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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
バナイランは、龍先生の右手を両手で挟んだ。
これは、後から聞いた話だが、骨ばかりで脂気のない感触に、
これはほっていても、そう長くは生きられないと感じたそうだ。
「君たちは、すべて知っているのだね。じゃ、打ち明けよう。
遺書も書き終わった。最後の小説も書き上げた。もう、僕は
この世に用はないんだよ。トイレの後、睡眠薬を飲もうと
思っているのだ。いくら、君たちといえども、この僕を止める
ことはできない。僕自身だって、もうどうにも出来ないんだ。
明日になれば、本当に気が狂ってしまうかもしれない。
そういう姿を見せたくはないんだ。僕は、僕の最後の人生ぐらい
自由にしてみたい。生まれて初めて、そういうことが出来るんだよ。
止めないで欲しい。心よく僕を見届けて欲しい」
つづく