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plainriver music: yuichi hirakawa, drummer in new york city

ニューヨークで暮らすドラマー、Yuichi Hirakawaのブログ

黄色の上着という名の楽団

2006年09月09日 | 音楽
先日友人に連れられ、ブルーノート東京へ。もう20数年間も演奏活動を続けているイエロージャケッツというバンドを聴きに行った。

4人のアメリカ西海岸を拠点とするミュージシャンで編成されたこのバンドが奏でる音楽は、長い間フュージョン好きに人気がある。楽器構成はサックス(時々電気サックス)、各種キーボード、電気ベース、ドラムス。

イエロージャケッツを一聴すると、おおよそ西海岸風の爽やかなインストルメンタルものだが、実は変拍子を取り入れたり、技巧的に高度な編曲の曲が少なくない。こういう曲は簡単には演奏できない。優秀なメンバー同士の息が合ったバンドでない限り、難しい曲を簡単そうには聴かせられない。聴く側が困難に感じる時、大抵の場合演奏者がその曲をよく理解していない。要するに消化不良ですね。

この消化不良の症状はアレンジに表れることも多い。例えば既存の曲を異なるアレンジで演奏する場合。雰囲気を変えるためによく原曲とは違うリズムにする。ジャズの曲をラテンリズムで、とかシャンソンをスイング風で、など。しかし取り入れるリズムが世界のどの地域から生まれて、どんな歴史的背景をもっておるか、てな部分の基本的なところを理解していないと、トンチンカンな曲になる。またリズムだけでなく、やたらと原曲とは違うキーにしてみたり。それ自体悪い事ではない。またボーカリストが自分の声域に合わない場合移調はやむを得ない。ただ、既に存在する曲を演奏する前によく消化してね、と言いたいのです。

一例として、レゲエには長い間奴隷として苦しめられて来たジャマイカの人達の想いが詰まっている。巷には、それを知らずにただ演奏する曲をゆったりとした感じにしたいとか、いつもやってるこの曲、たまには違うリズムでやってみるべぇ、なんていう上っ面を撫でただけにしか聴こえないものが存在する。

なんだか話しの逸れ方が脇道なんてものでなくなってしまったので元に戻すが、一人のミュージシャンとして僕はイエロージャケットを尊敬している。それは、殆ど自作曲だけを演奏するインストバンドとして20数年も続けているから。今の音業界でこんなバンドはとても少ない。今日まで続けていられるのは、「これがイエロージャケッツ!」という樹木で言えば幹の部分がしっかりしているから。そして同じ曲を何度も何度も演奏するが、頻繁にアレンジを変えているから本人達も聴き手も飽きない。アメリカ人のバンドだけど、日本語の格言「継続は力なり」を体現している。

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