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国内人権機構:人権の促進と擁護のための国内機構の設立と強化に関するハンドブック2

2005-05-21 00:00:00 | 人権擁護法案
※「国内人権機構:人権の促進と擁護のための国内機構の設立と強化に関するハンドブック」について《外務省HP》

※「諸外国の国内人権機構等一覧」《外務省HP》

※「各国の国内人権機関の設置状況一覧」《人権フォーラム21HP》

(4)  調査の実施
  (a)  調査権限
      ・  効果的な調査を行うためには,国内機構は,訓練されたスタッフや十分な財政的補償を含んだ,自由に使える一定の人的・物的資源を有しなくてはならない。
    ・  いかなる状況においても,国内機構は,当該申立てが事実か否か,そうだとすれば誰に責任があるのかについて明らかにする法的能力が与えられなくてはならない。
※問題はこの「法的能力」です。どこまでの権限を与えるのか。外務省HPの「諸外国の国内人権機構等一覧」によれば、英米法系の諸国では、強制権限を付与する場合、提出命令及びその違反に罰則を科すにとどめ、立ち入り権限を与えず、しかも、強制権限を行使する場合は裁判所の令状を必要とするというかたちで定めることが多いようです。一方、欧州大陸法系の諸国では、例えばフランスは個別の人権救済事案には扱わないようですし、ドイツには未だこの種の機関が設置されていないようで、概して「人権委員会」による個別救済には消極的のようです
※その辺りは人権フォーラム21のHPでも確認できます。この表の「反差別法・根拠法など」という項目を見ればわかりますが、「個別救済」を認める英米法諸国にあっても、「人権委員会」の扱うものは人種差別関係の法律などに限られ制限的です。
※これに対して、日本の「人権擁護法案」では、「人権侵害一般」につき「人権委員会」に令状なしの立ち入り権限を認め、2万人の人権擁護委員を置き、地域社会での個別の人権侵害に対して積極的に介入することとしています。外務省作成の一覧を見る限り、パリ原則に基づき「人権委員会」を設置して諸国では、パリ原則の原則通り「議会・政府への勧告」が「人権委員会」の中心的責務となっているようです。日本の「人権擁護法案」がパリ原則本来の姿から相当距離のあるものになっていることが、このことからもわかります。
※人権フォーラム21のHPはなかなか有用です。なぜなら、彼らは自分達に有利な情報は網羅して掲載しているはずだからです。彼らのHPを見ていて、ドイツではいまだ「人権委員会」のようなものは設置されていないのだろうとわかりますし、スペインはじめ他の欧州諸国でもまだ設置されていない国が多いらしいこともわかります。また、「人権擁護法案」のような立ち入り権限まで認める「人権委員会」がインド等を除いて他に類を見ないこともわかります。もし、そういう強力な「人権委員会」の例が他国にあるなら積極的に彼らのHPに載せているはずだからです。彼らのHPに載っていないところから、そのような国はほとんどないことがわかるのです。(続く)