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絵じゃないかぐるーぷ
バナイランは、姫の報告を聞いて、彼の腹案を打ち明けました。前々から言うと、マース・ブラックに伝わり妨害されるからと黙っていたそうであります。この場に及んでは、あまりいい代替案も無かったものですから、みんな彼のアイデァに乗ることになりました
この後は、バナイランの指揮下に入ることになりました。以下、彼の指図のもとに行なわれた龍先生お救い作戦の実況中継でもあります。
キヨヒメは、大蛇に変身した。顔は、龍そっくりであるが、ヒゲはない。目は、真っ赤なホウズキのようであり、身体は緋鯉のようにカラフルであった。数十色のイルネネーションつきのサービスまでしてくれる。さすがに迫力満点。
「むーみぃ、レッツ・ゴー!」
紅蓮の炎を吐き散らしながら、戦いに赴いた。むーみぃ姫も、善魂の生霊に戻り、後に続く。たちまちにして、黒雲には、稲光が四方八方から飛びかい、雨風が強くなった。しかし、地上からは彼らの戦いは何一つ見えなかった。マース・ブラックの黒雲が、下の方の層で幻覚を与えているのだろう。
もう24日の日曜がやってきていた。龍はんが、睡眠薬を飲むのは、午前1時半すぎである。早く説得にゆかなければならない。バナイランは、あくまでも自殺を阻止する作戦を立てたのだ。
最近では、芋粥作りも名人わざの域に達しているイモンガーが、睡眠薬に似せたある画期的な丸薬を開発した。この薬を飲むと肉体と精神の分離が可能になり、創作の世界でも生き続けられるという。睡眠薬の一部に、この丸薬をまぜこむのが、ゴキオーラの役割になっている。
バナイランと下ピーとが、龍先生に直接説得に行くというので、黒雲バリヤー外の空き地に、タイタイが着陸した。キヨヒメたちの死闘が、覗き窓から飛び込んできていた。
マース・ブラックは、龍先生が日頃から死ぬ死ぬと口にするので、その度に超天才のエネルギーを受けて強大になるという。彼の力を弱めるには、龍先生が死なないぞと30回も唱えれば済むということだ。バナイランたちの目的は、龍先生に死なないぞと唱えてもらい、睡眠薬を致死量手前で飲むことを止めてもらうことであった。
二人は、我鬼窟へと急いだ。四ツ目垣のすき間から、離れの8畳の書斎へと忍びこんでいった。二人にとっては、なつかしい所である。新築したばかりの、この家で二人とも、龍先生にこの世に送り出してもらったのだ。増築したとはいえ、見覚えあるものも多かった。虫の音が、止まる。空には、天の川がサラサラと流れているようだった。二人は、渡り廊下の奥にあるトイレの近くの庭で待った。龍先生は、寝る前には必ずトイレにやってくる。睡眠薬を飲むのは、トイレの後と決まっていた。
「龍センセー」 バナイランのなつかし気あふれる声が、そっと飛んだ。よろよろと歩きかねているような龍はんの目が、ぎょろりと夜の月に光った。それと同時に、驚きの表情もうかがわれた。
「こんなに夜分すみません。私ですよ。私、禅智の、な・い・ぐ」
「センセー、私、行方不明ではありませんよ。下人ですよ、あの下人ですよ」
下ピーは涙ぐんでいる。
「おおっ、君たちかっ! また 、どうして、今じぶん」
「センセー、自殺するつもりなんでしょう」
龍はんは、力を振り絞って、裸足で庭に飛びおりてきた。
「内供どの、どうしてそれを?」
「センセー、どうか自殺などはしないで下さい」
この項おわり
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