チャネラーといわれる方々が語る物語には「どれだけの新しい情報が含まれているのか、その情報にどれほどの信憑性がるのか」が非常に疑問です。
そうして、そんな事にはお構いなしで単に目先の新しさ、それは古くからある内容を新しいコトバで言い換えたに過ぎない、そうしてえてして「科学的なコトバを調味料として使う事（ie ワームホールとか）」でストーリーに信憑性を持たせようとする、当方の目から見ますと「まことにせこいやり方としかみえないのですが、、、」その様な話を何度でも生産する生産者と、それをまた何度でも飽きることなく消費していく消費者の存在と言うものが見えてきます。
そうしてチャネラー達が語る物語は「物質文明は低次のもので精神文明こそ求めるべき高次元のもの」、そして「資本主義経済は崩壊する運命だ」などと言いたてますが（注１）、その様なメッセージを受け取り賛同する読者、あるいは視聴者達は「自分たちがやっている行為そのものが大量生産された情報の消費行動である」という事にはまるで無頓着、無自覚であるように見えます。
しかし実際にはその様な消費行動こそが「現在の資本主義経済を支えている、まさにそのもの」なのです。
そしてその様なありさまは「国連で環境保護を訴えながらステーキをぱくついて批判されたどこかの国の環境大臣」と重なって見えるのです。
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さてそう言う訳で、前回の「地球の科学をなめんなよ」に引き続き以下「アルクトゥルス人より地球人へ」を題材とした辛口の書評となりますので、ご注意願います。
（トムさんのファンである方やアルクトゥルス人大好き、と言われる方はこの辺りでこのページを離れる事をお勧め致します。）
さて同書７７ページから始めましょう。
『あなた方がナザレのイエスとして知る存在です。
私はアルクトゥルス人である彼をよく知っています。』
↑
すでに１９７０年代には語られていた「キリスト宇宙人説」そのままの蒸し返しです。
そしてこの本にはその当時に語られていた情報に加わる様な、新しい情報はどこにも書かれていません。
つぎは７９ページ「松果体について」の記述です。
『あなたがたの頭部の中心に、松果体と言う知覚器官があります。
知覚器官といっても五感による知覚ではありません。
それは別の意識次元からの情報を知覚するための器官です。』
↑
また古い議論を引っ張り出してきましたね。
ヨガでいう６番目のチャクラ、アージュニャー・チャクラ（ājñā-cakra）と呼ばれ、眉間にあるとされますが、それと物理的な存在としての脳内の松果体と言う器官の関連性は俗論としては昔から人気があるものです。
そしてWiki「松果体」の「哲学との関連」項目によれば
『松果体は、ヨーガにおける6番目のチャクラ（アージュニャーまたは第3の目）、または7番目のチャクラ（サハスラーラ）と結び付けられることもある。
松果体は眠っている器官であり、目覚めるとテレパシーが使えるようになると信じる人もいる。』
あるいは
『デカルトはこの世界には物質と精神（＝魂）という根本的に異なる2つの実体があるとし（現代の哲学者たちの間ではこうした考え方は実体二元論と呼ばれている）、その両者が松果体を通じて相互作用するとした。』
次は８６～８８ページに展開されている「人類は宇宙人によって作られた」という「宇宙人の遺伝子操作による人類創造説」。
まあこれもすでに１９７０年代には登場していたものです。
但し、「多くの宇宙人たちがそのようにして地球人のDNAを操作した」という記述は、当方にとっては目新しいものでした。
そしてその中に出てくる「アヌンナキ」と「エフェメラル」の話はファンタジーすぎてどうあつかっていいのやら、トムさんの想像力には脱帽するばかりであります。
加えてその中に出てくる次の文章
『・・・その結果、銀河を超えたさまざまなDNAが人間の遺伝子プールに投じられたのです。
地球人類が超銀河的な貴族だと言ったのはそのためです。・・・』
に「ウエルカム！」との意見を表明する読者の方がいる事にも驚くばかりであります。
「超銀河的な貴族」というコトバに自尊心をくすぐられたのでしょうか？
「おまえらは品種改良の結果生まれた雑種だよ」と言われているのとおなじではないのですか？
そんなことを喜ぶ方がおられるとは、当方の想像をはるかに超えております。
そして次は１９２ページの光についての記述です。
『どんな光の周波数にも、それぞれに役割や使い方があります。
しかしながら「純粋な白色」つまり色がないがゆえに「透明な光」と呼ばれるものは、もっとも高みに上昇した意識の本源的な波動の現れなのです。
・・・・・
ダイヤモンドはあなた方の次元でもっとも透明に近い色を発している貴石なのです。』
↑
まずは「白色という光は存在しない」という所から始めましょうか。
「いや、白という色はあるだろう」とあなたは言われます。
そうですね、我々が目で見る「白色」は実は「合成された光の色」です。
Wiki可視光線に太陽光のスペクトルが載っています。
太陽光（白色光）をプリズムで分解すると光の周波数別ではこうなります、というものです。
そして周波数別に分けられた光の中には「白色という色はない」のですよ。
それは言ってしまえば「人の目が見るー＞人の脳が見る錯覚」であります。
そうして「色がないがゆえに」と言うのを「人の目の可視領域から外れた」と解釈するならば、ほとんどの周波数の電磁波（＝光）はアルクトゥルス人がいうところの「透明な光」という事になってしまいます。
次は２０７ページの記述についてです。
