンコールで演奏されたものだった。
2人のソリストを迎えたブルッフのダブルコンチェルトは、ソリスト達の演奏が見事だった。ヴァイオリンのポール・ホワンは、豊潤で艶やかな美音でたっぷりとした歌を奏で、「美味しい演奏」を聴かせてくれた。ヴィオラは、出演予定だった今井信子が体調不良ということで、代わってファイト・ヘルテンシュタインが担当した。いかにもヴィオラらしい懐の深さを感じる太い音が心の琴線に触れた。歌いまわしにも味わいがあり、語りも魅力的だった。メルクル指揮台湾フィルの温かなハーモニーとともに、馴染みがなかったブルッフの作品を大いに楽しむことが出来た。
後半はマーラー。ここでもメルクル/台湾フィルは熱いハートの伝わる演奏を届けてくれた。全体をスマートに整えながら細部の表現は陰影に富み、この音楽の内に秘められた多面的な心理描写が素直に伝わってくる。温かみがありながらくっきりした響きのアンサンブルも素晴らしく、各プレイヤーの技量も優れている。随所で活躍するホルンも見事だし、第2楽章で「死の舞踏」を奏でるコンマスのリアルなソロにも心惹かれた。
第1楽章終盤の高音で奏でる弦楽合奏の透明な美しさは極上もの。これを聴いて第3楽章への期待が益々高まったが、アンサンブルの純度としては第1楽章の方が上だったか。第4楽章でソロを歌った宮地江奈は瑞々しい声による清々しい歌唱が好印象。冒頭では喜ばしい陽気な気分が伝わって来た一方で、聖と俗の切り替えなどはもう少し大胆に表現してもいいと思った。また、音楽の素晴らしさをしみじみ歌い上げる最後の部分ではもっと大きな包容力が欲しいとも思った。
メルクルと台湾フィルは雄弁に音楽を語っていたが、この楽章は歌との細やかで深いやり取りがあってその真価が現れると感じた。とは言え、台湾フィルがアジアでも指折りのオケであることを大いに納得できる演奏会だった。
台湾フィルハーモニック日本公演 2023(メルクル指揮) 2023.5.8 東京オペラシティ
東京二期会オペラ劇場「イドメネオ」(メルクル指揮) 2014.9.12 新国立劇場
メルクル指揮 NHK交響楽団 2013.2.21 サントリーホール
優しい台湾
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S:宮地江奈

一昨年に続いて、音楽監督の準・メルクルと共に台湾から来日した台湾フィルハーモニックの公演を聴いた。今回も独特の華やいだ雰囲気に包まれた会場で聴いた台湾フィルは、1曲目、台湾人作曲家シァオ・タイランの「フォルモサからの天使」からその実力を大いに発揮した。弦の暖かく柔らかなハーモニーは滑らかで美しく、それに管が唱和したオケ全体の響きの豊かさは特筆に値する。優しいハートが伝わって来る穏やかな曲調が収まり、新たな始まりを予感させたところで音楽はおしまい。もう少し先が聴きたい気分の短い曲は、前回聴いた来日公演ではアンコールで演奏されたものだった。
2人のソリストを迎えたブルッフのダブルコンチェルトは、ソリスト達の演奏が見事だった。ヴァイオリンのポール・ホワンは、豊潤で艶やかな美音でたっぷりとした歌を奏で、「美味しい演奏」を聴かせてくれた。ヴィオラは、出演予定だった今井信子が体調不良ということで、代わってファイト・ヘルテンシュタインが担当した。いかにもヴィオラらしい懐の深さを感じる太い音が心の琴線に触れた。歌いまわしにも味わいがあり、語りも魅力的だった。メルクル指揮台湾フィルの温かなハーモニーとともに、馴染みがなかったブルッフの作品を大いに楽しむことが出来た。
後半はマーラー。ここでもメルクル/台湾フィルは熱いハートの伝わる演奏を届けてくれた。全体をスマートに整えながら細部の表現は陰影に富み、この音楽の内に秘められた多面的な心理描写が素直に伝わってくる。温かみがありながらくっきりした響きのアンサンブルも素晴らしく、各プレイヤーの技量も優れている。随所で活躍するホルンも見事だし、第2楽章で「死の舞踏」を奏でるコンマスのリアルなソロにも心惹かれた。
第1楽章終盤の高音で奏でる弦楽合奏の透明な美しさは極上もの。これを聴いて第3楽章への期待が益々高まったが、アンサンブルの純度としては第1楽章の方が上だったか。第4楽章でソロを歌った宮地江奈は瑞々しい声による清々しい歌唱が好印象。冒頭では喜ばしい陽気な気分が伝わって来た一方で、聖と俗の切り替えなどはもう少し大胆に表現してもいいと思った。また、音楽の素晴らしさをしみじみ歌い上げる最後の部分ではもっと大きな包容力が欲しいとも思った。
メルクルと台湾フィルは雄弁に音楽を語っていたが、この楽章は歌との細やかで深いやり取りがあってその真価が現れると感じた。とは言え、台湾フィルがアジアでも指折りのオケであることを大いに納得できる演奏会だった。
台湾フィルハーモニック日本公演 2023(メルクル指揮) 2023.5.8 東京オペラシティ
東京二期会オペラ劇場「イドメネオ」(メルクル指揮) 2014.9.12 新国立劇場
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