たしたりひいたり

+-2 gallery (プラマイツギャラリー)
の店主が綴る日々の出来事、コラム

合席

2006年01月20日 | たしたりひいたり
毎月18日と28日は名古屋の大須で骨董市があり、定休日と重なることなど
なかなかないことなので、先日出掛けていった。
一時間ほど見てまわったが、グッとくるものなし。寒いし、腹も減ったし。
蕎麦で熱燗でも一杯やろうと歩いていると、味噌煮込みうどんの看板。
通り過ぎたものの、なぜか、ゴクッと喉がなり店へ。

4人がけのテーブルに着くとすぐ「合席をお願いします」の声

前に座られたのは80はとうに過ぎておられる感じのご夫婦。
ご主人は白いあごひげが10cmほどもあり、一度お会いしたら
忘れんな~ って感じで

双方、食事が終わろうとする頃、「お兄さん」と呼ばれる。
お兄さん・・・なあ、でも相手の方から見たらおじさんとは呼ばれんしな

「はい なんでしょう?」
「お兄さん、何年生まれ?」
「は?」

話を伺うと息子さんを何年か前に亡くされたようで
「息子が死んで、一年くらいはポーっとしてしもて・・・」

隣の奥さんの目が潤む

なんて返したらよいのだろう

奥さんが眼鏡を取り目頭をハンカチで押さえる

しばし、無言 食事が済んだけど立ち上がれなくて

お二人が立ち上がるのを待って、「お気を付けて」とだけ

ふいにご主人が問う 「ご両親は健在?」

「はい」とだけ答える。

仲の良い老夫婦、おばあさんの背中をチラと見てお元気で、と思う。

またいつか、あの店で合席したいお二人だった。


コメント
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