『十分な数の個人が世界の見方を変え、生き方を変えた時、（地球人類の：引用注）意識の革命が起こります。』
↑
さて、この本の中で唯一同意できる考え方がある、としたらこの部分だけでしょうか。
そうしてその様な見方はすでに地球上の多くの人によって共有されているものでありましょう。
我々はアルクトゥルスの方々の指摘を待つまでもなく、思考＝想像＝イメージの世界に多くの時間を取られて、その中で暮らしています。
そしてそれは常識であったり社会通念であったり信用関係であったりしている訳です。
その一番分かりやすい例は「お金」でありましょう。
お金は「銀行口座の中にある」と我々は認識していますが、実態はもはやコンピュータのメモリーの中にある一連の数字でしかありません。
しかしながらそれで社会は何の問題もなく動いています。
それは地球上に暮らす、銀行と言うものを認識しているすべての人類の「銀行に対する信頼」から成立している、一見強固にみえる、それでいて実は「人の心の中にあるシステム」なのであります。
さてそのようでありますから、「人々の認識、物の見方、世界の見方」というものは大変な力を持っています。
しかしながらこの「人の認識をかえる、意識の変化」は単に本を読んだり瞑想をしたりと、その様な事だけで達成できるものとは思えません。
実際に我々が好んで行っている行動様式を変える事が可能なのか、という事が基本的な問題となります。
それは「どこぞの国の環境大臣の様に口では環境保全といいながら実は大好きな牛肉のステーキを喜んで食べる」という現実、そのような我々の実際の行動に関係したものであるからです。
・・・・・
少々話が脱線したようですので、このあたりで「チャネラー達の話」に戻りましょう。
前回の「地球の科学をなめんなよ」と今回、上記で展開してきたような内容とを合わせて考えますと、「チャネラーのもたらす情報というものは、そのチャネラーの世界観やそれまでにその方が学習し記憶した知識にとても影響されたものである」という事ができそうです。
そうして世の中にはこのアルクトゥルス人以外にもすでに多くの異星人とのチャネリングの記録が出回っています。
↓
宇宙人意識高い系の集い（http://archive.fo/KcPeg）
「ユングは知っていた・UFO・宇宙人・シンクロニシティの真相」（http://archive.fo/PCx23）（注２）
さてこのような状況は「チャネラーが変わればそこに登場する宇宙人も変わり、そこで展開される物語も変わる」という事であり、いくらでも新しい物語がそこから誕生する事が期待される、という事になります。
そうしてこれは本当に現代と言う時代に対応したもの、人類の歴史で初めて登場してきた「宇宙人量産時代の始まり」と言えそうです。
そしてその様なやり方、意識的にか無意識的にかはチャネラーによりましょうが、「自分の中にある思想や世界観を宇宙人の口を借りて語らせるという手法」はアダムスキー氏が最初に始めたものであると、その様に認識しております。（注３）
注１
「資本主義経済は崩壊する運命だ」というセンテンス、かつては「史的唯物史観」でしたっけ、一部の学生の間で大流行だった事を思い出します。
それは「資本主義の崩壊は歴史的な必然である」と論じるものであったと記憶しています。
そうしてそれが「プロレタリア革命に結びつく」そんな話だったかと思います。
注２
上記で取り上げさせていただいたHP,ブログ等の記事につきましてはあくまで資料として「ご参考までに」ということであって、「費用が発生するステージにいく事をお勧めするものではない」という事をご了承ねがいます。
注３
異世界よりの召喚儀礼について
かつてからあるオーソドックスな召喚儀礼は「この世に霊的な存在を呼び出す」というものでした。
それは亡くなった方の霊であるとか、あるいはそれ以外の善、あるいは悪の象徴である霊的な存在とか、その様なものです。
一方で今流行しているのは、ファンタジーあるいはゲームの世界にこちら側の人間が召喚される、つまりこれは従来からの見方で言えば「逆召喚になる」のですが、そのような物語がアニメーションやらマンガ、ライトノベルズでは多く語られています。
さてそのような観点から見ますと「宇宙人大量チャネリングという状況」は従来からある召喚儀礼の延長線上にあるものである、という事がわかります。
その中で今の時代に至りて新しい状況としては「召喚される対象が宇宙エリアに広がった」とその様にいう事ができそうです。
しかしながらやっている事といえば従来から変わらず「地上にない存在をこの世に呼び出す」とそういう事であります。
注４
星の世界よりの転生について
従来からの輪廻転生と言うもの空間的な広がりはせいぜいが地球と月ぐらいの範囲に限定されていました。
しかしながらもやは現代に至りて転生の範囲は少なくとも天の川銀河系ぐらいの大きさにはなった模様です。
そして地球よりも進んでいると考えられる星からの地球への転生者は現世では高く評価されている様です。
そうしてそれらの転生者はスターシードとかライトワーカーとかよばれ、地球のアセンションという「高貴な使命」を手助けしているのだそうです。
しかしながら死後にそれらの星に転生したい、と言う声はほとんど聞かれないのはなぜでしょうか？
ほとんどの方は「次の転生先も地球が良い」と考えておられる様であります。
・・・
まあそれはそれとして、そう言う訳でこれもまた現代と言う時代が作り出した新たな流行、従来からある輪廻転生思想を超えた新たなものの誕生である様に思えます。
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