PLANKTON NEWS and REPORT

プランクトンのアーティスト・ニュース&ツアー・レポート

これがハリシュの蛇ダンス

2008-10-22 | 東欧/ロマ/ジプシー音楽
昨日渋谷で行われたサラーム海上さんのトークショーにゲスト出演したクィーン・ハリシュ。
サラームさんがインドで撮ってきた映像を見ながら、ラジャスタンの音楽、ダンスについてどんどん話が弾み、予定時間を大幅にオーバー。

そのトークの中で出てきた、大蛇とのダンスの写真がこれです。
今年アメリカ・ツアー中、ジプシーのダンサーと共演したときに、一緒にその蛇とダンスしたとのこと。前日に初めて(その蛇を)見た時はすごく怖かったのが、翌日、本番直前に「急にやれる」というひらめきを得、やってみたら上手くいったとのこと。
これが本当の猛獣使い!!

ファンファーレ・チォカリーア+クイーン・ハリシュ in いわき

2008-10-22 | 東欧/ロマ/ジプシー音楽
先日の福島県、いわきアリオスでのファンファーレ・チョカリーア公演と関連イベントの様子を、ライターの佐藤英輔さんがブログでレポートしてくれました!生き生きした様子が伝わって来ます!


佐藤英輔のライヴ三昧
ファンファーレ・チョカリーア+クイーン・ハリシュ
2008年10月13日

 秋晴れの夕方、広い緑豊かな公園のなかを沢山のブラス奏者たちがぶんちゃか音を出して練り歩いたり、止まって演奏したり。それを沢山の人たちが後を追い、囲む。音をききつけて集まってくる人たちもいて、まさに<音楽の輪>が生き物のように広がっていく。みんな笑顔で、思い思いに身体を揺らしたり、手拍子したり。いやあ、見事に祝福された休日の一コマだったナ。

 その中心にいたのは、ルーマニアの野放しジプシー・ブラス集団(2004年8月28日、2005年10月15日)。11人編成の彼ら(4人のチューバ、3人のトランペット、2人のサックス、二人の打楽器)にプラスしてルーマニア人女性ダンサーがいつも同行するが、今回はさらにインド人女形ダンサーのクイーン・ハリシュ(オフの時は、小綺麗にまとめた痩身ハンサム君。妻子アリとか)が同行。ジプシーの起源はインドにあり……、両者は映画『ジプシー・キャラバン』をきっかけに欧州を一緒にいろいろとツアーしている関係にある。

 いわき芸術文化交流館アリオス、大ホール。今年開いたという、いろんな関連文化施設を持つ大規模な建物のなかにある立派なホール。その横には緑豊かな大きな公園もある。で、公演前にジプシー・ミュージック講座やジプシー・ダンス講座などいろんなプリ・イヴェントが催され、その後に出演者たちに市民有志ブラス奏者たちも合流し、冒頭に書いたような、華やかで歓びに満ちたパレードがアリオス~公園間で行われたのだ。

 そして、本編たる公演。過去とそんなに変わりがあるとは思えないが、けっこうフレッシュに感じる部分はあったな。ホールの音響がいいためか、曲調や演奏がより豪気に闊達に聞こえた。あ、けっこう巧みなアレンジがあるな、とも。それから、前もこんなに歌パートが目だっていたっけ? ようは、起伏があり、その奥で別の価値観や文化があることを彼らは雄弁に語りきっていた。ステージがうわっていうぐらい広くて(オ-ケストラ・ピットもステージにしたんだろうな)、チョカリーアの面々はステージの前のほうを大幅に開けて位置していたが、なるほどそれによりときどき出てきて演奏に華を添えるダンサー(二人は別に出てきたり、一緒に踊ったり)は目一杯思うままに踊ることが出来たよう。とくに妖艶な出で立ちのハリシェのくるくると回るダンスは圧巻、彼はチィカリーア公演とは別に各所で単独でワークショップを持つようだ。

 公演は休憩を挟む2部構成にて。エキゾな感覚とエネルギーが渦巻く演奏にはすぐに手拍子が起こり、客扱いのフランクさもあり、2部の途中からは多くの人が立ち上がる。まさに、音楽やダンスを媒介にする交流がそこにはあったと思えた。とともに、なんか豊かさがあるとも思えました。そして、例によってチョカリーアの面々は公演後はロビーでさらに無礼講的にパフォーマンス。いくら吹いてもあきたらない、疲弊しない……。彼らの事を知ろうと知るまいと、来た人みんなが楽しみ、何かを得たのではないか。
 
 ご一行は翌日に小学校への出前演奏を敢行、それも覗かせていただく。体育館に全校生徒500人が集まるなか、彼らはどこでもオイラはオイラという感じで得意ワザを披露。彼らの成りたちなども的確に説明され、一人一人紹介されるとともにそれぞれの持ち楽器の音も示される。チューバ系楽器はソロだとこんな音なのか、それはぼくにとっても有意義だった。ダンスも分りやすくレクチャーされ、そのあとの演奏では子供たちも踊る。と、いうか一緒に大騒ぎ。なんか、とってもいい感じ。生徒たちに握手攻めにあうチョカリーアの面々も写真を一緒に撮ったりして嬉しそう。この催し、彼らにとっても印象深いものになったのではないだろうか。もちろん、子供たちには余計に。世界は広く、いろんな人がいて、いろんな事があるという事実を肌で実感できたはずだし、管楽器やダンスに対する興味が出た人も少なくなかったのではないか。今の子供たち、いいナ。

佐藤英輔のライヴ三昧 ファンファーレ・チョカリーア+クイーン・ハリシュ