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plainriver music: yuichi hirakawa, drummer in new york city

ニューヨークで暮らすドラマー、Yuichi Hirakawaのブログ

ライブのはしご

2005年09月12日 | 音楽
夜のギグが無くて、聴きたい!と思わせるライブが同じ夜に3つもあって、気力体力共に充実していた先日、一晩でライブを3軒もはしごした。ギタリストのラッセルマローン、ジョンスコフィールド、そしてテナーサックスのマークターナーという、それぞれ個性的なステージをものの6時間以内に聴きまくるというのは貴重な体験でした。

最初のラッセルマローンカルテットは、どジャズな演奏スタイルでオリジナルやR&Bのアイズリーブラザーズの曲を披露。伝統度とポピュラー度とのバランスが素晴らしく、お客さんからは"I love you!"というラブコールが。ただ残念だったのは音楽とは関係ないのだが、そのお店の食事。前回はトレードマークのバーベキューがとても美味しかったのだが、今回はパサつきが酷く、オリジナルのバーベキューソースもイマイチだった。

お次は常に「今時」のギタリスであり続けるジョンスコ率いるクインテットが送る、故レイチャールズの名曲の数々。どんな編成でも自分のカラーを発揮する彼のステージは、レイチャールズが持っていたゴスペルやリズムアンドブルース、ブルースという要素にラテンやファンクのリズムを混ぜた独自のものだった。セット中最も独自だったのは曲中にジョンスコ作のファンク調の曲を数分間に渡って挿入した時かもしれない。その他にもメジャーブルースをマイナーに変えるなど、様々な工夫がなされていた。

最後はテナーサックスの名手マークターナーのコードレストリオ。サックス、ベース、ドラムスという編成だが一曲目から最後の曲まで、幾層にも重なった豊かなサウンドが響く。単音楽器のサックスを、コードの構成音を素早く正確にアルペジオのように吹けるテクニックと耳とでメロディーと伴奏両方を自分一人でやってしまうマークターナー。ベースのジョンバーグはアコースティックならではのリッチな音色で適時適所に二音或は三音同時弾きをして厚みのあるバンドのサウンド造りに貢献していた。ドラムのエリックハーランドは、もう、「表現力の塊」!ドラムソロは、ドラムやシンバルからの音が何かの形になって見えるんぢぁないかというくらい、クリアでパワフルで美しかった。地下ビリヤード場(卓球台付き)の一室であるFat Cat (Smallsの姉妹店)の、寄せ集めの中古カウチの一つに埋もれるように座って聴いたこのライブは、ニューヨークのアンダーグランドジャズシーンそのものだ。

普段ライブも映画もはしごってあまりしないのだけれど、自分に気力がありさえすればこういうのも有りかな、と思った。こんな滅多にしない遊びに、3日間のNY滞在最終日に付き合ってくれたKさん、どうもありがとう。これに懲りずにまたNYで刺激たっぷりの音楽を聴きにきて下さい。その時はお腹の方の刺激、99¢ホットドッグもお忘れなく。